「ホームステージングサービス」で売りやすくなる中古マンション

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このたび。新サービス「ホームステージング」の提供を開始しましたので、お知らせいたします。
「ホームステージング」とはプロのホームステージャーが、売却される所有不動産の
室内を、インテリア家具や調度品等を使ってより魅力的に演出するサービスです。
モデルルームのように演出された室内は、購入希望者様の印象度を上げ、より
スムーズにご売却頂くための一助となります。

※「ホームステージング」サービス概要
■対象物件:首都圏の弊社営業可能エリアに所在する、自己所有の居住用不動産。
※一部お取り扱いできない地域がございます。詳細はお問合せください。
■対 象 者:弊社と売買仲介に掛かる媒介契約を締結頂いた、個人・法人のお客様。
■注意事項:本サービスは有償サービスです。提供価格等、詳細につきましては最寄りの弊社営業センターにお問い合わせいただくか、ホームページでご確認ください。
■期間限定スタートキャンペーンを実施いたします。
「ホームステージング」サービス開始を記念し、4月1日(土)~6月30日(金)
の期間中に弊社と専属専任・専任媒介契約をご締結頂いた個人・法人(宅建業者を除く)
のお客様に、無料でホームステージングを実施いたします。
(以下、省略)

これは、住友不動産販売が2017年4月7日にHP上には発表した「事業開始のお知らせ」です。

今日は、この聞きなれない「ホームステージング」についてのお話です。

●野村不動産アーバンネット社のホームステージング

2016年春に知り合った、あるご相談者の売却マンションは、野村不動産アーバンネット社のホームステージングを利用されていました。

そのご自宅は、見事なまでに飾り付けられていました。プロのインテリアコーディネーターによって、新築マンションのモデルルームと遜色ない姿に演出されていたのです。家具やカーテン、その他の小物をしっかりと添えてあり、Beforeを知っていた筆者は見事に変身したAfterに軽い感動を覚えたものです。

無論、オーナーが退去していたマンションなので、こうした演出が可能であったわけですが、買い手から見れば、新居での生活がイメージできるので、よいサービスの提供ということになりましょう。リノベーションやリフォームをしなくても綺麗に見せることができる、良い方法です。

先行したのは、野村不動産アーバンネット社(ノムコム)で、同社のホームページによると、ホームステージングサービスについて、このように記載しています。

売却する物件に家具や小物でインテリアコーディネートを加え、モデルルームのような形にして販売活動を行うことで売却を円滑に進めることを目指します。
プロのホームステージャーによって物件の購買層を把握・意識したコーディネートがなされるため、物件の持つ本来の価値を引き出す演出ができ、買い手に物件の魅力を正しく伝えることが可能です。

売主が居住中の住戸でも、既存の家具を運び出して一時保管し、室内を片付けることで同様の演出をすることが可能とも聞きました。

今まで採用しなかった方法がなぜ突然現れたのだろうか。疑問を抱きました。

調べてみると、海外では普通のことで広く普及しているのだそうです。

そもそも「ホームステージング」とは、アメリカで1970年代に生まれた不動産売却サポートのサービスです。現在では、100万ドル(1億数千万円)以上の中古戸建て、中古コンドミニアム(マンション)を売却するときは、「ステージング」をするのが当たり前といわれ、ステージングをしないと売りにくくなるほど一般化しているそうです。

ヨーロッパやオーストラリアでも普及しているそうです。

アメリカではホームステージングの専門会社が数百社もあり、「ホームステージャー」と呼ばれる専門職も確立されています。インテリアコーディネーターと似ていますが、目的が異なるので、仕上がりの方向性が違うのかもしれません。

欧米では、売主自身がコストを負担してホームステージングの専門会社に直接依頼するのが一般的なようです。必要なコストは、3ヶ月の家具レンタルで数十万円からといわれています。日本ではまだ認知されていないこともあり、ホームステージング会社は国内に数社しかありません。

なお、知人が利用した事例は、野村不動産アーバンネット社が、仲介サービスの一環として無料で提供したもので、価格は9000万円ほどの物件でした。

●ホームステージングは流行するか?

このサービスは2014年ごろから始まったらしく、当初は都心エリアの億ションを中心に展開し、開始から半年余りの間に、150件を超える利用があったとか。

成功事例が積み重なる中で、都心エリアの億ションに限らず、少しずつ周辺エリアにも対象範囲が広がり、6,000~7,000万円クラスの物件にも応用されつつあります。ただ、どんな物件にも通用するわけではなく、その地域の中でもランドマーク的なグレードの高い物件で効果的なことが多いようです。

物件価格が周辺相場よりも頭一つ出ているようなマンションは、WEBサイトや新聞の折り込みなど、通常の手法だけではうまく売却できない場合があります。そこで、その物件の本来の良さを引き出す演出をして、付加価値を上げることでスムーズに売れるようになるというのです。

言い換えると、単純比較で地域相場を抜けている高額なマンションを売るための策だということらしいですが、平均的な物件でもホームステージングは販売効果があるのではないかと筆者は思います。

新築マンションの場合は、どんな物件でもプロのインテリアコーディネーターによって演出されたモデルルームを設けて販売をしているわけで、販売効果は高いとされています。中古マンションでも販売効果は間違いなくあるに違いありません。

しかし、モデルルームは未完成建物を売るために必要不可欠だから設置するわけで、中古物件とは販売事情が大きく異なります。しかも、1戸のモデルルームの販売効果は建設費用に3000万円を要しても(建設地の借地代、建設費、インテリア関連費を合計すると最低でも2500万円はかかります)、100戸のマンションなら、1住戸当たり30万円の販売コストで済むわけです。

中古マンションの場合は、1戸の販売のために多額の費用をかけることはできません。ホームステージングが経費倒れになるリスクが高いのです。これまで普及しなった理由は、ここにあるのです。

少なくとも仲介業者負担の場合では、普及しても高額マンションまでとなるでしょう。一般化には遠いのではないかと思います。

では、個人オーナーが自ら負担したらどうでしょうか?こちらは未知数ですが、急速に普及することはないと筆者は考えます。

しかし、売り物なのですから、汚れを落とし化粧をしてショーケースに入れて見せようと考える人は間違いなく増えると見ます。これまで、そうして来なかったのは、どうすればいいかが分からなかっただけです。ステージングの仕方を教えてくれる専門家が増え、ステージングの具体例を示すWEBサイトや書籍も発刊されるようになると予想します。

今は夜明け前という感じがします。かすかな兆候が出ているからです。好きな人は、自分で学び、費用を最低限に抑えてステージングした後に我が家を売り出す道を辿ることでしょう。

勉強するのは、売却を考え始めてからでも遅くないので、「ホームステージング」という概念を覚えておかれるとよいと思います。

●有料だとどのくらいかかるのでしょうか?

ところで、ホームステージングの料金はいくらくらいになるのでしょうか?

居住中のホームステージングでは、大きな家具を搬入することはできない場合がほとんどです。したがって、物を減らしてスペースを空けること、小物類や絵画、観葉植物などによって、全体のテイストを統一することが中心になります。

居住者のテイストを消し、購入ターゲット層に合わせたテイストにすることで、見学者の気持ちを盛り上げることができるわけです。

株式会社ホームステージングジャパンという専門業者のガイドによれば、目安は下記のようなレベルです。ただし、買い手が決まるまで販売活動は平均的に3か月を要するので、各々3倍の料金が請求されると見なければなりません。

◆コンサルティングプラン 50,000円~(居住中、自分でやりたい方向け)

◆ベーシックプラン 200,000円~(シンプルにリビングの家具をレンタル)

◆スタンダードプラン 300,000円~(リビング・キッチン・水回りをステージング)

◆フルパッケージ 物件価格の1~2%(全ておまかせ、物件をトータルコーディネート・最も効果的)50万円~200万円の3倍となりそうです。

●売却のために今からやっておきたいこと

3年くらい前に「あなたが営業マンになるとき」という記事を書きました。その中から本稿に関係ある部分を抜き書きしましたので、ホームステージングとともに、覚えておかれるといいでしょう。

1)商品が持つ説得力と仲介営業マンの説得

中古マンションは何かと売りづらいものです。

お見合い結婚のように、一目惚れの幸運に出くわせれば結構ですが、そうは問屋が卸さないことが多いと覚悟しておくべきなのです。何人も内覧に来てくれたがいっこうに買ってくれる人が決まらないということもあるのです。

中古マンション・自宅の売却は、一目惚れしてくれる買い手をじっと耐えて待つか、腕のいい仲介営業マンに頼るしかないのでしょうか?

商品は展示しておけば足りるというふうに、自慢の我が家なら結構ですが、客観的に見て高い価値を持つ我が家であるとしても、より高く売りたいと考えるのが普通ですし、そのためには座して結果を待つのは芸がないと思うのです。

では、営業マンに個人的に特別ボーナスでも約束する(昔そんな手法があった)などして、よくよく頼みますか?

中には、外交辞令ではなく実際に誠実な活動を行い、買い手を口説く構えを見せる営業マンも存在しますが、結果は当てになりません。腕のいい営業マンに当たる確率も低いものです。

そこで、所有者・売主が自ら腕のいい営業マンになることを勧めます。といっても、いかにも「営業しています」という姿勢では警戒されて逆効果です。では、どのようにすればいいのでしょうか?

2)所有者こそが最高の営業マン

中古マンションの買手は不安心理が強いものです。そうであれば、先ずはその解消に努めればいいということになります。

見えない部分、例えば耐震性や耐久性などの「構造に関する部分」や「省エネ性能」、一見しただけでは分からない「管理サービス」や「上下階・左右からの音」、「環境」などに関して説明することです。

と言っても、懸命に説明をしたり、聞かれもしないことにペラペラと喋ったりするのは抵抗があるし、売り急いでいるなどと勘繰られて逆効果になるかもしれないと二の足を踏むはずです。実際その通りでしょう。

筆者がお勧めするのは、「資料の整備」という方法です。つまり「販売ツール」を効果的なものにして見学者に見せる(コピーを持ち帰ってもらう)のです。

単に「分譲当時のパンフレットを渡す」では不十分だからです。住宅性能評価書なども、形式を見ると分かりにくくて使えません。

シンプルに、例えばQ&A式の資料を作成し、パンフレットの中から抜粋した資料と合体させて20ページくらいのクリアファイルに納めるというのはどうでしょうか?

手作りの販売資料ですが、タイトルは「新しく所有者になられる方へ」などとしても良いでしょう。

安心して住んでいただけるための資料作りというスタンスですね。キーワードは「不安解消」です。あなたが、買い手であったときのことを思い起こしながら作成するのです。

「何故この家族は売却するのだろう。何か問題があるのは?」と、このような疑念も見学者の多くは持っているものです。そうしたことにも軽く触れるといいかもしれません。

最後に、今あなたがマンションを将に買おうとしていらっしゃる読者なら、購入時の資料や悩んだ経緯などを書いた記録などを大切に保管しておくことを付言します。5年後か10年後か分かりませんが、売却のときの資料作りにきっと役立つはずです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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