タワーマンションのお買い得な低層階住戸

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
~~~~最近は更新回数を増やしていいます~~~

眺望の良いタワーマンション。「30階辺りを買いたいが、予算と広さのバランスが合致せず、低層階を選ぶほかない」という人は少なくありません。

そんな人が、タワーの下層階ってどうなの?と疑問を抱く。これは、皆さん共通の疑問のようです。このブログで、その疑問に対するお答えを前に書いたことがありますが、今日はリセールバリューについて低層階の有利な一面をお話ししたいと思います。

●低層階、実はリセールバリューが高い

タワーマンションにおける新築時の販売価格と中古の販売価格とを比較すると、低層階の方が値上り率は高く、上層階が意外にも値上がり率が低いという事実をお知らせしようと思います。

価格が激しく上がった最近のデータは、多分にバブル的要素が加わったと思われる取引が多いせいで、資産価値に関する理論に当てはまらない取引ばかりです。異常事例が多過ぎるのです。

今日、このテーマを取り上げたのは、市場が安定期にあった某マンションの2011年・2012年における取引事例をたまたま入手できたからです。

以下は、個人情報の問題があるので、物件名を明かすことはできませんが、23区内のJR駅前にある44階建て大規模タワーマンションの中古売買の事例です。

販売されたのは2005年のことですが、竣工(2006年)から5~6年後の売買事例ということになります。全部で14件の取引の中から低層階、中層階、高層階とに分けて7例をピックアップしました。

階数順に分譲価格、転売価格、値上がり率を表示します。
4階:3598万円→4380万円(22%)
6階:3098万円→3580万円(16%)
6階:3408万円→4800万円(41%)
17階:5738万円→6600万円(15%)
17階:3418万円→4600万円(35%)
40階:7678万円→8380万円(9%)
40階:6738万円→6800万円(1%)

分譲価格からの値上がり率が最も高いのは6階の41%高、次いで17階の35%高です。40階の2例はどちらも、値上がり率は一桁に留まっていますね。

具体のマンション名を明かせないのは残念ですが、ブランドマンションですし、販売時に注目率の高いマンションでした。都心5区ではありませんが、JR駅、徒歩5分以内、公園の前という恵まれたロケーションでした。

●低層階のリセールバリューが高いのは何故?

様々な中古マンションの紹介サイトを覗いて気付くのは、バルコニーから、または部屋からの眺望写真を掲載していることです。前が開けていますよ、眺めがいいですよと言いたいのですね。

眺望と日当りは見学者の購買意欲を大いに高めてくれる要素であることを仲介業者はよく知っているのでしょう。

タワーマンションの上層階は、ご存知のように遠くまで見通せる眺望が売り物です。都心や湾岸エリアのマンションのWEBサイトは、東京タワーの夜景などをくっきりとした美しい写真でアピールしていますね。

低層階の住戸には、この「売り」がありません。実際に見学しても少し距離を置いた所に隣のタワーマンションの公開空地(歩道上の庭園など)が見えたり、低層住宅街が見えたりはしますが、高層階ほどの感動はありません。視界の半分は何かが邪魔していることが多いのです。方位も「北」が多いと言えます。

然るに、なぜ低層階住戸のリセールバリューは髙いのでしょうか?
(上記の事例の下層階が北向きということではありません)

一般的なリセールの法則は、「価格の高いマンションは“より高く”、安いマンション“より安く”なる」のですが、タワーマンションの場合はしばしば当てはまらないものが多いのです。その理由を探すと、分譲時の価格にあることが分かります。

つまり、高層階は高過ぎ・低層階は割安という、「戦略的な値付け」が行なわれることに理由があるのです。早い話が、高層階住戸はその値打ち以上に高値を付け、その分が低層階住戸の割安につながっているというわけです。

戦略的値付けとは、営業の都合上そうした方が売りやすいという観点から行われるもので、タワーマンションの眺望を期待して来たモデルルーム訪問者の中で、低い予算の人を失望させない、言い換えると逃がさないための策なのです。

価格を聞いて、予算から遠く及ばないと分かれば諦めも早く、次善の住戸へと心を移動することができるものですが、僅かな差では諦めきれずに眺望の良い高層階住戸に執着する買い手も少なくありません。それを断ち切らせるには、思い切った価格差を設けることが必要だ。売り手はそう考えます。

そうしておけば、売りにくい住戸も「お買い得ですよ」と営業マンはアピールすることができます。

例えば1億円の住戸と5000万円の住戸といった具合に、圧倒的な差があれば最初から比較対象にすらなりませんが、低層階と中間階との比較になると差が縮むので、単価を出して比較をして見せます。

「10階の●タイプでしたら、坪単価は@300万円ですが、3階の●タイプは@250万円と格安です。向きは北ですが、前が開けていますし、かえってお買い得ですよ。お台場やレインボウブリッジビューは、展望ラウンジにときどき行かれたら楽しむことができますから」
営業マンは、こんなふうに説得をこころみ、買い手も「それもそうね」と納得するのです。

つまり、売りにくい住戸は、価格勝負を最初から仕掛けているということになるのです。

●高層階を購入する人は高く売りつけられわけか?

そうとも言えますね。程度問題ではあるのですが、ペントハウスのような特別な住戸にその
傾向が強くにじみ出ているのは確かです。

平均坪単価が500万円を超える高級マンションの最上階に設けられた3億円とか5億円といった特別な住戸は、坪当たり1000万円といった、とんでもない単価で値付けされた住戸が当たり前にように登場します。

●中古市場に戦略的な値付けはない

話を戻します。

新築マンションの場合、買い手は同複数の住戸を比較しながら品定めしますね。その購買行動があるからこそ、上記のような大きな価格差を設ける意味があるのです。

タワーマンションに限らず、売りにくいとされる1階住戸、日当たりに問題がある住戸、幹線道路向きの住戸、間取りが極端によろしくない住戸なども同様の戦略的値付けが行われ、「格安目玉住戸」を生み出します。

しかし、中古市場では鼻から住戸間の比較という発想がありません。稀に同じマンションの似通った2住戸が売り出されることはありますが、滅多にありません。

中古マンションは新築と異なり、それぞれの住戸が、そのときの相場感から、その価値なりの価格に収斂して行くのです。新築時の意図的なゆがんだ値付けは、中古の流通市場の中で自然な形に修正されると言ったら分かりやすいかもしれません。

安過ぎた低層階住戸は修正されて高値に、高過ぎた高層階住戸は修正されて安値になるのです。ペントハウスのような別格の少数住戸は、かけ離れた別世界の階層同士で取引されるので、この説明が当てはまりませんが・・・

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このような戦略的な値付けによって生まれた割安な低層階住戸は、将来のリセールに良い結果を与えることは間違いないでしょう。果たして、検討中マンションの中で割安な住戸はどれだろうか? それを見つけることも楽しみとなることでしょう。坪(3.3㎡)または、1㎡当たりの単価を計算して比較してみるといいですね。

低層階住戸、北向き住戸、眺望に難のある住戸、間取りに難のある住戸、プライバシー確保に問題がありそうな住戸などに注目して見たら意外な発見があるかもしれません。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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