東京の人口流入とマンションの未来(楽観と悲観)
- 2017.02.20
- マンションの未来
このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
2017年1月17日の日本経済新聞に「中央区55年ぶりに人口15万人突破」という記事がありました。新聞によれば、「臨海部を中心とするマンションの建設ラッシュや“職住近接”志向などを背景に、1998年以降、人口の増加傾向が続いている。15万人台は1962年以来55年ぶり。街の賑わいが戻った」とあります。
また、「1953年に17万2100人のピークとなったが・・地価高騰に伴い、その人口が減り、1997年には7万1800人まで落ち込んだ」と記事は続いています。
2月1日には、東京都の人口増加が2016年に74,177人だったこと、1都3県の合計では11.8万人の転入超過(転入から転出を引いたもの)とありました。これは社会増(減)という統計であって死亡と誕生の自然増減とは別のものです。
自然増の方も、2016年7月13日の東京都発表によれば、5年ぶりに自然増に転じたそうです。都内に転入して出産・子育てをする若い世代が増えているのが要因です。
こうした人口動態を見ていると、人口減少とはどこの世界の話だろうかと疑ってしまいそうです。「少子高齢化・人口減少」を毎日のように聞かされ続けているせいか、明日にでも日本という国は衰退の方向へ向かうかのような錯覚に陥ってしまいそうです。しかし、コト東京に限っては違うように思うのです。
東京都の人口予測も、2025年から人口は減少に転じるとされていますが、本当でしょうか?この予測を都が発表したのは2016年12月26日のことですが、それ以前の予測は2020年から減少するというものでした。つまり、5年先に修正したのです。
これもまた修正されるように思えるのは、筆者だけではないはずです。
●東京の人口増加の要因は?
冒頭で紹介した都心流入の要因はともかく、東京圏への人口流入の要因は「働く場所があるから」と言えます。一足早くやって来た地方都市の人口減、そして都市の衰退は国としての大きな問題であり、地方再生は焦眉の急となっています。
他府県から移住する人には、家も仕事も用意しますなどという自治体も登場し、移住した実例も紹介されています。内閣府特命担当大臣(地方創生担当)まで任命して、自治体と連携しながら様々な策が進められてはいますが、劇的な効果が出ているという話は聞こえて来ません。
対して、東京は人が増え、経済も活発です。デフレが解消されたわけではないものの、東京の求人倍率は高く、人手の確保に取り組む企業・職場が多いせいで賃金も上昇傾向にあるとされます。非正規労働者の中から正社員へ登用する企業も少しずつ増えています。パート、アルバイトの時給も上昇しています。来年度から配偶者控除を受ける妻の年収制限を上げるそうなので、これにより世帯年収は増えるかもしれません。
髙い賃金と安定した職場があれば人は集まるものです。かつては、円高対策のために国内の工場を閉めて現地生産に切り替える企業が増えた時期がありました。これによって内需は衰退しかけました。また、国際競争力を高めるために、人件費の安い中国へ進出した工場も急増しました。
しかし、その中国も最近は人件費が高騰し、日本国内の生産へ戻す企業が現われたりもしています。
現在の日本は、雪崩を打って国外に出ていくわけではありません。ときどき起きる急激な円高の動きなどにも強い耐性を身に着けた日本企業は多く、観光立国政策なども効果を表して来ました。つまり、内需経済も強みを持ち始めたのです。
観光資源は東京だけのものではありませんが、最も大きな観光地のひとつであることは確かです。小池百合子東京都知事も「世界に開かれた国際・観光都市東京の 実現」構想を打ち出しています。
一方で、シンガポールや香港などに負けない金融都市にしようと、国を挙げて規制緩和を図っています。この動きも、東京の発展を加速させるものと言えましょう。
こうした動きを見ると、目の前に迫る東京オリンピックだけでなく、世界中から注目を集める東京は、衰退する兆しなど微塵もないと言っても言い過ぎではないと思うのです。
●都心の再開発事業
ご承知のように、国は地域を限って(特区)、規制を緩和し、様々な実験に取り組んでいます。外国企業が投資しやすい環境づくり、受け皿作りを急いでいます。短期的には東京オリンピック対策としてのホテル建設や道路建設、道路補修工事、競技場建設などがあります。
さらに田町駅と品川駅の中間にできる「新田町駅」と周辺施設の建設、リニア新幹線関連工事など、数え上げればキリがないほど「東京改造」は進められています。
人手不足は外国人の就労ビザの緩和で何%かを補い、足りない分は地方からの移住と高齢者の起用、企業内保育園の拡充などで女性の活躍を促す。こうした施策で補うのでしょう。
また、外国人の日本企業就労者が増え、外国企業が増えれば外国人の人口も増えるでしょう。
ますます東京一極集中の傾向を強めるに違いありません。
●マンションの資産価値は需要が減れば下がるのが当然
人が増えれば家が必要になります。国全体では空家が問題と言われますが、東京圏では、むしろ逆かもしれません。極端な言い方を許して頂ければ、家余りは、東京では別の国の話なのです。
しかし、長期て見たらどうなのか? 社会増は続いても自然減が大きくなれば人口は減ります。
人口が減れば、家余りは東京でも現実の問題となって来るのです。
欲しい人がいない家は資産価値もなくなってしまいます。既に東京郊外(東京市部や千葉・埼玉。神奈川の郊外)では1000万円未満の中古マンションが急増しています。買い手がつかないのです。もはや「ただでも要らない」状況になっている一部エリアさえあると聞きます。
●人口減の最良の対策は「集まって暮らす」にある
行政、民間を問わず、各種サービスは人が集まって暮らすことで効率よく実施できるわけです。山の中の1軒だけのための宅配(買回り品・郵便・その他)や医療や教育は見捨てられる傾向にあります。
利益を求める商店なども採算が合わなくなって廃業してしまうでしょうし、医者の在宅診療(往診)にしても集落になっていない地域では大変です。
学校も統廃合が進み、遠距離通学を強いられます。
このような街は、魅力に欠けるので外から移住して来る人もいません。ますます人は減り、借り手もない家は朽ち果てるのを待つばかりとなります。
そこで、対策として「街はコンパクトに」という構想が生まれました。つまり、1カ所に固まって住みましょう、というわけです。この「コンパクトシティ構想」は全国数百都市で検討されていると言います。
鉄道が通っている街なら、駅の周辺に人口を誘導する政策が打ち出され、後ろ向きの街づくりが進むのです。
東京圏も何十年か先には、そんなことになるかもしれません。少なくとも中古マンションが1000万円未満で購入できるような郊外の街の未来は確実にその道を歩いているのかもしれないのです。
このようなことを考えて行くと、マンションを買うなら「衰退しない街(過疎化しない街)」、「可能な限り都心に近い街」、「駅に徒歩10分を越えない立地」、「ローカル駅よりはビッグな駅」など、長く住むつもりなら、こうした点を忘れないことが大事です。
まあ、しかし、「東京圏はまだまだ廃れない」と考えます。
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