内廊下設計のメリット・デメリット

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

「ホテルライクな内廊下」は、内廊下設計マンションの決まり文句です。
ある物件の広告には、「外部からの視線を遮断し、外気の影響を受けないので快適な空間が保たれる」とあります。内廊下設計の方が何となく高級感が伝わって来ます。
しかし、本当でしょうか? 今日は、内廊下型のマンションを検証してみます。

●内廊下設計の利点
ご承知のように、内廊下設計の反対は外廊下、つまり開放廊下です。開放廊下型のマンションは、共用玄関からエレベーターまでは屋内空間ですが、そこから我が家の玄関までは再び屋外空間となります。
開放廊下マンションでは、横殴りの雨が吹き込んで床を濡らします。従って、床の仕上げ材は濡れても構わないものになっています。コンクリートの上に長尺塩ビシートを張ってあるものが殆んどです。

これに対し、内廊下設計の場合は、共用玄関から我が家まで一貫して屋内という形になります。床と壁の仕上げも屋内と屋外では異なり、内廊下設計は床なら絨毯貼りとし、将に室内空間のような設え(しつらえ)とするのが普通です。ホテルのイメージです。素材とデザインによっては確かに高級感が伝わってきます。

専有部分の間取りも開放廊下型と内廊下型では大きく異なります。
開放廊下型の場合は、個室を廊下に面するように配置しても自然採光が可能です。つまり窓を廊下側に取った間取りができるわけです。その代わり、廊下を歩く人にプライバシーを侵害されやすい形状となります。
内廊下型は、採光の取れない廊下に面して窓を設けることはできないため、個室の配置が全く違ったものになります。言い換えれば、廊下側から見て開口部は玄関しかないため、プライバシー性にも優れています。ホテルの部屋が、ドアを閉めれば密室になるのと同じです。

●内廊下設計は通風に難点がある
マンションの場合、通風がしばしば問題として取り上げられます。
風は入口があって出口がないと抜けません。バルコニーのある側の窓を開放しても、反対側の玄関ドアか個室の窓を開けなければ通らないのです。その通り道には、リビングのドアや個室のドアもあります。これらをすべて開けて、初めて風は通り抜けるのです。
内廊下設計の場合、片面しか開放部がないのですから、風の通り抜けは全く期待できないことになります。
内廊下設計でも、端部屋(角部屋)であれば、サイドの窓を開けることで斜めの通り道ができますから、この問題はなくなります。小型のマンションで1フロアに数戸しかないようなプランなら、おのずと端部屋も多くなり、風通しの悪い中住戸は実現しないものです。
ところが、規模の大きなマンションでは、中部屋比率が多くなり、そのために風通しの悪い住戸も増えるのです。
最近主流になっている超高層(タワー)マンションは、1フロアの平面図を見ると分かるのですが、南向きに住戸を配置するのではなく、西も東も、さらに北向きまで設けている形が多くなっています。真四角に近い形状が多いという特徴があります。
これは、構造のバランスを取るためで、1辺だけが長い板状の建物を避けたいという理由によります。
この形状では、建物の真ん中に大きな吹抜けができる開放廊下型もありますが、200戸以下の比較的小型の超高層マンションでは内廊下型になることが多いのです。タワーマンションの場合、通風は期待できないと思った方がよいでしょう。

●内廊下設計はビジネスホテルライク?
内廊下は閉鎖的な空間ですから、ここの風通しも殆んど期待できません。夏は暑く感じます。そこで、少し高級な物件なら冷暖房完備とするのが普通ですが、そうでない物件もありますから、注意しなければなりません。
また、一番の問題は廊下の広さです。幅と天井高しだいで高級ホテルになるか、安ホテルかに分かれます。
採算的には売り(専有)面積を増やし、共用面積を減らす方がトクです。反面、高級感が削がれます。
廊下幅が広くて、床と壁、天井の仕上げ・デザインが優良な高級マンションは、実はあまり多くないのが実態です。
マンションの内廊下は、高級ホテルではなく、低料金を売り物にしているビジネスホテルの趣きのものが多いと言えましょうか。
いずれにせよ、室内ばかりに目を奪われないようにしたいものです。外観・玄関・空間(共用部分)のデザインや広さなどはマンションの価値を決める大きな要素なのですから。

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