3つの駅が徒歩圏にあるマンションの価値は?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

東京都区部は、鉄道が網の目のように張り巡らされていますから、複数の駅が利用できるマンションは珍しくありません。然るに、なぜか販売広告において、そのことをわざわざ強調しているマンションもあります。

今日は、複数の駅が利用できる物件の価値について考えてみます。

通常利用する駅はひとつだけ

普通の暮らしをする人にとって、旅行や出張などの際に普段使わない路線の駅を利用できるのは便利かもしれませんが、通勤だけなら利用する駅はひとつで良いはずです。

都区内各所に点在する営業所などを頻繁に転勤させられる企業に勤めている人にとっては、複数の路線が利用できるのは魅力に映ることでしょう。また、共稼ぎ夫婦が別々の路線を利用しているような場合に便利という例もないことはないでしょう。
しかし、これは稀有なケースと言ってよいと思います。

従って、複数の駅が徒歩圏にあるマンションに飛びつくほどの魅力があるとは言えません。

複数の駅が利用できると強調するわけ

では、売主は広告で複数の駅が利用できることを何故強調するのでしょうか?
簡単なことです。一駅よりは二駅、三駅の方が広告の訴求対象者が拡大するからです。販売促進の策として当然ということです。

都心部、特に東京中央区の日本橋界隈などでは徒歩圏内に5駅も6駅もある物件が普通に見られます。

しかし、どの駅も徒歩10分前後を要するという、平たく言えば中途半端な距離の物件が中央区以外で見られます。複数の駅に徒歩圏というのはどの駅も遠い弱点を隠そうとする現われなのかもしれません。

複数の駅に中途半端に近いより、買い手にとって使いたい駅に5分以内の近さにある方が良いとは言えないでしょうか?

売却するときのメリットにはならない

複数の駅が徒歩10分前後といった中途半端な物件を買ってしまったとして、それを売却するときが来たときを想像してみましょう。

売り物件の案内ビラに、分譲時にマンション事業者が広告で使った「複数の駅が利用できる」と記載するとどうでしょうか?

おそらく、物件検索で駅名から入れば複数の駅でヒットすることになるでしょう。つまり、販売ターゲットが期待どおりに広がることでしょう。

しかし、駅から遠いと知れば、その先へ進めない人もおおいはずです。それでは意味はないわけです。
冒頭で述べたように、複数の駅が利用できるのは、おまけのようなもので、決め手は使いたいひとつの駅が特に近くて便利と感じてもらうことが大事なのです。

大事なのは、複数の駅が使えることより、ひと駅が「インパクトある近さ」にある物件かどうかです。

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