バルコニーは物干しか?

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マンションのモデルルームを見学して感動することのひとつに、バルコニーの広さが挙げられるのではないか。そこには、賃貸マンションではありえない広さと演出がなされているからだ。
大抵は、ガーデン用テーブルとチェアが置かれており、かつテーブルの上にはケーキやティーカップが乗せられ、そこで日曜日のブランチを楽しむ光景を彷彿とさせる。
「まあ~何と素敵な!憧れていたベランダでの家族だんらんの食事が楽しめるんだわ」と、洋画のシーンか、新婚旅行先で体験した思い出を頭に浮かべる。
中には、ガーデニングの演出がセンスよくなされたモデルルームもある。子供の三輪車が、さりげなく置かれてある所もあった。
いずれにせよ、バルコニーは居間の延長、すなわちアウトドア・リビングですよと、主張する設計者が多い。
最近のマンションは、居間の窓からバルコニーの手すりまでの距離を2.0メートルは取る。そのくらいの出幅がないと、上記の演出はできないのである。よく計算された物件では、今の窓面を室内に後退させてでも3.0メートルほど確保し、スクエアな形にして外部リビングとしての位置付けを明確にしたものもある。実は2.0メートル以上先に延ばすのは構造上難しいので、居間の方を削っているのである。
ともあれ、昔のマンションと異なりバルコニーは随分広くなったものである。私が最初に買ったマンションなぞは、出幅が1.0メートルしかなかったので、ただの洗濯物干し場に過ぎなかったのである。
さて、現状の広いバルコニーで洗濯物はどこに干すのであろうか。モデルルームでは、そこを見事に忘れさせてくれる。確かによく見れば「物干し金具」と称する、折りたたみ型のアームが付いている。折角のブランチ場面に、物干しのシーンが重なってくると夢が壊れるから、そこは触らない。
だが、物干しを太陽の下でやりたいのが主婦である。バスルームに乾燥機が付いているものの、天気の良い日はそうしたいのである。
では、外部とはいえ、リビングが物干し場になってもいいのか。そんな疑問がいつもある。週末、朝のうちに洗濯を済ませてしまいたい主婦。遅く起きた夫とブランチというとき、そこには洗濯物が。仕方ないから、室内で食べようか。これが現実ではないのか?
ある中堅マンション業者は、バルコニーを分割した。片方は夢空間。他方は現実空間であった。その意味は説明の必要があるまい。
だが、その設計意図は伝わらなかった。分離せず、一体の方がよいというユーザーの声が大半であった。しかし、角部屋の居住者だけは違った。バルコニー面積が中部屋の2倍以上あったからだ。結局、バルコニー分離設計は、それ以来中止になったのである。
私は、この分離案に賛成である。ただし、もっと工夫が必要になる。アイディアもすぐ見つかるはずだ。マンション業者に更なる努力を望みたい。
一方、ユーザーには、現状のままでのマンションライフの楽しみ方を工夫されたらどうかと言いたい。折角の広いバルコニーが洗濯物に占領させるのは勿体ない。注文品でなく既製品のマンションである。住まい方はユーザー次第でもある。間取りを検討するとき、このようなことまで考えると、マンションを購入する楽しみが倍加するのではあるまいか。

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