稀少性薄らぐ超高層マンション
- 2011.05.20
- タワーマンション
ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
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東京でマンションというと右を向いても左を向いても、タワーマンションだらけと言っても過言ではないほど、超高層(概ね20階建て以上)物件の発売件数・戸数は多いですね。
これは、全国的な傾向で、不動産経済研究所によれば2005年~2009年完成のタワーマンションは、90棟(22,534戸)➜92棟(22,923戸)➜123棟(33,370戸)➜108棟(31,487戸)➜123棟(35,607戸)となっています。このうち、70%余が首都圏で、新規供給物件に占める戸数割合はおおよそ30%ほどです。
現在も計画中のタワーマンションは、全国で313棟・106,061戸もあるのだそうです。
東京都心で探したい人は、いやでもタワーマンションになってしまいそうです。3.11地震の影響で、タワーマンションを敬遠する人が増えていると言いますが、今後はどうなのでしょうか?
タワーマンションの価値を再度検証してみましょう。
●タワーマンションのデメリット
先ず、地震との関連で考えるとエレベーターが止まったとき、外出が困難になるというデメリットがあります。階段は下るのも結構つらいものです。勿論、時間帯によっては外出している家族もいるはずですから、帰宅の際に階段を上るのに骨が折れることでしょう。
次に、管理費や修繕積立金がやや高い傾向が見られます。超高層であることから、将来の大規模修繕などに要する経費は高くなりがちです。大型物件が多いタワーマンションですから、スケールメリットがあるはずですが、それでも高くつくようです。管理費に至っては、共用施設や住民サービスが多過ぎる(?)のか、平均より高く設定されています。
最後に、タワーマンションには方位の悪い住戸が多いという難点もあることを付言しておきましょう。
場所によっては、そのVIEWが売り物であることから、西向きや北向きでも人気はあるのですが、日射しがない北向き住戸は、価値があるとは思えないのですが、皆さんはどう思われますか?
●タワーマンションのメリット
一方、タワーマンションのメリットは流石に多いですね。
①都心にあるので、地震で交通機関がストップしても、帰宅難民にならずにすむかもしれない(タワーに限りませんが)
②タワーマンションは、ほとんど例外なく免震構造や制振構造で建築されているので、大地震が来ても揺れが小さく、家具の転倒による怪我など二次災害に遭いにくい。
③タワーマンションは、大抵が戸数300戸以上の大規模な物件なので、共用施設がふんだんに用意され、またコンシェルジュを置いて住民サービスに当たるなど、付加価値の高い物件が多い。災害用に、備蓄倉庫を設けてあるとか、ライフラインが切れたときのために非常用設備(飲料水生成装置・太陽光電源・簡易トイレ・かまどなど)も充実している物件が多い。
●VIEWの良さは必ずしもメリットではない?
売り手がセールスポイントにしている「VIEWの良さ」については、どうなのでしょうか?もちろん、眺望のメリットは高層階の住戸に限られます。超高層マンションがまだ珍しかった時期は、超高層マンション住んでいるというだけで誇らしく思えたものですが、現在は低層階ではその感覚はないのではないでしょうか?真にVIEWの良い高層階住戸だけが、タワーマンションの価値を享受できることになると思いますね。
この点で補足しておきます。超高層マンションが今後も増え続けると仮定したら、購入時点のVIEWは将来も保証されることはないのです。
また、都心部のタワーマンションに住んだ者としての経験から分かったことですが、既存の低いビルの屋根が丸見えになります。その屋根が視界に入ると、何とも醜いというか、少なくとも景色が良いとは言えないのです。視界に入らないほど高い部屋なら別かもしれませんが。
従って、いい眺めだと感じるのは夜間だけです。しかも、景色という奴は5分も見たら飽きるのです。嬉しいのは知人に自慢の我が家と紹介するときぐらい。まあ、それも価値判断の材料ではありますが。
●総合判断でタワーマンションの価値は?
立地条件が同じもの同士での比較で言えば、トータルでは文句なく一般の中高層マンションよりタワーマンションが上回ることでしょう。
地震が起きたときの心配は、階段の上り下りだけです。それも住む階数によっても異なります。購入する部屋が20階くらいと仮定しても、確かに復旧までに時間を要する事態となったら大きな懸念材料ではありますが、電気の復旧はライフラインの中では最も早いと考えられる(事実、阪神大震災のとき、完全復旧までガスが83日を要したのに対し、電気は僅か7日だったという記録が残っています)ので、不便をかこつのは数日のことでしょう。
最も安心なのは、構造でしょう。揺れによる恐怖感が小さく、家具の転倒で大けがといった心配は、多くのタワーマンションで採用されている建物構造によって解消されるはずです。
タワーマンションということでの稀少価値が薄らいだ今日ですが、これから購入を検討する人が比較項目に加え、かつ重視しておきたいのが外観デザインです。どれも似たようにしか見えない平凡なデザインでなく、際立った個性が価値を左右するかもしれません。
デべロッパ―によっては、外国人建築家などにデザイン料を別途支払ってでも力を入れています。外国人だから良い、日本人だから駄目ということではありませんが、過去の事例を見ると、一味も二味も違うことは確かです。
デザインの良さを具体的に言葉で表わすことは困難ですが、「何十年にも亘り陳腐化しない、かつ上質なデザインであること」です。マンションはデザインが勝負。これは、私の持論でもあります。
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