第766回「大型マンションが良いと言われる理由」
- 2021.11.10
- タワーマンション マンションの資産価値
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。
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大型マンションとは、東京では大半が「タワー型」である場合が多いので、この記事では「タワーマンション」と同義語と考えて頂いて結構です。 さて、大型マンションはタワーであるか否かを問わず、総じて人気は高く、価格も高いという傾向があります。そんな大型マンションを様々な角度から分析してみました。
●タワーマンションの暮らしをチェックしてみる
2011年の東日本大震災を思い出してみましょう。
都心には多数の帰宅困難者が最寄りの駅などにあふれていました。その後、ほどなく交通が正常運転に戻りましたが、当時は食品や日用品の買い占めが起きるなど、パニック状態が続きました。
タワーマンションでは、エレベーターが停止したり、大きな横揺れによって家具が転倒したりといった被害が少なからず発生しました。 一方、最近は、度重なる巨大地震の教訓から、災害訓練を定期的に行うマンションも増えており、個人宅でも備えもがしっかりしているという報道も度々目にするようになりました。
高層マンションだから危険ということはないのかもしれません。ここからは、タワーマンションにおける日常の災害対策を見て行きましょう。
*家具の転倒防止を図っていますか?
*5日分程度の非常用食料など非常用グッヅをそろえてありますか?
*防災訓練に参加し、いざというときの「共助」のため、近隣住民との関係も築いていますか?
・・・・・こうした心がけが重要とされます。
●最新タワーマンションの災害対応設備を点検してみる
*飲用水のための貯水施設はあるか? (防火用の水槽と飲用を兼ねられる浄化装置)
*非常用備品の備蓄倉庫は各階でなくとも、せめて5層ごとにあるか? (救助物資、懐中電灯、携帯トイレ、救助工具、ヘルメット、など)
*災害時の活動拠点となるスペースはあるか? (1階のホールやラウンジ、集会室など)
*一時滞在ルームにもなる「宿泊可能なゲストルーム」はあるか? (エレベーターが停止しているときの高層階居住者のために2階、3階などのゲストルームを一時宿泊所に転用できるなど)
・・・・・これらの設備及び備品は、大規模マンションならではのものです。中小型マンションでは、1階倉庫に非常用備品を備える例がないわけではありませんが、圧倒的に大型タワーマンションの独壇場と言って過言ではないようです。
●資産価値から見た大型マンション「外観デザイン」
さて、大型マンションは中小型マンションに比べて分譲価格は高いですが、中古市場でも高値で買い手がつく傾向があります。高値になるのは、それだけ市場評価が高いことを意味します。
大型マンションの市場評価が高い要因を整理してみましょう。
大きいだけでも存在感はありますが、これにシンボル的存在になりそうなデザインが加われば、マンションの価値のプラスにも役立つはずです。
分かりやすく言えば、「大きくて格好いいマンション」の値打ちは高いのです。言い換えれば、買い手の評価が高いのです。 格好の良いマンションはと問われてすぐに思い浮かべるタワーマンショのひとつが「帆掛け船」のイメージで有名な「The TOKYO TOWERS(下の写真)」です。
これ以外には、「トライスターデザイン」と言われる、上空から見てYの字型になっているタワーマンションを思い浮かべます。次の写真は、その代表「スカイズタワー&ガーデン(江東区豊洲)」です。
●タワーマンション人気の秘密
タワーマンションは何処が良いのでしょうか?タワーマンションが嫌いだという人も少しはいるのですが、圧倒的な人気を集めています。 人気の理由を整理してみます。
人気の理由(1)・・・・存在感が違う
「どうだ、俺の家は!!」と胸を張る男性オーナーがありました。大昔から、成功者や権力者は大きな屋敷に住むのが定番でした。 家来の住む部屋が必要であったし、武器庫も必要でした。客人を迎え入れる部屋も必要でした。
また、政治という仕事をする部屋と寝所や居間も別に必要ですから、自ずと大きな家、すなわち館(やかた)、居城が必要だったのです。
昔の、そんな姿や暮らしぶりを現代の日本人は誰でも知っています。民主主義の現代でも、権威ある人は大きな家に住む傾向がないわけではありません。とはいえ、使用人を抱える暮らしを送る人は極めて限定的です。
何より、高い固定資産税が大きな屋敷を維持しにくくしています。それ以上に高いのが相続税です。個人が大きな土地家屋を代々保有し続けることは困難なのが現実です。
そのせいもあって、お屋敷と呼べるような家に住む人は稀有です。弔事も慶事も自宅で催す慣習は消え、公共・民間を問わず自宅以外の施設を使うことが普通の姿に変わりました。大きな屋鋪は要らないのです。
東京圏では、70㎡程度の狭いマンション住まいが一般化しています。そのマンションも外から見れば、広さもグレードも分からない集合住宅住まいが普通ですが、100㎡以上のマンションに住みたくても、それを許さない市場構造になってしまったためでもあります。
その代わりというわけではないのですが、買い手・住み手は無意識に「マンション全体の姿などに立派な家を求める」ようになっています。
中(専有部)は見えなくても、外観の威容、グレード感を求めてしまうのです。 その観点から、無意識にタワーマンションに向かうと考えられます。
人気の理由(2)・・・防犯性が高い
タワーマンションに限ったことではないですが、大型マンションの多くが、セキュリティ意識が強く、設計段階から十分な対応を取っています。外からマンション内に侵入することは困難なしつらえや質的な対策が取られています。
人気の理由(3)・・・駅前などの便利な立地
タワーマンションの殆どが駅前や遠くても徒歩5分以内に立地しています。これも人気を博する要因です。
人気の理由(4)・・・付加価値が高い
大規模マンションは、タワー型であるとないに関わらず、ハード、ソフト両面で付加価値が高いものになっています。各種の共用施設があり、24時間有人管理などのセキュリティもレベル以上、何より眺望価値が高いものが多いのです。
個別住戸にスポットを当てれば眺望の良くないものもありますが、共用の展望ラウンジを利用すれば美しい景色を堪能することが可能です。
人気の理由(5)・・・ステイタスシンボル足り得る
何といっても、立地と建物外観の差別感が明白なタワーマンションは、そこに住む住民の誇りとなり、ステイタスシンボルとなるのです。
●折角のデザインも電柱・電線が景観を壊すものだが・・・
日本の風景で残念に思うことのひとつは電柱と電線の存在です。昔から見慣れた光景なので普段は気にしていないものの、電柱も、垂れ下がった電線も美しいと感じる人はいないはずです。
その点、タワーマンションは電柱も電線も無関係と言って過言ではありません。3階か4階の住戸を買ってしまうと、目に飛び込んでくる例がないわけではありませんが、高層階へ行けば電柱・電線の存在すら目に入りません。 意識している人はいないほどで、タワーマンションに電線・電柱は目に入らないのです。それだけでも美しい家・マンションと言えるでしょう。
●景観を作り出す公園付きの大規模マンション
タワー型には限りませんが、大型マンションは敷地が広く、敷地内に公園・庭園が設けられています。これも付加価値と言えます。
敷地外にある公園が借景となって人気を博すマンションも稀に見られますが、マンション自身で公園を敷地内に設けられれば、それはマンションの付加価値となって行きます。それが可能なのが、言うまでもなく大型マンションです。
足元がマンション住民以外も通ることのできる広場状になっている大規模マンションがあります。これは、公共の用に供することを条件に容積の割り増しを貰って大型化したもので、本来なら30階建てが限度の地域に50階建てマンションを建設したりできるのです。
●敷地内公園・空地、共用施設が交流を生み出す
大規模タワーマンションの敷地の一角は、通行するだけの広場ではなく、寛ぐことも、食事を取ったりすることも可能なベンチが置かれるのが普通です。
住民同士が、そこでくつろいだり談話したりも無論できますから、これも付加価値のひとつです。
タワー型に限りませんが、大規模マンションには敷地内にマンション専用の庭園や広場以外にも大型の共用施設が複数用意されるのが普通です。 そこでは、憩いの場所として利用されるだけでなく、様々なイベントや体づくり、子供の雨天遊技場、習い事教室などとしても使われます。
昨今は自宅で仕事をする人の増加のためか、「スタディルーム」が大流行だそうです。 共用施設は元々このようなニーズを想定して設けられたものですが、居住者の年齢が年々上がることによって宝の持ち腐れになっているという例もあります。しかし、若い層に入れ替わっているマンションでは、重宝なのだとも聞きます。
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