戦略・スキルで新築に劣る中古販売

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

あなたの買ったマンション、あるいはこれから買おうとしているマンション、いつかは売却するときが来ます。

「できたら高く売りたい」これが普通の心理ですが、世話になる仲介業者はどれだけ頼りになるものでしょうか? 

今日は新築マンションの販売方法を意識しつつ、仲介業者の弱点に迫ってみようと思います。

●新築と中古 販売戦略の違い

大量販売と1戸だけの販売の違い・・・新築マンションは、ひとつの物件で何十戸、何百戸という数を販売するわけですが、中古マンションは1戸限定です。ここが根本的な違いであり、以下に述べる販売手法の差に大きく関わっているのです。

広告の仕方の違い・・・1戸の販売にかけられる広告費は高がしれています。新築マンションが何千万円も広告予算を取って臨むのとは大きな違いです。まあ、中古は広告を殆どやらないと思うべきです。

販売員の違い・・・これも言わずもがな、複数の販売スタッフ、物件規模によっては数十人も配置される新築と違い、中古の場合は依頼した業者の担当は僅か一人です。

ただし、実は全国の全ての業者の営業マンが担当とも言えるのです。仲介業者間で売り物件情報は共有されており、売却依頼を受けた業者でない業者でも買い手を探して販売できる仕組みになっているためです。

専任と兼任の違い・・・新築マンションの販売は専任制を採用しています。 現地販売センター(マンションギャラリー)に専任の営業マンを配置して特定物件の販売に当たります。中古マンションは専任者を置かないのが普通で、営業マンは複数の依頼物件を担当します。

受け身か能動的かの違い・・・依頼を受けた物件は自社のホームページに掲載し、アクセスして来る買い手を待ちます。

直接自社を訪問して来るか、スーモやホームズ、アットホーム、ヤフー不動産といったポータルサイト経由で訪問して来るかはともかく、買い手を集める方法はホームページが中心です。反応があってもなくても、ひたすら買い手を待ちます。

また、業者間の情報ネットワークから他の業者を間に挟む形で買い手を待つのです。

どちらにしても、「受け身」の販売スタイルが中古マンションです。

これに対し、新築は顧客獲得チャネルが大きく異なります。

HP利用は同じですが、大きな力を発揮するのが新聞紙面広告やチラシの折り込み、大型看板、TV広告などです。 反応が期待するほどでなければ、これらの媒体露出を増やしたり、他の媒体を加えたりします。

これは、能動的な顧客動員策と言えます。

●利益率の違い

以上の差は、売上・利益の違いから来るとも言えます。

仲介手数料は最大でも取引価格の6%で、通常は3%です。新築マンションは売上で1戸当たり数千万円、粗利益率20%と大きな差があるからです。

●モデルルームの有無の差は大きい

販売戦略の違いの中に、モデルルームの有無を入れてもいいのですが、売主が入居中に売り出すことが多い中古マンションでは、実物をありのままに見せるのが普通です。これをモデルルームとは言いません。

新築マンションのモデルルームは、プロのインテリアコーディネーターが家具やインテリアグッズ等を用いてお洒落な生活空間に演出したものになっています。

その狙いは、買い手を夢の世界に誘い込み、購買意欲を一気に高めることにあります。言い換えれば、「素敵!」「住みたい!」「こんな家を待っていた!」などと買い手を感動させることなのです。

中古マンションで新築のようにしたければ、空室にしなければなりません。また、汚れた室内をクリーニングするだけでは不十分なので、リフォーム工事をしなければなりません。そのようにしたケースもありますが、どちらかと言えば、生活臭が漂った、あるいはところ狭しと家財が置かれた室内を見せるわけです。

夢気分になるか、現実を生のままで見せられて落胆するかの差は月とスッポンです。

●営業マンの古い説得スキルが横行している中古販売

筆者へ相談して下さる人のメール文には、古いタイプの営業トークで契約に誘導されたと思われる事例が多々見られます。

例を挙げてみましょう。「今日この後に3組の内覧予定があります」、「この金額のままで買いたいと言っている人があるのです」、「300万円上積みしてもいいというお客様もいるので、値引きは一切お受けできません」、「1年ぶりの売り出しなので」、「これ以上の物件はまずないでしょう」、「キャンペーン中なので、月末の明日までにご契約の意思表示をして頂ければ、手数料の20%割引ができます」、「ご返事は3日以内にお願いします」etc.

新築マンションの販売でも類似の営業トークを使う例はあるのですが、「販売を開始するまでは契約または予約の申し込みおよび申し込み順位の確保につながる行為は一切できません」と広告に明示してある期間が長いこともあって、最近はあまり見られなくなっています。

新築マンションの場合は、マンションギャラリー内に見学者の購買意欲を高める仕掛けを様々な形で用意し、プレゼンテーションの方法についても入念にシミュレーションしてから営業に入るのが普通です。

これに対し、商品価値を的確にアピールするプレゼンテーションの工夫はなく、購買意欲を高めるための準備も策もないまま物件を案内するという「出たとこ勝負」の営業が中古マンションの主流になっているのです。

●商品知識の欠如が目立つ中古の営業マン

中古の営業が先に述べた古い型の営業トーク多用に走るのは、売るための入念な準備を怠っているからに他なりません。

現地案内も初の見学である買い手同様に初めてという担当者も少なくありません。売主から直接の媒介依頼を受けている業者の担当が同伴するので、その助けを借りればいいくらいの安易な態度で臨む他社営業マン。

買い手の二度目の内覧の際に同伴した筆者から一度、営業マンに尋ねたことがあります。「二重床ですか?」と。すると「そのはずですが、後で確認します」という答えでした。二つ目に「昨年、大規模修繕をしたということですが、どこをどう修繕したのですか?」と聞くと、これも「調べてご返事します」という答えでした。

例を挙げるとキリがないのですが、このような質問を通じて気付くのは、担当者は何も知らないということでした。

物件紹介資料に書かれた表面的な情報、最低限の情報は読めば分かるのです。大事なことは、そこに書かれていない情報です。

買い手には、耐震性の不安、耐久性の不安、瑕疵がないかという不安、遮音性の不安などがあるはずなので、本来そこを解消する答えを用意しておかなければならないのですが、できていない営業マンが多いのです。

顧客から質問が出たら、おざなりの答えをしたり、後で答えますといった対応に終始したりと、準備不足が目立つというほかありません。

●物件への執着・熱意の不足

商品知識が十分でないことや準備不足感が強いのは、新築マンションのように専任担当でないためと考えられますが、付け加えると「気に入ってくれなかったら別の物件を探して当てればいい」という物件への執着心の足りなさも指摘できるのです。

新築マンションの営業マンは担当物件を売るしかないので、売るための準備に余念がありません。商品知識も豊富で関連知識にも精通しています。気に入らなかったら別の物件を、というわけにはいかないので、気に入ってもらうための策を最大限披露します。

営業という仕事に対する情熱は新築の担当が強く、中古は弱いなどということはないはずですが、特定物件への執着や熱意という点では、中古の営業マンは弱いのです。

これは個人の資質の問題ではなく、特定物件の専属という新築の販売態勢と、どれを売ってもいいという中古の兼任態勢が熱意・執念不足の違いとなってしまうのです。

●高く売るには?

これでお分かりのように、我が家を売るとき、仲介業者にも担当者にも多くを期待できないところがあるのです。 たまたま物件を気に入ってくれる買い手が出現する幸運を待つしかないとも言えます。

勿論、腕ききの営業マンは仲介業者の中に少なからずいるのは事実です。しかし、優秀な営業マンを予め探して指名することはできないわけです。

それでは売主としてはどうすればいいのでしょう。そこが問題です。

2015年1月15日のブログで「買ったときから我が家を高く売るための準備を」と書きましたので、そちらをお読み頂きたいと思いますが、我が家を少しでも高く売りたければ、売り手も策を練らなければなりません。

業者任せでは期待はできない。そう思うべきなのです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。

★「無料の未公開情報」(※最新版は、2015年7月26日にアップ)や「マンションWEB講座」など、お役立ち情報も多数掲載されています。

★完成内覧会の立会サービスを「格安」で。ただいま予約受付中!!

三井健太のマンション相談室では、完成内覧会(入居者検査)の同伴サービスを提供しています。

施工上の不具合箇所や施工精度のチェックは気付きにくいものです。チェック漏れを防ぎ、完璧な商品を渡して欲しいとお考えの方は、第三者の目をお役立てください。また、素人の無知に乗じた検査基準の曖昧さや、業者ペースの内覧会運営などに不安をお持ちの方も専門家の同伴は心強いものとなるはずです。

詳細はホームページのトップにある「メニュー」内の「内覧会立会いサービス」をクリックするとご覧になれます。こちら・・・http://mituikenta.web.fc2.com

★ご自宅の「売却相談」始めました!!

マンション購入のご相談を始めてから5年経ち、住み替えを考える相談者も出て来たようです。
 住み替えの理由はいろいろですが、より高く売りたいと考えるのは自然なことで皆さん共通しています。 

購入時のご縁で、売却のご相談も最近ぼつぼつ届き始めたので、本格的にご相談を承る(無料)こととしました。 「不動産の売却は不動産業者へ」という常識は変わらないにしても、不動産業者に任せっきりにするのは少々問題があります。 そこで、まずは筆者にご相談なさることをお勧めしようと思います。

売却するか賃貸するか迷っている。不動産業者はどこがいいか? 査定を依頼したが、期待外れの価格だったので、どうしようかと悩んでいる。住み替え先の入居が来年3月だが、売り出し時期はいつ頃がいいか? 手数料の3%を下げられないか? 入居したまま売り出すより空室にしてから売る方がいいのか? リフォームはどこまで実施すべきか etc. 

このようなご質問・ご相談をお気軽にお寄せ下さい。 お申込みは上記URLからどうぞ。

★第三者の公平な目でマンションを評価する「マンション無料評価サービス」

※ご検討中マンションの価値を客観的に評価し、適正価格かどうかの判定を含めてレポートにしお届けしています。詳細は上記URLで。

「買ってよかった」を再確認したい方もどうぞ。物件サイトが閉鎖されている場合は、建築概要・住戸専有面積・階・向き・価格・管理費・修繕積立金などの情報をご提供いただくことが必要になります。

※中古物件の場合は、物件の掲載WEBサイトのURLをご記入ください。