駅近マンションが当たり前の昨今

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションデベロッパーの立場で見ると、用地を買収するのはマンションを販売するより難しいと言われます。

都心に近いほどマンション建設に向く場所と広い土地の売り物は少ないため、同業者との競争にも勝たなければなりません。

東京カンテイ社は、2014年に分譲された新築マンションの最寄り駅から距離を調査して発表しました。

それによれば、徒歩7分以内の物件は首都圏で約60%を占めるのだそうです。

内訳を見ると、3分以内は約20%あり、4分~7分が40%、8分以上11分以内25%、12分以上15%となっています。

近畿圏も同時に発表しており、3分以内が3分の1、7分以内を含めると70%超だそうで、近畿圏の方が駅近マンションは多いとしています。

駅近の土地がなくなれば、おのずと駅から離れた土地でも取得しようという動きが必然的に現われます。つまり、それまで敬遠していた土地でも事業継続の意思がある限り、背に腹は代えられないので買収するのです。

もう大昔と言ってよいのかもしれませんが、バブル期には、駅から徒歩15分くらいは当たり前でした。

駅から近い土地は、「土地ころがし」と呼ばれた投機目的のみで売買が繰り返され、高値が高値を読んで行きました。そこに真面目にマンション開発を目論むデベロッパーが紛れ込む余地はなかったからです。

その遠くの土地さえ価格が跳ね上がり、とうとうマンション業者はリゾート地のマンション開発に手を染めることになったのでした。

当時、湯沢や富士山麓、草津温泉、清里高原、伊豆、九十九里浜といったリゾート地に建てられたマンションは、今どんなことになっているのでしょうか? 詳しくは書きませんが、大半は使われずに幽霊屋敷のようだと言われます。

管理費がかかるので手放す人も多く、その価格は200万円とか300万円と、分譲価格の5分の1か10分の1に、いわゆる二束三文でも買い手がなかなか付かないと言われています。

今後、利便性に劣るマンションを検討するときは慎重に慎重を重ねて決断したいものです。

首都圏周辺部の駅から遠いマンションでも、バスが走っていれば、また自転車を使えば通勤は不可能ではないので、10分の1に値下がりすることはないにしても、何かの事情で売却するとなったとき、買い手探しに苦労するのは間違いないでしょう。

筆者は、ご相談下さる方には、駅から5分以内をお勧めするのを常としています。他の条件と較べながら妥協するとしても最大で10分とされるよう進言しています。

今日のテーマも、そこに沿ってのことで前置きが長くなってしまったのですが、駅近マンションが増えたら、駅近だからと買った我が家の値打ちは、実はたいしたことはなかったと思い知らされることがあると知って欲しいのです。

駅近はマンションとして当たり前の条件であって、特別なものとは言えないということになります。駅近とは徒歩10分ではありません。5分以内で初めて特別に近い存在になって来るのです。

さらに言えば、駅直結や駅前(徒歩1分程度)のマンションは、特別の中の特別なものと言えるでしょう。 ペデストリアンデッキで繋がっているとか、地下鉄駅の改札から地下道を通ってマンションの地下エントランスへ続くといった物件が稀に売り出されますが、当然人気を博します。

住まいの条件は言わずもがな、通勤・通学に便利、買い物に便利、日当たりが良い、環境が良いといったものですが、環境条件と利便性とは両立しないことが多いものです。そのとき、首都圏の需要はどちらを優先するかというと利便性に手を挙げる人が圧倒的に多いのです。

駅から近いマンションは、広さに難があっても買い手も借り手も付きやすいのです。そして、価格も賃料も高いのです。そのことが過去何度もデータで裏付けられて来ました。

環境も大事です。広さや間取りだって快適な暮らしを送るのに無視できるわけはありません。しかしながら、これらの条件がある程度の妥協を許されるなら、インパクトある近さの物件を選択する方が価値は高く、将来の資産価値・売却価格という観点でも有利と言えるのです。

ある駅の徒歩圏にA,B二つの物件があって、Aは徒歩7分、Bは徒歩3分とします。Aは総戸数500戸の大型物件で、オープンスペースが広く、庭園と子供の遊び場が充実、24時間管理とコンシェルジュによる各種サービスもあるという物件です。

Bは総戸数50戸、ワンフロアに3~5戸ずつ14階建ての細身のシルエット、駅前商店街の一角に建てられた。セキュリティは万全だが、敷地一杯に建てられている。住戸は30㎡から70㎡までの構成。賃貸している所有者が30%くらいある。

AとB、どちらが高い値が付くでしょうか? 駅近のBの方でしょうか? 具体的な物件を披露できないのがもどかしいのですが、実際は駅近でないAの方が総合力で優り、同じ面積の比較でBより高いのです。

次に、駅から3分のCと同じ3分のD、どちらも環境条件が似通っていて、分譲業者のブランド力も、施工会社のネームバリューなども似たり寄ったりとします。しかし、Cは14階建て100戸未満の中規模マンションで、Dは30階建て250戸の大型タワーマンションです。

このケースは、住戸ごとの差はあるものの、平均するとタワー型が高い資産価値を見せるものです。

このような事例を挙げて行くとキリがないのですが、マンション探しの基本は先ず「駅近」を意識した方がよいこと、近いとは5分以内を言うものであることを念頭に置きながら探されますよう。他の条件がどんなに素晴らしくても、妥協の限度は10分と覚えておきたいものです。

勿論、駅ならどんな駅でもいいということではないのですが。

また、間違いやすいのは価格です。資産価値に見合う価格でない場合が多いのです。駅から近いマンションの資産価値が高いのは間違いないとして、その価値をはるかに超える分譲価格になっている場合が多いからです。ここは要注意点です。

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