大京の仲介小会社が始めた「売却後もしばらく住んでいられる新サービス」のメリット

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ライオンズマンションで有名な株式会社 大京の子会社「大京穴吹不動産」は、個人所有の中古マンションを買い取った後も売主の個人に2年間住み続けても構わないという新しいサービスを始めたと報じました。

もちろん、家賃の支払い義務を負うのですが、買い替え先の新築マンションの完成引き渡しが2年先というような場合に、2年先の売却時に中古相場が下がってしまったらとか、売れなかったらどうしようといった不安が消えるので、利用価値があるかもしれません。

あるいは自宅を先に売ってから買う家を探すという「売り先行型の買い替え」を希望する人にも有り難いサービスになるはずです。売却後も2年間住み続けられるので、その間に次の家をじっくり探せばいいからです。
「売り先行型」の買い替えは、いくらで売れるか分からないと購入資金を確定させることができないという不安を消してくれます。

新築の超高層マンションを購入した人、もしくは買いたい人の場合、販売開始から完成引き渡しまで、長いものでは3年近く先になるため、早くに自宅を売却してしまうと、一時仮住まいしなければなくなります。つまり二度の引っ越しが必要になるわけです。

その面倒がなくなるというメリットもある制度なので、結構づくめのように見えます。

しかし、世の中、何でもそうですがメリットがあればデメリットも必ず潜んでいます。デメリットは何でしょうか?

大京穴吹不動産にとってのメリットは、買い取って自社所有物として転売するビジネスの展開を増強できることにあります。増強と書いたのは、同社は「個別買取り転売のリノベーション事業」を既に軌道に乗せているからです。

リノベーション事業は、単純な仲介業務より利益が大きいことにあるのです。

仲介手数料は、売りの依頼を受けて、買い手を自ら探せば買主と売主の双方から手数料を収受できますが、その場合で6%+12万円が法的な上限です。買主を自社で探せなかったら、つまり他の仲介業者が買主を先に見つけてしまうと、売主からの手数料3%+6万円しか収益になりません。

仲介業者の多くは前者を狙うものの、実際は後者になってしまうことが多く、大手でも平均の手数料は5%前後と言われます。つまり、在庫を過剰に抱え込むリスクはないものの、仲介業は薄利多売のビジネスなのです。

このような背景があるためか、仲介業者なのに、親会社と同じ自社マンションを開発して分譲している東急リバブルのような例もあります。大京穴吹不動産が新築マンションの販売をしているかは分かりませんが、中古の買い取り販売のリノベーション事業では先行していると見られます。

今回のサービスは、リノベーション中古の仕入れを一層増やす作戦ということなのでしょう。

さて、売り手の個人オーナーの立場では、大京穴吹不動産に高く買い取ってもらえたらいいわけですが、そうは問屋が卸さないのです。業者側としては安く仕入れたいのですから。

当然ながら、売り手と買い手は常に利害が対立するものです。売るときに手数料がかからないメリットはあっても、売りたい金額が手数料分の3%を下回る安値になることは間違いないからです。

2年後に売れそうな金額(手数料差し引きの後の金額)と、大京穴吹不動産が買い取ってくれる現時点の売却額、仮住まいしなくてよいことのメリット、大京穴吹不動産に支払う家賃、こうしたものを天秤にかけて判断することになりましょうから、鍵は「2年先に中古相場がどうなっているかの読み」にありそうです。

先ずは、大京穴吹不動産に「自宅をいくらで買い取ってくれますか」と打診してみることでしょうか?

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