第775回 「タワーマンション。下層階の購入もありだ!!」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

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タワーマンションの価格は、上下格差が大きく、「上層階を選びたいが予算的に無理をしたくないので中層階~低層階から選択したい」という人から「下層階は避けた方が良いのでしょうか?」や、「タワーマンションの価値って何?」といった質問がたびたび届きます。

 

今日は、タワーマンションの上下階で資産価値はどう変わるのかという点について述べようと思います。

 

●新築タワーの値付け「売主の都合」

デベロッパーに所属していたときのこと、タワーマンションの出始めの頃のことですが、部下2人にそれぞれ値付け案を出させてみたところ、性格の差が値付けにも出るようで、万事に慎重なA君は住戸価値による価格差が小さく、大胆な性格のB君は価格差を大きくしてきました。

 

値付けが適正かどうか、それを証明してくれるのが売れ行きです。しかし、結果が出てしまってからでは修正は困難なので、責任者の判断な重大です。

 

タワーマンションが当たり前になった現在、マンションデベロッパーの経験則ができたようですが、ときどき奇妙な値付け案に遭遇することがあります。そこには、販売の戦略・戦術が隠されているようですが、以下で新築マンションの値付けの各論について述べようと思います。

●上階住戸が高いのは眺望だけではない

リッチな気分 見下ろす感覚 自分を誇りたい気分などに浸りたい人は、できるだけ上層階を買いたいと考えます。その心理を知るデベロッパーは、上から2層か多くて3層は、特別な高額住戸を設定します。

 

筆者がかかわった青山のタワーマンションでは、最上階に有名は芸能人が住んでいましたが、当該住戸の専有面積は150㎡を超える大型で、価格も突出して高いものでした。

 

他の部屋との比較をするために専有面積1㎡当たりの単価を算出すると、すぐ下の階とは20%もの高値になっていました。室内の仕様も違うのですが、それにしても差が大き過ぎると思えるほどでした。

 

ところが、最上階を選ぶような買い手は、下の階との比較はしないのです。専有面積が全く異なるので比較の対象にはならないため、価格差が大きいのは当然と受け取り、高過ぎるという判断に至ることはないようです。 言い換えると、高いほど価値ある住戸と捉え、それを購入できる自分を誇らしく思ったりしているらしいのです。

 

価値ある階の住戸から望む景観は別格で、空が大きく広がり、夜間は遠くまでダイヤモンドの輝きが広がっています。 初めて見たときの感動は表現が困難なほどのようです。

 

それを見たとき、買い手は多額の資金を投入して買った自分の判断に酔いしれると言います。広さと設備・仕様の差異もありますが、何といっても眺望価値なのです。

 

無論、プレミアム住戸やエグゼクティブ住戸と称する上層階の住戸を購入する買い手は資金力にも余裕があるのでしょうし、物件価値と自分の価値判断そのものにも満足するようです。

 

●眺望は良いに越したことはないが

下層階は安い・・・そこを選択する人は貧乏な人?

下層階でも高級マンションに住めるのはリッチな証拠

一流企業に勤めているが、若いから年収はまだ低いものの、キャリアを積めば、遠くない将来 上階に住める身分となるだろう。

 

平社員でも〇〇企業に勤めるというと、世間は「良い会社に勤めていますね」と賛辞を惜しまないものです。これと同じで、「〇〇タワーに住んでいる」というだけで誇ることができるでしょうか。

 

一方、奥ゆかしい日本人の多くは「自慢したがる人」に嫌悪感を催すようです。

 

そんなことを思いつつ考えてみると、タワーマンションの購入は、たとえ下層階であっても密かな自慢と思ってもいいのではないか。そんな気もします。

 

●下層階住民でも共用施設は平等に利用できる

資金の都合だけではありませんが、タワーマンションを選びながら下層階住戸を選択する買い手さんは少なくありません。 下層階は眺望が良いとは言えないものです。近隣の高層マンションやオフィスビルが迫っているためです。

 

しかし、このような住戸を購入した住民でも、ビューラウンジやゲストルーム、フィットネスルームといった共用施設を使用することはできます。住民なら差別なく利用できるのです。

 

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新築当初は物珍しさから利用申し込みが殺到して順番を待たなければならないようですが、1年も過ぎれば希望日に利用できる確率が高まっていきます。購入者は、プール付きの我がマンションを誇らしく感じ、家族とともにタワーマンションライフを楽しむのです。

 

眺望が良いとは言えない住戸を選んだ住人も、ビューラウンジから夜景を友人とともに楽しんだりするのです。

 

●マンションは専有住戸を買うのではない

ここで、お気づきの読者も多いと思いますが、マンションは専用住戸のみを買っているのではなく、共用施設を含むマンション全体を買っているのです

 

専用住戸が小ぶりでも、また眺望価値が少々劣る住戸であっても、外観のスケールや30階、40階という高さ、その威容と共に手に入れているわけです。

 

中小型マンションの5階住戸と超高層マンションの中の5階住戸とでは、明らかに後者の方が市場評価は高いのです。つまり、同じエリアにあるとした場合、付加価値の多い超高層マンションの方が高値で分譲されますし、将来の中古価格も、超高層マンションのほうが高値で買い手が決まるのが普通です。

 

市場は付加価値の高いンションを、それなりに評価するというわけです。言い換えれば、マンションの価値は、共用部も含めた総合価値として判断されているということになります。

 

●タワーという名ばかりの残念なマンションも多い

タワーマンションかタワーマンションでないか、その区分はどこでするのでしょうか?これには法的な基準はありません。

 

おおむね20階以上を超高層、19階以下を高層マンションとするのが一般的です。

そのタワーマンションも、200戸以上の大型もあれば100戸程度の中型もあります。

 

大型マンションには、様々な付加価値のあるものがある一方、これと言って付加価値の多くない中型もあります。タワーは、大型マンションの別称と錯覚しがちですが、ただ細身の外観というだけの建物も少なくありません。

 

●賃貸するとき高層階は不利という見方をご存じか

最後に、タワーマンションを賃貸する場合のこと、つまり、転勤のために自宅を賃貸する場合のことで付け加えておきましょう。

 

10階住戸だから高く貸せると期待したが、2階・3階住戸と変わらない。こんな声がたまに届きます。では、タワーマンションの30階住戸ならどうなのか?

 

実は、賃貸の場合は売買の場合とは異なり、階数差は大きくないのです。同じ広さ・同じ方位の住戸も、賃貸の場合は殆んど同じ賃料になるケースが多いのです。ということは、高層階の住戸は高く買っても購入価格ほど高く貸すことはできないということになります。

 

従って、利回りという要素で比べると高層階住戸の利回りは低いということになるのです。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらからhttp://www.syuppanservice.com

 

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