美観を保つことが資産価値を長く維持する秘訣だ

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションを購入する際に「資産価値」という要素を選択条件に加える買い手が随分増えて来たという実感を持っています。

多くは購入前の段階で「価値あるマンション」の条件として「立地」や「建物プラン」に注視するわけですが、中古マンションの検討者の視点には「管理」が加わって来ます。

管理というと、資産価値を長く維持するためには無関心ではいられないことを理解できるものの、管理会社の問題かのように、あるいはマンションの場合は個人の力の及ばない問題と思いがちです。

そこで、今日は提案として管理問題の意識を強く持つべきことをお話ししたいと思います。

●室内の美観

アメリカ人は、売却するときのことを常に意識し、所有者が建物の劣化を食い止めようと、DIYに精を出すと聞きます。これは一戸建ての場合ですが、同じようにマンションでも建物の劣化スピードを遅くすることに関心を持つべきなのだろうと思います。

しかし、マンションは共同住宅ですから個人が共用部分を勝手に触ることはできません。

そこで、専有部分・室内の維持管理に努力することを先ずは提案したいと思います。

維持管理とは、「美観を保つこと」と言い換えてもよいでしょう。

室内の設備にはガスコンロにせよ、エアコンにせよ、寿命があるので、その劣化を使用者の努力で延ばすことは限界があります。とはいえ、日本製品は優秀ですから、10年どころか20年も使い続けられる設備は少なくありません。 となると、ポイントは室内の美観がテーマとなって来ます。

美観、言い換えると綺麗であることですが、売り出しの直前に、しっかりとハウスクリーニングを実行すればよいとも言えるのですが、壁や天井・床の汚れを取るのは簡単ではありません。

居住したまま売り出すとしたら、壁の張り替えは家具を移動しなければならないでしょうし、床を張り替えるとなると、費用を含めて大がかりになるはずです。

空室にしてから売り出すとしたら、家具などで隠れていた部分の汚れが露見することになり、販売に重大な影響を与えることになりかねません。「見栄え」は買い手の心理を左右するものだからです。

中古マンションの売り出し現場とネット上の室内写真を見ると、新築マンションのモデルルームと見まがうような綺麗な事例が増えているような気がします。

大手仲介業者の中には、高額物件を主に新築マンションのような「モデルルーム化サービス」を専任契約条件付きで導入しているところもあります。

中古マンションの買い手にとって、リフォームを前提にしているとはいえ、その費用が少ないに越したことはありません。筆者の知人に、「20年間に一度もリフォームしなかった部屋を売却したが、壁紙の一部を張り替えただけで、ほとんどそのまま住んでくれた」という人があります。

知人の家族は綺麗好きだったと思われますが、誰もたばこを吸わないこと、日ごろから丁寧な掃除を心がけていたこと、1年に1回はプロの掃除人に来てもらっていたことなどが奏功したと知人は言います。おかげで、売り出し価格も期待通りだったということだったようです。

いずれは売却するのであれば、床や壁・天井の汚れ、浴槽や洗面化粧台、ガスコンロ、エアコンなどの汚れを可能な限り溜めないような暮らし方が必要なのです。

●マンション全体の美観

中古マンションの売却で最も影響を受けるのは、室内よりマンション全体、すなわち共用部の状態にあります。マンション全体の美観が大事です。

鉄部の塗装が一部で剥がれていたり、タイルが欠けていたり、また植栽が枯れていたり、密集した低木の植栽が全く手入れされていない、外壁やエントランスホールや共用廊下の床や壁が全体に古ぼけた印象を与えている、自転車置き場が雑然としている、集合郵便受けの付近にチラシ等が散乱している、エレベーターの内部が傷だらけといった状態は見学者に悪い影響を与えます。

管理は管理会社に委託して行われるものですが、このような状態を招くのは何故でしょうか?

管理人が怠慢だからでしょうか?管理費が足らず、管理会社が十分に能力を発揮していないためでしょうか? 最近は所有者の意識が変わり、比較的よい管理がなされるマンションが増えていると聞きます。

しかし、築30年以上の古いマンションの中には、賃貸比率が高くなって所有者不在の部屋が多いために管理業務が円滑に進まないという声も聞こえて来ます。

ともあれ、重要なのは所有者・住民の意識にあります。管理組合がいかに素晴らしい提案をしても、実施の決定をするのは管理組合です。

日常の管理、長期的な改修工事など、共用部も自分の住まいとして「機能と美観を保とう」とする所有者・住民意識がカギを握るのです。

ちょっとした差が長い間に大きな差となるとも言われます。ゴミを拾ったり、気付いたことを管理人に知らせたり、組合の役員に提案したりといった行為を通じて、我が家の心地よい空間を維持して行くことは大事なことです。

筆者はご縁のあった方には、「マンションを買ったらできるだけ管理に関心を持ち、管理組合の役員になるなど積極的に関わることも大事ですよ」とよく話します。

●美観保持にに役立つ植栽

 建物は時間が経過するほど劣化して行きます。時間が経つほど魅力を高めるような工夫も重要です。お分かりと思いますが、生長する自然を取り込むことで、年月の積み重ねをプラスに換えて行くことが可能なのです。

マンション敷地内の緑地スペースが広いほど、建物の劣化を相殺する形で樹木が生長して行くことが望ましいと言えます。シンボリックな大木だけでなく、敷地を囲むように中・大木が育つと目に優しいというだけではなく、マンションの古さが目立たず、全体が美しく、価値あるマンションに見えて来るのです。

具体的な物件名を挙げるのは差し控えますが、都区内だけでなく、まるで森の中に建つマンションといった風情の物件が結構あるのです。

前にも本ブログに投稿したのですが、一部を転載します。

注目したいのは、「緑地率」または「緑被率」です。

これが30%以上あれば、敷地は緑で覆われた印象が強く伝わって来ることでしょう。オープンスペースが60%のマンションなら、半分は緑地ということになるからです。

現実は、こんなに高い緑地率の物件は少ないものです。営業マンに尋ねてみて(把握している営業マンは少ないが)、回答が20%以下であるとしても、部分ごとの(庭園なりプレイロットなりの)の広さを聞き、それがどの程度のものかを想像してみることが大事です。

新築マンションは物件ごとにHPが公開されていますが、そこには「トップ」「間取り」「設備仕様」「物件概要」などと並んで「ランドスケープ」というページが設けられています。

敷地配置図という表現のHPもありますが、そこには「敷地があって、その上に建物がどんな形で配置されているか、エントランスがどこにあり、駐車場はどのように配置されているか、庭園や緑道がどこに、どのくらいの割合を占めているか」などがおおよそ分かるように描かれています。

パンフレットにも同様の絵が載っています。

しかし、どちらも図面そのものが大きくないので、それぞれの大きさ(広さ)がどの程度か実感するのは困難です。東京ドーム何個分という表現をよく聞きますが、こうした比喩がないからです。

畳100枚分の広さなのか、住戸100戸分の広さなのか、バスケットボールのコート1面分?それともテニスコート2面分? こうした表現を見ることはあまりありません。

〇〇㎡の庭園、既存樹〇〇本といった表現はたまに見ますが、多くは部分のパース(完成予想図)を展示するだけです。

立ち話をする住民の姿を書き込んだ庭園風景、子供たちが走りまわる姿の入った敷地内公園、高木の間を縫う敷地内通路を夫婦で歩く姿、こうしたパースが代表的なものです。

こうした絵や図を見て想像力を膨らませるのです。ただし、ここは少しシビアに見つめたいところです。こうした共用空間の実際の大きさを是非とも想像して「〇〇と同じくらい」と頭の中で描くのです。

敷地内に分散する緑地の合計面積で緑化比率を把握することより、そこに実際に立ったつもりになって、視界に入る緑の量がどのくらいかを想像することが大切なのです。

そうして、猫の額の庭園や植栽ではなく、極端に言えばマンションを包み込むような緑地であれば最高です。それこそが大きな差別感につながるからです。

わが家の差別化としての豊富な植栽、豊かな緑は、マンションの資産価値を高める大事な要素になり得るのです。

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