郊外ほど駅から3分以内の物件を!!

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

自宅マンションを売却する際に有利な条件のひとつは駅に近いことですが、理想的には5分以内、郊外では駅から3分以内を意識したいものです。

都心5~6区の場合は複数の地下鉄駅が利用でき、またどこへ行くにも絶対距離が短いので、駅から10分以内の物件であれば特に意識しなくてもいいはずです。というより、大抵のマンションは駅から10分以内に立地しているものです。

これに対し、都区内でも周辺10数区と都下、さらには神奈川・千葉・埼玉の外周部のマンションは、駅から10分以上を要する物も多いので、注意しなければなりません。

「郊外は駅から5分以内。できたら3分以内」、を優先順位1位から外さないようにしなければなりません。

今日は、その根拠をお話ししようと思います。

●駅近とは10分ではなく5分なのです

駅に近いとか遠いとかいうときの基準には個人差があります。

駅から徒歩20分を要する一戸建てなどに住んでいると、10分の立地を「とても近い」と感じることでしょうし、反対に、駅のそばの賃貸マンションに住んでいるような人は、5分のマンションを見ても何も感じないか、「少し遠い」と感じるかもしれません。

しかし、新築マンションの売れ行きを見ていると、「10分は人気がなく、5分以内は人気を博する」という傾向があります。分岐点は7分と言われています。大半の人が利便性を望んでいるということの証左です。

中古マンションとして売り出すときも同様で、駅に近いという印象は5分前後までと認識しなければなりません。

人気の有無は、当然ながら価格に影響します。 マンション価格を決する要素の一番は駅からの距離なのです。

●郊外は「5分以内」を妥協しないことが重要

マンション探しを続ける中で誰もが壁に当たるのは、「理想の物件」が中々ないことです。「妥協」が必須ということに気付くのです。

駅からの距離でも、ついつい妥協を強いられるのが現実です。「駅から少し距離はあるが、環境や学校区、広さ、予算などの条件を満たしている」からなどと己に言い聞かせ、決断に至ります。

これを別の視点から表現すると、「弱点を長所で補って余りある物件」ゆえに選択に至るということになります。

しかし、駅から10分以上で許容範囲として良いのは、予算や広さではなく、次のようなものです。

例えば、駅から物件までのアプローチ道路が10分を遠く感じさせない要素として「桜並木が500メートルも続く」とか「賑わいのある商店街通りを抜けて直ぐにある」といったものが挙げられます。

また、物件の隣地が感動的なレベルの大公園であるとか、オーシャンビューやリバービューが素晴らしいといったロケーションにあることも、徒歩10分を許容できる条件と言えます。

しかし、このような条件にあっても、郊外の場合は「許容できる・妥協して良い」とは言えません。理由はこうです。

郊外都市に居住する人の何割かは市内か近隣都市に職場を持っているので、駅から遠くてもバスや自家用車を利用し10分ほどで通勤できるはずです。 そのような人は、より便利な住まいへの転居を望むとしても駅から10分以内なら文句なしのはずです。

しかし、郊外の場合は一戸建てが安く分譲されているので、たとえ駅からバス便立地でも一戸建ては身近な存在です。このため、郊外都市でマンションに関心を持つ人は少なく、需要は限定的にならざるを得ないのです。

郊外都市の居住者のうち、東京都心に通勤する人たちは買わないのでしょうか? 駅近マンションであれば、通勤も現状より良くなるか変わらないし、学校も変わらなくていい、住み慣れた安心感のようなものもあって、興味を持つ人も多いはずです。

売り手は、通勤先がどこであろうと地元住民は有力な販売ターゲットと考えます。しかし、その数は多くありません。

首都圏広範から買い手を動員することができれば別ですが、現実は難しいのです。広範囲に買い手を動員できるのは都心により近い立地のマンションです。

一言で言えば、郊外マンションの需要は少ないのです。将来、自宅マンションを売却するとき、それが大きなネックとなって来ます。

物の売買は、需要があって成立します。マンションも同じで、売りたいものがあっても買い手がなければ売買は成立しません。郊外のマンション、特に中古マンションには買い手が付きにくいという事実を受け止めなければなりません。

郊外でマンションを選ぶ人はどんな人たちでしょうか?市内及び近隣都市に職場を持つ人を除くと次のような考えの人たちです。

都心に通勤しているので、通勤時間がとても長い。できたら、駅のそばがいい。一戸建ては確かに安いけれど、駅まで時間がかかるから検討対象ではない。

駅から離れた一戸建てに住みながら都心へ通勤している人は、できたら、駅近の住まいに住み替えたい。

このように考えている人たちです。

そうであれば、「駅に徒歩5分」なら問題ないのでは? 何故3分なのでしょうか?その理由を次で説明しましょう。

●長期的には需要の減少が必須

理由は簡単です。もともと需要が少ないので、より差別化された物件でなければならないからです。つまり、売却する際に、決め手になる近さ、言い換えるとインパクトある立地でないと買い手が付きにくいし、付いても価格が安くなってしまうからです。

それこそ、駅から傘なしでマンションの玄関に到達できるくらいのインパクトが大事ということなのです。

新築のときは、毎週毎週チラシを配布し、看板をそこいら中に立て、モデルルームを設けるなどして大々的な販売キャンペーンを実施しますから、100戸のマンションも1年しないうちに完売させることは可能ですが、中古はそうは行きません。

個人の所有者から販売を委託された1戸の中古マンションのために、仲介業者が販売キャンペーンを行うことはないので、売りマンションの存在すら知られることはありません。

積極的に探している人でなければ、その1戸の売り物に気付くことはないと思うべきなのです。

そもそも日本人は「新築志向」が強いので、中古の需要ボリュームは少ないということも根本の問題として指摘できます。

●郊外はコンパクトシティを目指す

需要が少ない郊外では、長期的にはさらに需要ボリュームが減りそうです。

人口が減少傾向にあるからです。東京全体で見れば、ご承知のように地方都市からの流入が続いており、国全体の傾向とは逆になっているのは事実です。 しかし、その東京でも郊外から都心へという流れが進んでいるのは統計上でも明らかです。

東京を含む首都圏郊外では、人口減少の流れが続くと予想されています。

人口が減れば住宅需要も減ります。

高齢化も急ピッチで進んでいます。

郊外の一戸建てに住む高齢者は、子供の独立によって持て余す家を手放してコンパクトな家に住み替えを希望します。同時に、便利な都心や、都心が無理でも地元の駅に近いマンションなどへの転居を始めたのです。

郊外へ行けば行くほど、住宅需要は減り、なかんずく駅から遠い家は買い手が付きにくい背景が拡大しています。

最近、しばしば話題になる「コンパクトシティ」という概念があります。

これを簡単に説明すると、「病院、銀行、郵便局、コンビニ、公共サービスは、人口の少ない地域ほど非効率になるので、できるだけ狭いエリアに集まって暮らしましょう。駅に近い一定のエリアの中に移転する人や事業所には市から移転費等を補助します」というものです。

このような施策が各地で実施、または真剣に検討されていると言います。まだ深刻な状況にない東京圏なのかもしれませんが、じわじわと押し寄せて来ているようです。

郊外都市は、もともとマンション需要は少ないので、ますます減るということが現実になるなら、よほど差別化された物件を所有しておかないと、いざ売却というとき二束三文という事態も懸念されます。

ここで具体の都市名を挙げるわけには行きませんが、機会あって都内・某都市の中古マンションの価格を最近調べました。驚くような結果でした。筆者の予想を超える超格安マンションがぞろぞろと存在したからです。

買い手が付かず、半年以上も情報サイトに掲載され続け、かつ価格の引き下げも数回実行したが結局、売却をあきらめたという事例も多いのだと地元仲介業者は言います。ついでに、「買い手が付くのは、駅前通りの〇〇マンションくらいのもの。あれは別格です」とも。

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