第781回 「マンションの立地に関する10の質問」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

   

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今日はご質問の中から「立地条件」に関するものだけを選びました

Q1.墓地の横のマンションをどう思いますか?

(お答え)・・・気になるという声が多いのは確かです。しかし、墓地周辺には高層の建物がないので開放的であることも事実です。気にしない人も多く、墓地のために買い手がつかないという声は少ないようです。

 

東京都内にも墓地は無数にありますから、気にし過ぎたら選ぶものがないと言えなくもありません。気になる人は、バルコニーから下方に目をやらない限り墓地が見えない高さの階を選ぶぶなど、住戸を絞るほうがベターでしょう。

 

Q2.海に近いマンションで注意することは?

(お答え)・・・第1には塩害が気になります。海の近くでは、塩の影響で自転車や車などが錆びやすいのです。そのため、こまめに洗車をする必要があります。特に台風など風の強い日には、窓や外壁にも塩が付着するので、メンテナンスが大変という声もあります。

 

第2には、風が強いことです。強い海風によって砂浜の砂が運ばれ、洗濯物に付着することがあります。部屋の中にも砂が吹き込み、窓を閉めておかないと日常生活に支障をきたしてしまう日もあるかもしれません。

 

第3は高波の可能性です。海の近くに住むには、それなりの対策をしておく必要があります。避難場所の確認や防災グッズの準備、緊急時の集合場所を家族で決めておくことなどが重要です。何より低層階の選択は避けた方が無難です。

 

Q3.55歳の夫婦です。郊外の自然環境の良い場所でと思っているのですが注意することはありますか?

(お答え)・・・考え方、生活の仕方にもよるので、答えにくい問題ですが、ズバリ言ってしまえば利便性を優先して選ばれた方が良いでしょう。 お二人のときも、お一人になってからもアクティブな老後の暮らしを望むなら、郊外立地でも外出がしやすい「駅近」のマンションを選ばれた方が良いでしょう。

 

また、将来どこかに移住する必要が起こったときのためにも、売却価値に注目して、駅名・エリアも軽視しない方が良いでしょう。

 

Q4.初めての購入ですが、希望地では予算的に2LDKしか買えません。立地条件を妥協しても3LDKを選択すべきでしょうか?

(お答え)・・・2010年代から、マンション購入者のプロフィールに関する調査データを継続的に見ていると、DINKS(2人世帯)と単身世帯の比率が年々高くなって来たことに気づきます。そのせいで、」最近は望む間取りをは2LDKとする買い手が増えて3LDKに並ぶまでになっているのです。

 

結婚しない人の増加、子供を持たないカップルの増加が影響しているためのです。

このマンション市場の動向にかかわらず、家族数が2人か3人でしたら2LDKにされ、何年か後に不都合を感じられたら3LDK以上の物件に買い替えなさってはいかがでしょうか。

 

立地条件の良い物件を選択すれば、買い替え計画も不都合なく進められるはずです。

 

Q5.郊外マンションを検討しています。安くて広いうえに、共用施設も充実しています。何より、子育てに良い自然環境が魅力です。ただ、主人の通勤が問題です。どう考えたらいいでしょうか?

(お答え)・・・コロナ禍が毎日の通勤という勤務から、週2日とか週1日などに変更する企業を増やしていますが、これが恒久的に続くかは疑問です。 その意味でも、通勤の便を選択の後順位にするのは避けた方が良いでしょう。

 

子育て環境は大事なことですが、東京都心でも公園や子供遊園などが多数あるはずですし、その観点で悪くない立地条件のマンションはあるものです。

 

郊外が子育てに良いというのは幻想や先入観の場合もありますし、将来の買い替えのためにも、安値になる物件が多い郊外マンションは慎重にしたいものです。

 

Q6.小学校まで子供の足で30分もかかるマンション。価格も手ごろで、自然環境に恵まれ、通勤や買い物なども不便ないのですが問題はないでしょうか?

(お答え)・・・小学校が近くにない物件でも、通学路に危険がなければ選択しても良いと考えます。小学校通学は最長6年ですが、同級生とワイワイやりながら通学するのは結構楽しいものです。 それが子供の成長にプラスに働くとも聞きます。

 

マンションの販売広告には、公正な競争のために定められたルールが存在します。それによると、距離を表すときは80メートルを1分とすることになっています。 従って、小学校まで10分と表示されてあれば、800メートルということになります。しかし、これは大人が歩くスピードを基準にしたもので、子供が通学すると15分か20分かかるでしょう。この点には要注意です。

 

また、時間より、通学路に危険個所がないかどうかの視点が優先します。実際に歩いてみることをお勧めします。

 

Q7.バス便のマンションは、やはりやめた方がいいでしょうか?

(お答え)・・・資産性の観点から言えば、避けた方が良いでしょう。

バス便のマンションは安く、環境も良いものですが、人気度では劣るのです。このため、何年か先に売却しようとしたとき、価格は安く、しかも、成約まで時間がかかると覚悟しなければなりません。

 

安く買えば損失が少ないと期待を寄せる人も少なくないのですが、高値の駅近マンションとの比較では、バス便マンションの損失率は大きいのです。

 

Q8.少し不便だが広いマンション、狭いが便利な立地のマンション。同価格なら、どっちがいいですか?

(お答え)・・・広さに問題がない前提であれば、立地条件を優先したいものです。

 

Q9.駅から遠い・近いは、何分が基準ですか?

(お答え)・・・マンションは立地条件がとても重要ですが、立地条件とは、都心へのアクセスがどうかや、最寄り駅までの距離、住環境などを指します。

 

このうち、最寄り駅に近いことが最も重要なポイントとして挙げられます。最寄り駅に近いほど便利であるし値打ちが高いものです。どうせ買うなら駅近がいいと、誰もが考えるためです。

 

では、近いというのはどのくらいを指すのでしょうか?3分や5分は変わらないと考えていいのでしょうか?10分ならどうなのでしょうか?昨今、徒歩10分では遠いとする買手が多く、価格も安くなってしまう傾向が明らかです。

 

駅前マンションが最も価値があるものですが、駅前と言ってもいろいろです。専用デッキで駅に直結しているようなものもあれば、目の前にありながら信号待ちしなければならないもの、傘なしで玄関まで辿りつけるもの、線路わきにあるため騒音に悩まされそうなものなどです。

 

これら個別の条件を勘案しての最終判断にはなりますが、駅に近い、それこそ「へばりつき」のマンションは、やはり値打ちが高いと言ってよいと思います。

 

バブル期のマンションは、駅から遠いものばかりでした。駅近の土地はマンション業者以外の不動産業者等が次々に買収して抱え込んだため、マンション業者は土地を購入できなかったのです。当時は、駅から10分というと、「ほう、近いですねえ」と感心したものでした。

 

最近はすっかり様相が変わり、むしろ駅前マンションが珍しくありません。駅から遠い物件は販売しづらいので、マンション業者も極力、駅に近い物件を開発しようとしています。その結果、3分、5分は当たり前になりました。7分、8分となると、遠いという感じすらします。

 

マンション購入を検討している人の中には、この点に鈍感な人もあるようで、「徒歩10分」ならいいと思っている人も結構目立ちます。

 

遠くても6分以内、できたら5分を目安に選定しましょう。将来、何かの事情で売却するときが来るでしょうから、そのときに「駅近」は絶好のセールスポイントになります。7分や8分ではインパクトが弱いのです。3分、4分と表示することができたら大いに強みになるー-このことを覚えておきましょう。

 

例外的に、駅から遠くても買って大丈夫というマンションがあります。

マンションの値打ちは、立地条件が一番で、次に建物の規模や外観と空間デザインなどのプランニング、更には維持管理体制などで決まってきます。

 

立地条件も、単純に駅に近いか遠いかだけで評価されるわけではなく、自然環境(公園や緑の多さなど)も影響してきます。駅から徒歩10分の物件と、やや遠いけれども、それに代わる大きな魅力がある物件ならば、それでマイナスは相殺される可能性があります。

 

たとえば、東京ドーム1個分もある大きな公園に面しているとか、マンション自体が大型開発であって、敷地内に豊富に植栽が施され、建築後何年かしたら、まるで公園の中にマンションが建っている印象になる、あるいは駅前が公園になっていて、その公園を抜けた先に大型スーパー中心の商業施設が整備され、その横にマンションがあるといったロケーションはマイナスを埋めてくれるに違いありません。

 

Q10,きれいな川に面しているので1階でも開放的なのが魅力です。また、子供が走り回ることもあって、1階を選択しようと思います。何か問題はありますか?

(お答え)・・・1階住戸は子育て期間中には安心の階と言えるでしょう。しかし、人気度は低く、価格も安くなりがちです。新築の分譲価格を見ながら上階の単価と比較すると、安さが際立ちます。そうしないと中々売れないからです。

 

単純比較で安くない例もありますが、その場合は専用庭とテラス面積を大きく取って魅魅力を高めているはずです。言い換えると、1階住戸のマイナスをほかのプラス要素を設けることで補っているというわけです。 それでも1階住戸の選択は慎重にしたいものです。

 

購入時に安いとしても、将来の転売価格は一段と安くなる可能性があるからです。安くなってしまうのは、購買層が限定されるからです。

 

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