第576回「間取り変更はよく考えて実行しましょう」

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特殊な間取りはいざ売却というとき買い手を限定的にしてしまうものです。限定的ということは、一般受けしないことの裏返しになるわけで、それだけ売りづらいと考えなければなりません。

新築の場合では、期限を設けて間取りのバリエーションを選択できる「メニュー方式」を取り入れている物件が多数あります。

定番は、リビングルーム横にある寝室をやめてリビングを広く使うという形にするものですが、これくらいはさほど問題にならない場合が多いのですが、あまり個性的なプランを選んでしまうと後年「しまった」となりかねません。

●中古マンションの場合

中古マンションを購入してリノベーションする場合も同様です。

リノベーションとは、壁紙や床の張り替えや、せいぜい設備を更新する程度のリフォームに対し、間仕切りを変え、新たな設備を追加するなど、「初期の性能以上の新たな付加価値を付け加えて再生させること」を指します。

部屋の中を、一旦スケルトン(skeleton骨組み。コンクリート剥き出し)状態に解体した後に新たな内装を創って行くので、いわば真っ白なキャンバスに絵を描くわけですから、自由度が高く、オーナーとしては楽しい夢を見ることができます。

キャンバスの上に自由な発想で自己のこだわりを表現することができるリノベーションは、人間の究極の欲求「自己実現」を満足させてくれるものと言えます。

理解できない人から言わせると、浪費するだけの趣味を持つ人が世の中には少なくないようですが、それと同じ感覚で間仕切りを特殊な形にしたり、奇抜な室内デザインを施したりする人がいても不思議ではありません。

そうして完成したマイホームで暮らすことは楽しくもあり、快適な住まいは実行者に新たな活力を与えてくれるのかもしれません。それはそれで結構なことであると思います。筆者も、マンションを買ったときは、いずれも少しばかり間仕切りと造作に知恵を絞ったものでした。

究極は一戸建ての注文建築でした。土地は平屋を建てるほどの広さがないので2階建てにせざるを得なかったのですが、自分で概略の設計をしました。それをハウスメーカーの設計士に渡して進めたのですが、それだけでも実に楽しい時間でした。

多忙な筆者でしたが、取り組み始めると寝食を忘れて図面を描いたものです。打ち合わせも万障繰り合わせて参加し、妻に任せたのは色選びだけでした。

もちろん、出来あがった新居での暮らしは満足できるものでした。

マンションの場合は外枠の決まった中でのことなので、限度があります。しかし、それでも「こだわり」を実現することはかなりの幅で可能です。

但し、あまりに個性的なプラン、奇抜過ぎる内装や色使い、例えばガラス張りのバスルーム、バーカウンターなどのこだわりは、一般的なニーズとマッチしないために売却時に足が遅い(買い手がなかなか決まらない)というリスクを負うことになります。

サウナ付きバス、シャワールーム付き寝室など特殊な装備は次の住まい手から評価されることはないと覚悟しておく方がよいでしょう。「こうするのに1000万円かけたから」などと主張してみても、その分がリセールバリューのプラスにはならないのです。

●新築マンションの場合

新築マンションに戻りましょう。新築マンションで用意される変更間取りは1タイプに5通りものバリエーションを用意している物件に遭遇することがあります。興味を持って眺めてみると、中には特殊な間取りが混じっていることに気付きます。

マンションでは限度があるものの、また購入時期によってはメニューを選べないこともありますし、こうしたいという部分が限られるので夢は浮かびにくいのですが、それでも少しくらいは自己主張したいものです。しかし、細かな部分ではともかく、間仕切りでは大胆さを抑えた方が良いのです。

例えば80㎡の3LDKを1LDKにしてしまう、変形の引き籠り部屋を作ってしまうといったことは注意が必要です。仮に作っても、比較的簡単に元の姿に戻るとか、可変性のある改造を施すといったことが可能かどうか、カギはここにあります。

誤解のないように補足しますが、立地条件とマンション全体の性格やグレードなどによってニーズは変わるものであり、80㎡の1LDKがその立地、そのマンションの中心的な形なのかもしれません。その物件では3LDKではなく、多くても2寝室(2LDK)でいいのかもしれないのです。

その意味から、当該マンションの買い手の傾向をよく聞いておくことも大事です。新築マンションの販売スタッフならニーズの把握をしているはずです。

趣味でかけたお金だから戻ってくることは期待していないという人もあるかもしれませんが、人間は誰でも欲があるものです。できることなら半分でも戻らないかなあ、などと期待してしまいます。

それだけなら大事には至りませんが、全く買い手が付かないで苦労することもあるので注意しなければならないのです。

●リッチな感覚が持てるかどうか

筆者が最後に売却したマンションには洗面台がふたつありました。ひとつは普通に脱衣所の中に、もうひとつはトイレの中でした。

最近はトイレのサイド壁に手洗いカウンターを設けるのが定番となっています。水槽の上が手洗いになった形は影を潜めつつあります。

手洗いカウンターは文字通り手洗い専用ですが、筆者の住んだマンションは手洗い器のあるカウンターが大きく、ボウルも大きなサイズでした。筆者はそこで顔を洗い、ひげを剃るということができたのです。トイレの幅は普通サイズより広くしなければなりませんでした。その分、寝室の広さが狭くなったのです。その寝室のサイズがベッドも置けないようでは困りますが、そこまでのことはなく、筆者はトイレ内洗面所の存在を気に入っていました。

家族の話では、知人が訪ねて来てトイレを使うと、必ず感嘆の声を聞かせてくれるというのです。ちょっとリッチな気分を味わうことができる箇所が、我が家の場合、トイレでした。
(トイレに長く滞在することになるので困ることないかという疑問をお持ちの読者のために補足しますが、そうはならない我が家だけの秘密があったとだけ言っておきましょう)

広さの決まっている家をどうレイアウトしてみても、どこかを広くすればどこかが狭くなり、どこかをリッチなスペースに仕上げれば、別のどこかが犠牲になるものです。しかし、それが極端なアンバランスでない限りは、リッチな気分に浸れる箇所をひとつだけ作ることをお勧めします。

玄関を入ると、靴脱ぎ(三和土)があって、その先にホール、そして廊下と続きますが、ここの演出にこだわることは、将来の売却時も威力を発揮する場合があります。広さが無理なら、床をフローリングではなくタイル張りか天然石張りにするだけでも印象は随分違って見えるものです。

これらの素材は、古くなってもフローリングよりは耐久性が高く、かつ見映えも良いものです。

ホールや廊下の壁紙もこだわる方がいいでしょう。あまり奇抜なものではなく、上質感のある、そしてただのビニールクロスでない素材を選んで張るといいですね。腰の位置までと、その上で張る素材を変えるのも方法です。

新築マンションのモデルルームを見学するなり、インテリア雑誌を見て研究をしましょう。

リッチな気分を味わえるマンションは買い手の購買意欲を刺激します。中古になれば、買い手はリフォーム前提で見学にやって来ることも多いですが、リフォームなしで住める方が安上がりなのですから、リッチな気分に浸れる空間があれば、ここはこのまま残したいと思ってもらうことができるでしょう。

これらが、我が家を高く売るコツでもあるのです。

●改造間取り。売却時の対策は?

間数で言えば、首都圏では3LDKを希望する人が一番多いのですが、購入したマンションが3LDKであって、自分たちの好みで2LDKに改造したら、安全のためには3LDKに変更できることを次の買い手が理解できる、予め変更プランを用意しておくのが最善の策です。

新築マンションの場合は、自分たちが選択しなかったメニュープランも捨てずに置いておきましょう。

ついでに言うなら、費用の「概算見積もり」もあるといいですね。売却を決めたら、依頼する仲介業者の紹介するリフォーム業者に作ってもらいましょう。

本来は、販売員がするべき行動ですが、そこまで期待できる営業マンはいないと思った方がいいのです。我が家は自分が売るというくらいの気持ちで取り組んだ方が成功するはずです。

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