人気の大型マンションが売れ残る不思議

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

●大型マンションの魅力は?
首都圏では300戸超のメガマンションは珍しくないですが、その大半は様々な話題を提供してくれます。マンションを研究する私にとっても、中々楽しいものがあります。

分譲マンションの事業者は、当然ながらどのような物件でもプロジェクトの成功を目指しますが、大型マンションでは参加する関係会社とともに持てる力を結集し、知恵を絞りに絞って競合する物件との差別化を図るものです。

何度も会議を重ね、たたき台となる設計図を前にカンカンガクガクの議論を戦わせて商品イメージとプロジェクトの方向性を定めます。

その結果、大型マンションならではの豊富な間取りバリエーションと、各種共用施設や管理サービスなどが誕生します。
全体計画は完成予想図で示され、圧倒的なスケールが魅力を見る者に振りまきます。
いかにも大きい建物外観が豪華で立派に、何点かの絵が広告のトップに映し出されるのです。

超高層マンションの場合では、想像されるスカイツリーや東京タワーの夜景とともに描かれます。また、上階に計画する展望ラウンジ、そこに併設されたバーラウンジはまるで高級ホテルの内部のようです。
5棟、10棟と複数の住棟で構成される計画物件の場合では、敷地内にふんだんに設けられた庭園や遊歩道などが木々の緑とともに美しくイメージを伝えようとしています。
いずれもスケールメリットを活かして免震構造を採用したり、防災対策に備品倉庫や自家発電装置を設置したりすることで魅力アップを発信します。定番になった感のある「ゲストルーム」や「キッズルーム」、「パーティルーム」なども加わります。
便利なコンシェルジュサービス、24時間いつでも出せるゴミ処理、玄関まで配達してくれる新聞、電気自動車を求めたい人向けに用意された充電装置、マイカーを持たなくても便利なマンション住人だけのカ―シェアリングなども、大型マンションならではの付加価値になります。

大型マンションはどれも魅力一杯で、「伝えきれません」と叫びたくなる事業者の声も聞こえて来そうです。

●販売は沸騰状態に
魅力満載の大型マンションは、販売開始前から話題となり、数多くの買い手から注目を集めます。モデルルームが公開されると、待ち切れなかったという風情の見学者が押し寄せ、会場は熱気に包まれます。

工事中のマンションですから、その全貌は見えません。そこで微に入り細に渡って商品をプレゼンテーションする仕掛けが準備されています。
「シアタールーム」と呼ぶ小劇場のような部屋では、映像と音声で全体イメージをアピールします。そこを出ると、50分の1から100分の1ほどのスケールの模型を展示する部屋に通されます。
説明パネルの壁面、カラーセレクションのサンプルコーナーなどに続き、3~5タイプのモデルルームがあります。

このようなプレゼンを受けた後、買い手が最も知りたい間取りプランと対応する階、そして価格ですが、初回では価格未定として二度目の来訪を誘います。

プレゼンテーションによって、更にはモデルルームの見学で舞い上がった買い手は、予算とのミスマッチがなければ買いたいという気持ちをかき立てられて家路につきます。

時間を少し置いて、価格や管理費等も公表されます。申込受付のスケジュールも決まり、買い手の心は購入へと前がかりになって行きます。価格が公表されたとき、買い手と担当営業マンとの商談の中では、住宅ローンの計算が行われ、売買代金以外の諸費用なども知ることとなります。

販売センター内は熱気でむんむんした雰囲気となります。それが最高潮に達するのは、申込が開始されたときです。壁に大きく張り出された価格表の上に、赤いバラの造花がピンで留められて行きます。
特定の住戸は申込が重複します。そして、抽選会では悲喜こもごものシーンが見られます。抽選に外れた人は落胆するものの、大型マンションの特性で1回に全部を発売しませんから、次回に期待をつなぎます。

●徐々に見学者数は減少へ
販売センター・モデルルームに訪れた大量の人を目の当たりにした買い手は、自分の選択が誤りでないことを確信します。
1回に売り出した戸数の全部が完売すれば、「大勢の仲間がいる安心感」が購入への不安をすべて消し去ってくれるのです。売買契約に進んだ買い手は満足感でいっぱいです。

こうして、魅力に溢れた大型マンションの多くは1期、2期、3期と連続完売を達成します。

しかし、やがて勢いを失い見学者の数が減って行きます。マンション購入に関心を持つ人の数は無尽蔵ではないからです。どんなに魅力があっても、東京に仕事を持つ人が大阪のマンションを投資目的以外で買うことはありません。

見学者の数が減れば、販売戸数も少なくならざるを得ません。一般に見学者(家族数)の10%程度が契約に至るというのが業界の常識です。100戸売るには、1,000組の見学者を集める必要があるというわけです。
300戸のうち200戸を売り切るまでは、短期間に2000組の家族を集客できても、後半の100組を売るために必要な1000組を集めるのには悪戦苦闘することになってしまうものです。

そのため、後半の売出し戸数も数を絞らざるを得ません。何回目かの売出し戸数が10戸などと少数になるのは、何より苦戦中の証拠と言えます。

●完成しても残る大型マンションの不思議
当初の人気は既になく、建物が完成して魅力の全てが見られるようになっても、見学者が急増する気配はなく売れ残りを抱えてしまいます。

豪華なエントランスと広くて豪華なロビー、オーナーズラウンジやゲストルーム、パーティルームなど、タワーマンションなら展望ルームやホテルタイプの内廊下などの実物を住戸とともに確認できるのです。

それにも関わらず、あまり見学者は増えません。一定のエリア内に買い手は枯渇してしまったのでしょうか?そんなことはありませんね。その証拠に、近くに新しいマンションが発売されて見学者を集めているのです。また、見学者のうち購入しなかった90%の買い手がいたはずです。

どんなに魅力のある物件でも、買い手には好みもありますし、予算的に合致する住戸が存在するとも限らないのです。そのことを知った人が増えれば増えるほど、見学に訪問する人は減って行きます。時間の経過とともに、広告をしても見学に行く手前で見送ってしまう人も増えて行くのです。

●完成在庫はバーゲンセールに?
ご承知のように、売れ残ったマンションはしばしば値引きで販促が図られます。モデルルーム住戸の家具付き販売や単純なディスカウントが定番です。

実態を言えば、モデルルーム以外の部屋も同じ程度の値引き販売が断行されているのです。その値引き幅は、大手業者でも10%から最大20%にもなります。5000万円なら1000万円引きの場合もあるのです。
元々が魅力的なマンションです。それが予算の関係で見送った買い手、その中には見学済みの人も、見学まで行かなかったが物件の存在を知っていた人もあったはずです。

どちらの人にせよ、どこか魅力が捨てきれないままに見送った人には、そんなチャンスが再び巡って来るというわけです。

すべての大型マンションがそうなるわけではないにしても、冷静に販売経過をウォッチングしていればチャンスがあります。従って、慌てることはないとも言えるのです。

どんなに優良な物件でも、数が多過ぎると売れ残るものであることを覚えておくとよいでしょう。

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