目立つ売れ残り新築マンション

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
~~~~最近は更新回数を増やしていいます~~~

価格が上がり過ぎれば、そのマンションに手が届く人は少なくなり、供給戸数と需要ボリュームのミスマッチ状態が生じます。

このブログでは何度も述べて来たので、ご存知のことと思いますが、最近3年余の間に新築マンションは首都圏の平均では20%以上も値上がりしました。

その間、住宅ローン金利が一段と低下したことによって購買力が上昇したため、初めはさほど価格上昇の影響が出にくい状況でした。しかし、価格上昇が続いたことによって、購買力との乖離が進み、需要は減ってしまったのです。

今日は、売れ残りマンションの実態に触れながら、今後の(短期的な)市場を展望してみようと思います。

●売れ残りマンション

売れ残りの代表的なものとして、2016年11月29日現在、以下のような物件が見られます。

・SKY FOREST RESIDENCE(361戸。平成26年12月完成済み。先着順受付中)
・スカイティアラ(621戸。平成27年4月完成済み。先着順受付中)
・シティテラス国立(277戸。平成27年3月完成済み。先着順受付中) 
・シティテラス吉祥寺南(268戸。平成27年10月完成済み。先着順受付中)
・シティハウス吉祥寺南パークフロント(67戸。平成27年2月完成済み。先着順受付中)
・シティテラス平井(357戸。平成28年02月完成済み。先着順受付中)
(以上の売主:住友不動産)

・プラウドシティ阿佐ヶ谷(575戸。平成28年8月竣工済み。先着順受付中)
・プラウドシティ南山(412戸。平成28年1月竣工済み。第9期 予告広告中)
・プラウドシティ志木本町(402戸。平成28年6月竣工済み。先着順受付中)
(同、野村不動産)

・パークホームズ杉並善福寺川緑地(80戸。平成27年08月竣工済み。先着順受付中)
・パークホームズ調布桜堤通り(325戸。平成28年7月竣工済み。先着順受付中)
・パークホームズ流山おおたかの森(257戸。平成27年07月竣工済み。先着順受付中)
(同、三井不動産レジデンシャル)

・ザ・パークハウス小日向(31戸。2015年11月建物完成済み。先着順受付中)
(同、三菱地所レジデンス)

・ライオンズ竹ノ塚ブロッサムシティ(138戸。平成28年5月31日。先着順受付中)
(同、大京)

●売れ残りの象徴

住宅情報誌SUUMOでは、物件名のすぐ後ろに、「再登録受付及び先着順受付」や「第2期(販売予定)及び先着順(分譲中)」とあるもの、あるいは第〇期受付や新発売としながら、その戸数が10戸未満の物件が、売れ残りマンションの代表的なもの、もしくは販売不調物件を表すものと言ってよいのですが、最たるものは竣工して残っている物件です。

勿論、低層マンションや小型マンションでよく見られる「完成後の販売開始」という例外もありますが、殆どのケースが目標としていた竣工時の完売が達成できずに残った「売れ残りマンション」なのです。

●売れ残る原因は価格だけではない

ところで、上記以外の物件も含め、マンションが売れ残る原因はどのような点にあるのでしょうか? 1物件ごとの分析をコメントすることは憚りますので、一般的な傾向として整理しておくことにします。

1.駅から遠い(バス便など)

2.環境が悪すぎる(道路騒音など)

3.最寄り駅の「駅力」が低い(生活インフラなどが不足)

4.価格が高過ぎる

5.戸数が多過ぎる

6.品質が著しく劣る

●予備軍も多数あり

物件名は記しませんが、間もなく竣工という時期を前に、多数の未販売住戸を抱えている物件も多数あります。

12月~3月にかけて各社とも販売促進に懸命になるものと思いますが、3月決算で売上計上(売上は引き渡しベース)ができず、在庫を多数抱えてしまう売主は少なくないと予想します。

●4月以降はどうなる?

新築マンションが売れ残ってしまう原因は、駅から遠いからとか、遠隔地だからとか、数が多いからとか、間取りがよくない、グレードが低いなど、目立つ点はあるにしても、とどのつまりは「価格」にあるのです。

駅からバス便でも、価格が安ければ買ってくれる人が増えますし、数が多いために売れ残ったのだとしても、価格を下げれば短期で完売に持ち込めるものです。

駅前の便利なハイクラスの物件でも、価格が高くなればなるほど購入できる人の数が減るので、早期完売が難しくなりますが、価格を下げれば短期完売は可能です。

3月末で締めてみないと分かりませんが、筆者の予測は前年比を上回る在庫を抱えるはずなので、4月以降は、価格を下げないと早期完売はおぼつかないと見るデベロッパーが増えることでしょう。

では、新築マンション価格は短期的に見て価格が下がる方向へ向かうのでしょうか?

在庫処分に関しては間違いなく下がるでしょう。しかしながら、その統計は出て来ません。何故なら、値引き販売は水面下で行われるからです。住戸ごとの契約金額を集計するのは売主自身にしかできないのです。

広告に出て来る「値引き販売」は、氷山の一角でしかなく、相当数が値引き処分をしたなと推定はできても、外部の調査会社が把握することはほぼ不可能です。

従って、どのくらいの値下がりになるかは分からないのですが、完成後の売れ残り物件に関しては相手にもよりますが、10%前後の値引きも交渉次第で可能です。

相手にもよると述べたのは、何年かかろうが値引き処分はしないデベロッパーも僅かながらあるためです。

冒頭で紹介した物件の中には、竣工から既に1年を経過したものもありますが、これから竣工の販売不振物件も、時間の経過とともに「竣工から半年、1年の売れ残り物件」となって続々と出て来ます。

こうしたものを狙っていけば、案外お買い得マンションに当たるかもしれません。

話を戻しましょう。4月以降に新たに販売が始まる物件の価格見通しはどうでしょうk?

新発売と言っても、完成売れ残りの未発売住戸もありますが、ここではこれを含めずに述べることにします。

新発売物件、つまり1戸も販売していない物件のこととしますが、この価格は下がるでしょうか?筆者の予測は、「あまり期待できない」というものです。

最近の断片的な現象から値下がりを予測する向きもあるのですが、筆者は「高止まり」か「幾分の価格上昇が続く」というものです。

ただし、誤解があるといけないので、お断りしておきますが、マンションの市場統計は、狭い地域で見ると統計的なゆがみが出やすいこと、都心の好立地の超高級マンションが影を潜めればマクロ市場での統計数字は値下がりに見えます。バス便物件や郊外の大規模物件が大量に売り出されれば、平均は値下がりというトレンドに見える場合もあるでしょう。

売り出し予定マンションなども通覧してみたのですが、今のところは何とも言えません。

定点観測的に言うと、髙い用地費を払ったと思われるマンションが多く、建築費も下がる様子はまだないので、結局は髙い原価となってしまった商品を売り出さざるを得ないと予測します。

勿論、売り出し前の段階で十分なリサーチをするので、顧客の反応が良くないとなれば最小限の利益を確保したうえで初期の予定価格から値下げする例も出て来そうですが、元々が大きな利益率の事業ではないので、下げ幅は小さく、結果的に高止まりが限界と見るべきでしょう。

つまり、まだ当分は値下がりのは期待はできないということです。

●値引き交渉のチャンスは今

こうした実情から見て、筆者がお勧めするのは「新発売物件」を待つより、売れ残り物件の価格の引下げを期待するか、積極的に値引き交渉をするかのどちらかに方針転換した方が良いということです。

「売れ残り=悪いもの」とは限らないのです。価格さえ安かったらもっと早く売れたであろう優良物件、少なくとも水準以上の物件は結構残っています。

一度検討した物件を再度見直してみるだけでなく、希望エリアも飛び越えて探してみると存外思いがけない拾いものに当たるかもしれません。

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