第769回「結婚しない男女の増加と分譲マンション」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

寿命が伸びて来た日本、老後の生活を心配する声もあり、一方で準備万端の人も多いようです。いつか所得がなくなってしまうでしょうし、年金頼みの老後は不安だからと、若いうちから蓄財に励む人が多いのだと聞きます。

 

筆者も死後に家族が困らないようにと、いくつかの対策を講じて来ました。 ここで細部を開陳することはできませんが、敢えてひとつだけ述べると、「住宅ローンは完済した」という点です。ローンが残っていても、生命保険が付帯しているので、万一のときも弁済に困ることはありませんが、手前で自宅を処分したいとき、ローンはない方がスムーズに運ぶからです。  

 

一般に、家族に残せるのは住宅と貯蓄です。 公的な年金(遺族年金)だけでは足りなくなる心配もあるので、麻生大臣が発言した「老後資金2000万円」ではありませんが、預貯金も一定額以上は残しておかなければなりません。  

 

「資産のひとつ家」の話ですが、単身者の場合、残す相手がいないから死ぬまで借家でもいいと考えるのでしょうか?そのような人が増えているのでしょうか?そんな疑問を持ったりもします。  

 

しかし、人間は結婚し、子供を作るのが普通であって、子供の数の問題はあるけれども、一生独身でいいと思う人は少ないはずです。そう言いながら、筆者の親戚の中には、一度も結婚しなかった高齢者が複数いたことを思い出しました。  

●独身男女の住まいのカタチ

東京はご承知にように、独身男女が多いせいか、筆者も数えきれないほどの単身者にからマンション購入の相談をいただいた経験を持ちます。

 

多くが40歳前後の会社員さんでした。 皆さんに共通しているのは、将来のためにマンションを買ってしまいたいという希望、そして価値あるマンションの選び方についてのご相談でした。無論、検討マンションの購入の是非についての意見を聞きたいというものでした。  

 

どなたも、一生独身と決めているわけでもないようでしたが、高齢化するほど住宅ローンを組みにくくならから、早いうちにと考えた人、日々の暮らしを充実させたい、ついては賃貸マンションではなく少しグレードアップした分譲マンションで暮らしたい、詰まるところ生活の安定感を得たい・・・・・共通点はそんなことだったと思います。

 

今のところ、結婚の予定はないので、コンパクトなマンションでいいと、広めのワンルームか、可能なら1LDKが希望とおっしゃいました。そのそばから、結婚したら、いずれは広い住まいに移ることを考えるようになるかもしれないので、売りやすい物件を買いたいーーほとんどの相談者がこのように語ります。  

 

つまり、価値あるコンパクトマンションを選びたいが、この物件はいかがか? そんなご相談なのです。今日のご相談は、これに関連します。  

●捨てる家賃・残す家

ご承知のように、借家住まいのメリットは小さく、デメリットばかりと言って過言ではありません。一方、マイホームを持てば選択を誤らない限り、蓄財になります。5000万円で買ったマンションが無価値になってしまうということは「定期借地権マンション」を別とすれば、あり得ないのです。  

 

家賃は大家さんを喜ばすだけで、借主のメリットは少ないはずです。気に入らないことがあれば、転居すればいい。気軽に棲み処を変えられるのが借家のメリットだという意見もありますが、目先はそれでいいとしても、高齢になると貸してくれるアパートは大幅に減ることを知っているのでしょうか?  

 

借りられる家がなかったら買えばいい。住宅ローンが使えにくい年齢になっていたら、全額キャッシュで買えばいいーーーこう答えた人は少なくとも筆者の周囲には見当たりません。  

 

格安の借家に住み続けて貯蓄に励み、老後は貯蓄を取り崩して暮らせばいいーーーこのような人も筆者は知りません。親が残してくれそうな家があるから、老後はそこに住めばいいと語る人には何人もお会いしました。このタイプの人は恵まれていると言えるかもしれませんが、意地悪に突っ込んで質問してみると、「最悪の場合です」と返って来ます。 まあ、ご相談者ですから、根底には「買った方が得策。ついては、この物件はどうか」という話なのですが・・・  

 

手前の生活を考えるとき、独身でも快適とは言えない格安の借家で満足できるとは言えないはずです。老後と言われる終末の人生を考えつつ、今の生活を豊かにしたいというのが普通の考え方なのでしょう。  

 

快適とは言えないはずの格安借家に住む人(実は筆者の友人)なら、短時間で貯蓄を積み上げたいとか、高難度の国家試験を目指すためといった特別な目的がある人に限られるのではないかと思うのです。  

 

日々の暮らしも大事にしながら、将来を見据えた住まいを考えるとき、低家賃の借家はないはずです。勤務先の独身寮なども、いつまでも住んで行くことはできないはずですから、一般の賃貸マンションにやがては移住します。そのとき、家賃をもったいないと思い、独身者でも買った方がベターということに気付くのです。  

●ワンルームだけは手を出さないが良い

独身者のマンション購入で是非とも伝えたいことは何ですか?そう聞かれたとき、筆者は間髪を置かずに「ワンルームマンションには手を出さないこと」と答えます。  

 

住宅ローンはいつか完済するので、毎月の賃料は老後の収入源になると考えて「ワンルームマンションに手を出す人が少なくないようです。  

 

随分前のことですが、筆者もワンルームマンションを買って賃料を得たことがありましたが、住宅ローンの返済金と賃料の差異は少なかったものの、売却をしてしまいました。  

 

処分した理由は単純です。住宅ローンの返済が終わったときに受け取る家賃は僅かだからです。 まあ、10戸も持ったら別かもしれませんが、35年先に高い家賃は取れないものです。一説に、家賃は1年に1%下がると言われます。ただし、物件によって差があるのです。35年先に半額になっているかもしれません。  

 

ワンルームマンションの中でも、大型で高級なマンションであれば別ですが、その種は高額で手を出しにくいので、現実的には小規模なマンションの中のワンルームに目が行きがちです。 小型マンションは、管理体制も悪く、マンション全体のグレードも高くないので、高値で流通している例はありません。  

 

つまり、ワンルームを買って賃貸しても、儲かる確率は低いのです。ワンルームマンションに投資するなら、グレードの高い大型タワーマンションなどの中に設けられたものが良いと筆者は考えます。購入価格も高いですが、売却価格も高値が期待できるからです。  

 

ワンルームを自用に買って住むケースも基本は同じです。100戸のワンルームマンションを買おうとしていた人に筆者はこう答えました。 「100戸全部がワンルームということは、7坪平均として、20坪換算では700÷20ですから35戸の小型マンションです。 威風堂々で大きな差別感を持っているマンションとは言い難いはずです」と。  

 

多くは50戸足らずです、すなわちファミリーマンションに置き換えると、18戸足らずです。18戸のマンションではどう見ても大きく立派なマンションとは言えないのです。自用のワンルームを選ぶなら価格は高くてもグレードの高い大型マンションから選びたいものです。  

●勤務先は永遠ですか?

大手企業に勤務する会社員は、定年までの永年勤続を前提に人生設計をする人が多いのでしょうが、全ての会社員がそれを願っているわけでもないはずです。  

 

転職をしたり、筆者のように自営業に転じたりする人が少なくない時代です。勤務先の関係や自営する業種の関係から、住まいの場所も変わることが起こり得るに違いありません。  

 

結婚しないと決めてしまったなら別ですが、いつかは伴侶を求めるだろうとか、縁があれば共に暮らす家が必要になるだろうから、購入するマンションは、それまでの仮住まいであるとしても、将来の住み替えの際に、安値にならない価値あるマンションを買っておきたいーーー このような声も届きます。  

 

独身者であれ、ファミリーであれ、マンション選びで大切なのは「出口」つまり「売脚価値」の視点です。いついかなるときも、好条件の価値あるマンションを買っておけば、必ず所有者を助けることになります。  

●住居費だけはゼロにしておきたい

幸か不幸か、一生を独身で通すことになったとしても、リタイア後の暮らしに不安を覚えないようにしておきたいとするなら、家賃や住宅ローンの返済から早めに卒業しておきたい。そうすれば、老後の暮らしに不安は小さくなるーーこう考える人は少なくありません。  

 

そのためには、定年までに住宅ローンを完済させることが必要です。住宅ローンを返済しながら貯蓄も着実にできる自信があるなら、定年後の暮らしも不安がないことでしょう。  

 

しかし、将来を確実に見通すことはできないのです。退職金も大幅に減らされるかもしれません。いえ、全く期待できない企業に転職しているかもしれないのです。筆者のように早くに自営してしまった者には、退職金など全くの夢物語です。  

 

例を挙げるとキリがないので、これ以上は述べませんが、いつどうなっても生活の不安がない状態にしたいなら、ローン返済のない家だけは確保しておかなければなりません。その家を処分して現金に換える必要が起こっても、高値で売れる家を持っておけば終末人生は安泰です。  

●高齢者は金がかからない?

最後になりますが、筆者の周りにいる何人かの高齢者を見ていると、「人生を謳歌しようとしている」と感じます。  

コロナの問題がなくなったら旅行に行きたいと語る人も多いようですし、何人かの女性は「プチ贅沢」の買い物を定期的に楽しんでいると聞きます。同年代のお友達と年に1回の小旅行を楽しむとかもーーーこれも、老後の楽しみなのでしょう。  

 

子育ても終わり、家のローンもないので、生活費は少なく、水道光熱費と食費だけという声も聞きます。無職で収入はないものの、年金と蓄えた貯金があるので、大事に使えば、あと20年以上は困らないと知人は吐露しました。  

こうした話を何人にも聞いて、日本の高齢者はお金持ちで余裕がある人が多いと感じざるを得ません。無論、そんな人ばかりではないですが、若いうちに老後生活の設計をして暮らせば、夫婦2人にしても、単身者にしても、きっと豊かな終末人生を迎えることができるはずです。  

 

以上の意味で、単身者であっても若いうちからマンションを買ってしまうことには大いに賛成します。ただし、繰り返しますが「物件選びが需要」課題であることを肝に銘じたいものです。  

 

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