大震災でマンション価格上昇か?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介/構成:①マンション選びの重大ポイント②不動産業者と営業マン③一戸建てかマンションか④郊外か都心か⑤持ち家か借家か⑥購入資金⑦その他の疑問・悩みなど・・・について毎月5と10の日に投稿しています。・・・・・・●建築費の上昇は必至?/
今回の大地震の影響が、産業界の様々のところに出ていますが、分譲マンション業界にも心配される問題があります。それは、建築費の値上がりです。・・・・・
原料炭や鉄鉱石の国際価格が値上がりしているところに、震災の復興需要の発生で鋼材価格が今後ますます押し上げられると考えられますし、その他の住宅資材にしても品薄になるものが出てくる可能性があるからです。・・・
商品市況に明るいわけではないので、不確かなことは言いませんが、混乱期におけるモノの値段の高騰を私たちは何度も見てきました。・・・・・
ご承知のように、マンション価格の大半を占めるのが建築費です。それが仮に10%も上昇すると、土地代の比重が低い郊外マンションなどでは、分譲価格に5~7%くらい反映する恰好になるのです。・・・・
3,000万円のマンションなら150万円から200万円くらいの高騰になってしまう計算です。都心部なら比率は小さくなりますが、グロスでは同じくらいでしょう。・・・・
また、震災復興需要は、建築工事現場における人材確保競争が起こる懸念があります。それが人件費の高騰となって建築費上昇につながらなければいいのですが。・・・・
資材を供給するメーカーや資材商社、ゼネコンなどの努力によって、建築費が急騰しないことを、今は祈るしかありません。・・・・・
●建築費上昇でマンション事業者は?/
ところで、マンション事業者は、建築費が上昇したら、どのように対処するでしょうか?単純にコスト上昇分を分譲価格に上乗せするのでしょうか?・・・・・
過去の経験に照らして予測してみましょう。シナリオは、こうです。・・・・・・・・・
先ず、既に工事開始済み、すなわち建築費値上がり前の物件が、間もなく順次販売を開始します。マンション価格が上昇する懸念を持った人は、今の内に買ってしまおうと動きます。この駆け込み需要の発生によって、マンションの売れ行きが過熱します。すると、事業者の多くが強気の見通しを立てるようになります。・・・・
そして、多少の不安を持ちながらも、未着工物件に関しては、建築費上昇分を単純に上乗せして売り出します。すると、最初のうちは、それでも売れ行きが悪化することがなく、順調に販売が推移して行きます。その結果、事業者の不安は消えます。・・・・・
先行する値上げ物件の結果を注視していた他の事業者も、好結果に気を良くし、こぞって追随します。しばらくの間、市場全体で好調が持続します。・・・・・
しかし、やがて買い手は価格の高騰に気付き、様子見の態度に転じます。・・・・
実は、マンションという商品は、ひとつひとつが全部異なる商品ですから、一般消費財のように、いつから何%値上げしますと言えるような対比する旧価格商品が存在しません。このため、買い手が価格高騰に気付くのが遅れるのです。・・・・・
やがて、単純な平均価格の比較データに過ぎないのですが、調査会社の統計資料も値上がり傾向を明確に示すようになります。しかし、それは半年くらい遅れる恰好になると予想されます。・・・・・
買い手が様子見に転じるのは、自分の予算で買えるマンションが、どうも減っている気がするなという実感を持ったときです。そうした買い手が多くなると、売れ行きが悪くなり、完売までに長い時間がかかるようになって行きます。・・・・・
竣工しても売れ残りを抱える状態になって、事業者は値引き販売を始めるようになり、短いマンションブームは終焉を迎えます。・・・・
この間は、おそらく1年半ほど。売れ行きの過熱感が平成23年半ばから出て、24年後半くらいには、値引き販売が始まるという読みです。もっとも、震災の影響で景気が一時停滞するでしょうから、このような予測が当たるかは私にも自信はありません。・・・・・
2006年頃から価格が急上昇し始めた(2008年にピーク)影響で、売れ行きが徐々に悪化し、値引き販売が横行したことをご存知でしょうか?・・・・・
このときは、主にマンション用地の高騰が原因でしたが、買い手の購買力が価格の上昇について来られなくなって販売不振に陥ったという苦い経験をマンション事業者は一様に味わっています。その後に世界同時不況がやって来て「泣きっ面に蜂」状態の後、多くのマンション業者が破綻するに至ったのです。・・・・
2008年、2009年完成のマンションが、今でも売れ残っている実態をご存知の人もいると思います。事実、その例は少なくありません。東京圏は比較的少なくなりましたが、地方都市圏には、値下げ販売を強いられている事例が数多く見られます。・・・・
話を戻しましょう。分譲価格の値上げが、手痛いしっぺ返しにつながることを学習した事業者は、建築費にしても、地価にしても値上がりを歓迎しません。結果的に利益の吐き出しにつながることを知っているからです。
しかし、利益の確保が企業経営のためには不可欠なわけですから、計画時点では、仕方なくコストに利益をオンして、恐る恐る売り出します。最初は、うまく行きますから、その成功に胸をなでおろします。次も成功するとします。そうなると、最初の懸念はどこかに吹っ飛んでしまうのです。・・・・
極力、価格が上昇しないように努力しようとしても、範囲が限られる――詳細は割愛しますが、それがマンションのコスト構造です。従って、高いコストを吸収するところがなく、分譲価格も高いという売り出し方になってしまうものです。危険と知りつつも、そうするのです。利益を圧縮してでも、抑え気味に価格を決めるとしたら、最初のうちだけです。・・・・・・
●購入を予定している人は冷静に対処しましょう/
さて、今後本当にマンション価格は値上がりするでしょうか?それは、神のみぞ知るですが、値上がりの可能性は低くないでしょう。本当に値上がりするとしたら、そのとき購入予定者はどうしたらいいのでしょうか?・・・
マンションは株式投資のように、安いときに買って高くなったら売るというものではありません。欲しい物が目の前にあって、それが自分にとって無理なく買えるものであれば買ったらいいですし、希望条件から離れ過ぎているとか、少し無理があるなと感じたら見送ったらいいのです。・・・・
今買わなければ、もっと値上がりしてどこも買えなくなるなどといった強迫観念に囚われてはなりません。営業マンの中には、そのようなセールス文句で買ってもらおうとする者もいるでしょうが、乗ってはいけません。
販売現場に過熱感が現れ、その空気に釣られてしまうことにも注意が必要です。必ず、その先に(遠くない将来)、購入可能な物件が現れますから、冷静に判断しましょう。・・・・・・・

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