超高層マンションについて

タワーマンション、すなわち20階建て以上の超高層マンションのことである。どこにも定義として書かれてはいないが、いつの間にか業界の慣例で、そんな区別がされるようになった。

 さて、そのタワーマンションがこの10年くらいの間に急激に増加した。規制緩和の流れを汲んだ形であるが、倉庫や工場跡地などの広い敷地を利用して建つマンションは、ほとんどすべてがタワーである。東京都内のマンションは、すべてタワーといっても過言でないほど、新規発売の広告はタワーばかりだ。

 もはや、タワーマンションには、希少性のかけらもない。今は、むしろ住宅街にできる低層マンションの方が値打ちがあると思うほどだ。

 敷地を有効に使うためには、こうする方がいいという都市開発の見本のようなタワーマンションだが、居住者にとっては問題もある。これまで大きな社会問題になったことはないが、タワーマンションが少数派だったからかもしれず、今後は、数が増えたことで、問題が表面化してくる可能性もある。
 
 問題とは、病理的なものである。
 流産・死産の比率が低層住宅に住む人より、明らかに高いという。風による揺れが、ウツ状態の人を増やしているという研究結果も明らかになっている。また、外出の機会が減ることで、引きこもりの子供が増えたり、高所恐怖症ならぬ、高所平気症の子供ができてしまうなどの報告も聞いたことがある。
 
 必ずしも20階以上のマンションに限ったことではないらしいが、上層階ほど危険が高いのだという。因果関係が、証明され、そのことが大々的に報道されるようなことにでもなったら、タワーマンションを買う人はなくなるだろう。急にそんなことにはならないかもしれないが、それでもタワーに憧れて購入する人は、外出回数を増やすなどの自衛を心掛けた方がよさそうに思う。
 
 それにしても、タワーばかりでいいのか。そんな漠然とした疑問や不安が消えない
 
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