値上がりしていると聞いたときは既に遅い

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

知人が経営する企業の株式を割り当て増資に応じて持ったことはあるものの、それ以外に株式投資をした経験がない筆者には株式市場は不思議としか言えない世界です。

株価がどんどん上がる状況のとき、まだ上がると読んでの判断なのだろうと理解しつつも、遅れて買いに向かう人がいることに、他人事ながら「大丈夫なの?手遅れなのでは?」という感想をいつも持ちます。

また、知人がつい最近FX投資を始めたと聞いて首をかしげます。1ドル=80円のときに始めていたら、110円を超えた今、大きな差益を得られたのは間違いないですが、110円から始める心理がよく分からないのです。

株式投資の世界では、「底値で買って天井で売る」という理想的な投資タイミングを表す言葉があるそうですが、それを実践することは難しいことのようでもあります。

まだ上がると信じて上がり相場で買い、しばらくは一段と高値になって喜んだものの、売り時を間違って結局は損をしたという実例は枚挙にいとまがないこともよく知られています。

不動産・マンションの投資においては、株や為替のように分・秒刻みで値動きはしないものの、半年か1年単位で見ると価格の上昇・下落は起こっているので、自分が買った自宅マンションの値動きを気にする人があるのでしょう。

●住まいは売らなければ損得は表面化しない

しかし、現に住んでいるマンションの価格がいくらになろうと関係ないという見方もあります。

大きく値上がりしているとしたら、それは含み資産があることを意味し、売れば多額の現金資産を手にできるかもしれません。

しかし、自宅を失うわけには行かないので、そのまま住み続けると、利益は実現しません。むしろ、固定資産税が増額されて出費が増えることになるかもしれません。

反対の場合も同様です。 値下がりによって含み損を抱えても、売らずに住み続ければ損害は実現しないのです。

住まいは、本来なら「使用(利用)価値」をもって選択すべきものです。

通勤の便や買い物の便、緑の環境など、好きな街で暮らす喜び、最新の便利な設備と好きなインテリアに彩られた住まいでの快適な暮らし、こうしたものを求めるものです。

しかし、家はライフステージの変化によって不都合なものとなり、新たなものを求めるようになるものでもあります。環境が変わることで住みにくい状況になることもあります。

家の広さ・間数、建物全体・設備の劣化などのほか、立地については家族の誰かにとって不都合となることもあり得ます。

不都合になった住まいは、処分して住み替えればよいのですが、賃貸住宅では容易なことでも持ち家となると処分は簡単ではありません。

売却したくても株や通貨ののように2~3日で売買が成立するわけではないからです。買い手が直ぐに現われたたとしても、売り希望額には大きな隔たりがあったりします。

マンションにしろ一戸建てにしろ、建物は経年劣化しますから、当然のことながら新築のような価格ではないわけです。

問題は、その額です。購入額から大きく減価していれば、下手すると住宅ローンの清算すらできない、つまりその時点の残額にもならない価格であるかもしれません。

それでも売却するなら、預貯金から足し増ししてローンを清算することになります。その上で新たな住まいの資金を計画しなければなりません。

新たな住宅ローンを組むには年齢的な制約があることでしょうし、頭金も思惑が外れて減ってしまうかもしれません。

●どうせなら値上がりしそうなマンションを買いたい

このようなネガティブな想像をするにつけ、家は快適性とともに値上がりするような価値ある家、つまり資産性の高い家を持ちたいと考えるのは必然かもしれません。

最近(この10年間くらいのことですが)資産価値を気にしつつマンション選びをする人が増えています。 

現に購入価格より高値で売れたマンションが存在することを知っているからでしょう。できたら自分もそんな正しい選択をしたいと考えている人たちが東京圏では多いのです。

先に、建物が劣化してしまうから新築より安くなるのは当然と書きましたが、購入価格を超える価格で売却が可能なのはどうしてでしょうか? 

ここでは理由を説明しませんが、東京都内のマンションの半数が築後10年時点で購入価格と同じくらいか上回っているのです。少なくとも最近10年の実績ではそうでした。

周辺部でも、物件によっては10年前の分譲(購入)価格から10%以上高く売却できた例が、実名入りで週刊誌に紹介されたりしています。

住まいとして快適であるうえに、資産価値も高く維持されるであろうと期待できるマンション、そんな両得のマンションを選ぼうとすることはいいことですが、資産性の判断が適切でない人もありそうに思います。

というのも、高値掴みをしてしまったらしい人を筆者は少なからず知っているからです。

高値掴みとは、冒頭で述べた株や為替の取引のように、まだ上がると信じて買ったマンションが実は既に天井に達していて、売却のときには買った金額以下になって落胆してしまうことを意味します。

鉄道の新線が通り、新駅ができる、駅前再開発が進む、大型のショッピングセンターができる、新築マンションが多数建設され街並みが一変する・・・こうしたニュースはそこに住む人に自宅の資産価値の上昇を期待させるものです。

ただ、特定企業の株が成長や売上・利益の増大から買われて高値になるのは、成長や利益確定の前の思惑による先行買いが入るからですが、マンションの場合は、新築に限ると土地代と建築費の原価積み上げで決定するので、株のような思惑によって価格が上げるわけではありません。

しかし、経過だけを見ていると、開発によって街の魅力が増大して人気が高まり、買い手が殺到することによって分譲価格も上がって行くように見えます。

新築価格が上昇すると、当該エリアでは程なく中古マンションも上がり出します。

どうせ買うなら、そのような価値の上昇が期待できる街のマンションを買いたい。そう考えるのは人間の自然な心理です。

●「高値買い」と「高値掴み」

しかし、値上がりしそうなマンションを選択するのは簡単ではありません。

問題は、もっと上がると信じた買い物が、数年先には値下がりに転じる可能性がないかどうかです。

高値で買っても、下がらなければ落胆はしても損はしないのですから「高値掴み」とは言えません。

しかし、天井近くで買ったあと、その後、値下がりに転じてしまったら、それこそが高値掴みになります。

値上がりトレンドに乗じて買ったマンションが、その後も値上がりし続けると考える判断根拠が筆者にはよく分かりません。値上がりしていると聞いたときでは遅いのですから。

右肩上がりはいつまでも続きません。上がり過ぎたら必ず調整期が来ます。

海の物とも山の物とも分からないうちに買うというのは無理でも、底ばいが続き、資産価値が上がるまでには、まだまだ時間がかかりそうだなと感じるくらいの方がよいのです。

●成熟した人気のある街は堅い

街の発展に期待し、自宅マンションの資産価値の上昇に期待して購入したものの、当てが外れるくらいなら、既に成熟した街は怪我がない。こちらの選択が真理ではないかと思うときがあります。

既に価格も高いので買いにくい場合もありますが、再開発によって最近人気が急上昇した街ではなく、30年くらい前から人気を集め続けている「住んでみたい街ランキング」の上位に入るような街やブランド地の一角に食い込む街は当たりはずれがない。言い換えれば、その投資は堅いのです。

実は、そのような街は古さゆえに、やがて再開発の波がやってきて益々人気が高まる確率も高いのです。勿論、そのようなことになれば望外のことですが、前の方で述べたように「住まいは使用価値が本来の目的」です。

そう思えば、結果がそうならなくてもアンラッキーとは言えないし、落胆も失望もないわけです。

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