マンションの付加価値ってなに?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

分譲マンションは、一般に次のような形態になっています。

人の動線から見て行くと、まず共用玄関があって、その扉を開けて中へ入り、エレベーターホールに向かいます。エレベーターに乗って自宅の存する階で降ります。そこから廊下を経由して自宅に到着。解錠して部屋に入ります。途中で非常階段の存在に気づきます。部屋にはバルコニーも付いています。

①共用玄関、②エレベーター、③廊下、④避難用の階段、及び消防法に規定するもう一つの非難口があるバルコニー(以上が共用部分)、➄専有部分たる自宅。

この5つの要素の揃ったものが集合住宅(共同住宅)、すなわちマンションになるわけですが、逆に言えば、これだけで最低限の共同住宅の体裁が整うわけです。

実際にも、このような5つの要素だけのマンションは、特に賃貸マンションで数多く見られます。

しかし、多くの分譲マンションでは、この5つ以外に様々な要素(機能)が付加されています。

ゴミ置場、集合郵便受け、自転車置き場、駐車場、プレイロット、公園、緑道、花壇、ロビー、ラウンジ、管理人室、集会室(コミュニティルームやパーティルームなど)、児童遊技場(キッズルーム)、ゲストルーム、防災用品の備蓄庫などの付帯施設が代表的です。

設備的には、宅配ボックス、防犯カメラ、オートロック式の玄関、自動ドア、テレビモニター付きのインターホン、非常用自家発電装置、太陽光発電システム、電気自動車の充電器などが付加されています。

管理サービスの分野にも付加されるものがあります。代表的なのは管理人が常勤していることですが、中には「24時間有人管理」と言われる管理形態もあります。

他には入居者の利便を図る各種ライフサポートをコンシェルジュが請け負うというものや、カーシェアリングなども一般化しています。

こうした付加価値が多ければ多いほど価格は高くなりますが、比例して購入者の満足度も高くなります。

しかし、価格の安さを重視したい買い手も多いので、どこまで施設・設備・サービスを付加するかにマンションメーカーは頭を悩ますことになります。

例をいくつか挙げて、売主の葛藤を検証してみましょう。

●管理サービスの付加価値

管理人の勤務態勢を週5日以上にするか、週2日程度に間引きするか、或いは管理人不在の巡回管理方式とするかなどの検討を行います。

管理人の人件費は、所有者が管理会社に払う管理委託費、すなわち管理費で賄われます。人件費を平均月額250,000円とすると、100戸のマンションなら1軒あたり2,500円で済みますが、25戸の小規模マンションでは1軒当たり10,000円にもなってしまいます。

管理費は、共用部分の清掃料や電灯料、エレベーターの保守管理費、動力費といった費用に使われますが、管理人の人件費は小規模マンションほど比重が大きいのです。

そこで、サービスが低下するのを承知で間引き管理や巡回管理を選択する売主が現れます。つまり、小規模マンションは管理サービスの面では付加価値の低いマンションとなってしまう例が多いのです。

では、大規模マンションの管理サービスはどこも付加価値が高いと言えるのでしょうか? 巡回管理にしている小規模マンションに較べれば付加価値があるとも言えますが、管理人を週5日以上、1日8時間程度、勤務させているだけでは付加価値があるとは言わないのが普通です。

管理サービスの分野で付加価値と呼べるのは、既述の「24時間有人管理」や「コンシェルジュによるライフサポート」です。詳しい説明は要らないと思いますが、安心・安全につながること、コンシェルジュの居るマンションでは「お帰りなさい」などと声をかけられることに心地よさを感じる人が多いことの二つがメリットです。

超高級マンションでは、敷地入り口付近にゲートが設けられていて、そこに門番が立っている例もあります。

このような特別なサービスが付けば、当然のことながら管理費は高くなりますが、大型物件では1戸あたりにすると高が知れています。

超高級マンションでは、管理費がたとえ月額10万円を超えても、高度で心地良いサービス付きとするものです。

●共用施設の付加価値

大規模マンションで売主を悩ませるのは、共用施設をどのくらい用意するかという問題です。こちらは、管理費の比ではありません。

例えばゲストルームを1室用意すれば、1住戸分の売り上げが減るだけでなく、まるまる利益が消えてしまうからです。

利益を確保するには、減少分を分譲住戸に上乗せすることが必要になり、当然ながら分譲住戸が多ければ多いほど影響は小さくて済みますが、戸数が少ないと極端に高い販売価格になってしまいます。結局ゲストルームは止めようとなってしまうのです。

しかし、大規模マンションでは、ゲストルーム以外にも先に述べたような様々な共用施設が設けられます。その設置によって分譲されるべき住戸面積が減少しますが、影響が比較的小さいので、商品の魅力アップのために検討されます。

それでも、施設の数と面積によっては、利益が大幅に減少するか、売値を高く設定するかの岐路に立たせられます。

何度もシミュレーションを行い、議論を戦わせたのち、共用施設の種類と面積などを定めます。

共用施設のオンパレードをセールスポイントにした物件がある一方、規模の割には何もないといって過言ではないような物件、その中間に位置する最小限の共用施設を設けた物件とタイプは3つに分かれます。

売主が悩むのは、共用施設の設置が価格の高騰をもたらすからに他なりません。

しかし、採用例が少ない施設を入れることで「こんな物件が欲しかった」という客をつかむべきだという意見が通る場合があります。

つまり、買い手から見れば多数の施設があることに魅力を感じるのではなく、その中のひとつかふたつに価値を見出すからです。

スタディルームやオーナーズラウンジは、休日に子供の遊び相手からいっとき離れて読書や調べものをしたい場合に重宝な施設になるはずです。

スパなどは、予約の必要はあるものの子供を連れて手軽に楽しむことのできる施設かもしれません。

また、エスカレーターでロビー階に上がってからエレベーターに乗るようなシティホテルに類した形状は、それだけで高級感と優越感をもたらすものであり、買い手の心を虜にすることもあります。

プールやフィットネスルームも同様の狙いがあるのかもしれませんが、実用性もありましょう。

これらの施設は、全てマンションを物理的に構成する5つの要素以外のものです。すなわち付加されたものになります。そして、その価値は資産価値にも反映されて来ます。

要らないと感じる人も、将来の売却の際に価格の維持に役立つのです。何故なら、次の買い手は「それが欲しかった」と思う人かもしれないからです。

エスカレーターが付いているマンションや豪華なエントランスロビーを見て、「何と立派なマンションか」と感嘆し、一目惚れするかもしれません。同時に値段を聞いて、「さもありなん」と思うか、それとも「その割には安い」と思うかは分かりませんが、普通のマンションより高く売却することが可能なはずです。

●立地条件の付加価値

最寄り駅が同じで距離も同じという二つのマンションを比較したとき、明らかに付加価値を持つ物件と特段の付加価値を持たない物件があります。

例えば、一方は幹線道路に面しているので騒音が気になる場所、他方は閑静な住宅街の一角に建っているというケース。  または、マンション群やビルに囲まれた物件に対し、前面が広大なオーシャンビューやリバービューという付加価値を持つ物件もあります。さらには、敷地一杯に建てられた建物がある一方、森に中にマンションがあるかのような物件もあります。

付加価値の高い立地がどちらかは言うまでもありませんね。

また、駅からの近さが共通している物件同士を比較したとき、圧倒的に差がつく物件があります。例えば、地下鉄の駅の改札口を出ると、階段を上らずにマンションの地下エントランスに直接アクセスできるマンション、或いは駅舎とペデストリアンデッキで繋がっているマンションなどです。

傘なしでエントランスまでたどり着けるような立地条件にあるなら、特別に価値ある物件ということができましょう。そんな物件は、滅多にお目にかかれない「稀少な付加価値」と言えましょう。

●付加価値は資産価値を左右する

最近、機能を絞った格安スマホが人気を集めていますが、マンションも余計な施設は要らない、価格が安い方が望ましいと考える人もあるのは間違いありません。

しかし、携帯電話と違い、マンションには資産性という要素があります。先に見たように、マンションは建物の価値、立地の価値、この二つの要素によって資産価値を形成しているのです。

様々な付加価値が価格の多寡に影響を与えるものですが、それがどの程度なのか、その判定は容易ではありません。

中古マンションの査定をする場合で説明しましょう。

売出し価格を決めるために「査定」という作業をしますが、担当者の主観で査定額には差が出るものです。そのため、売主が査定額に不満を感じる場合があります。

査定額に納得できなかった売主は、査定額より高値で売り出してみました。ところが、たちまち買い手がついたという実例があります。 共用施設の充実と豪華なエントランスに惹かれた買い手があり、言い値で買ってくれたというのです。

付加価値を削ぎ落とした最低の機能しか持たない物件より、付加価値を豊富にまとった建物は、購入価格が高くても将来価値も高いことが期待できます。

最も大きな付加価値は、良い意味での場所の特異性です。立地条件の良い物件は、ときに周囲の物件を圧倒する特別な価値をもたらすのです。

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