単身者に人気のコンパクトマンション事情

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

東京圏で新築マンション購入者の4分の1以上が単身者であるという昨今の市場を反映しているのでしょうか、最近の御相談者には独身の方が目立ちます。
そこで、今日は「コンパクトマンション」を検討するときの参考になる話題を選んでみました。
●コンパクトマンションの定義
業界でいつの間にか定着した定義があります。それによれば、専有面積が30㎡台から50㎡台(30~59㎡)のマンションを「コンパクトマンション」と呼んでいます。
間取りで言うと、1DK~2LDKです。
単身者の中には60㎡を超えるタイプを購入している人もある反面、コンパクトタイプを購入するDINKSも最近は目立つのだとか。また、稀に、小さな子供との3人家族が購入するケースも見られるようです。
●コンパクトマンションの新規供給
単身者やDINKSでマンションを購入する人たちの購買力は、総じて決して低くないのが実態です。住宅資金贈与の特例税制が効果を発揮し、親族から頭金贈与を受けて購入する人も多いためですし、DINKSは2人合わせると高所得者になるからです。
これらのニーズが増えたことに伴い、この10年くらいは、デベロッパー側も新規供給を積極的に増やしてきました。
この種のマンションは、ファミリータイプ混在型のマンションから、コンパクトマンションばかりで構成された純粋コンパクトマンションとを合わせると、新規供給量は東京23区で2009年が32.6%、2010年は上半期のデータしかないが25.1%にもなっているそうです。
コンパクトマンションの標準的な広さを50㎡と無理矢理に決めて東京都内・各地の価格を出してみると、2010年は、港区が約5,800万円、渋谷区5,200万円、千代田区5,000万円、目黒区5,000万円、新宿区4,600万円、品川区4,600万円、文京区4,500万円、中野区4,300万円、世田谷区4,300万円、中央区4,300万円、大田区4,200万円、豊島区4,100万円、杉並区4,000万円などとなっています。
上記以外の区(江東区、台東区、江戸川区、練馬区、北区、板橋区、墨田区、足立区、荒川区)は、3,000万円台です。葛飾区は2,700万円と、最も安い区になっています。
●超高層マンションの中のコンパクト住戸
コンパクトマンションは、ファミリータイプが中心のマンションの中に混在する形で企画されるものがあります。主として超高層マンションの下層階に、それは用意されています。
物件によっては、投資目的と考えられる買い手が入ってしまう、もしくはデベロッパーが最初からそのニーズを期待して企画したケースもありますが、いずれにせよ、ほぼ例外なく下層階にはコンパクトタイプを編成して販売しています。
●純粋コンパクトマンション
マンションの全住戸がコンパクトタイプで占められているというものを、「純粋なコンパクトマンション」と呼ぶべきと私は考えますが、その種の物件も多数供給されるようになりました。2008年以降は全体的な供給の落ち込みから、コンパクトマンションも絶対数は減少していますが、それでも次のような例が見られます。
主なデベロッパーの販売中マンション(2011年6月現在。東京都区内のみ)を拾ってみましょう。表示は順に、売主・物件名・交通・敷地面積・階数・専有面積帯・間取り・価格です。
①三井不動産レジデンシャル・パークリュクス西新宿(新宿区)/敷地面積983.22㎡/13階建て/71戸/25.01~66.64㎡/1R~2LDK
②三井不動産レジデンシャル・パークリュクス三宿(世田谷区)/田園都市線「池尻大橋」「三軒茶屋」各9分/敷地面積1020.8㎡/7階建て/45.02~62.66㎡/51戸/1LDK~2LDK/残住戸4戸3,800~5750万円
③三菱地所レジデンス・ザ・パークハウス・アーバンス高輪(港区)/都営地下鉄「高輪台」5分/敷地面積298.64㎡/12階建て/22戸/37.05~57.17㎡/1LDK~2LDK/新発売3600~5600万円台
④三菱地所レジデンス・ザ・パークハウス・ア―バンスお茶の水(千代田区)/東京メトロ「新お茶の水」他3駅各2分/敷地面積347.75㎡/14階建て/38戸/54.4㎡/2LDK/Ⅱ期3戸5,348~6,048万円
⑤大京・ライオンズアイル赤坂(港区)/東京メトロ「赤坂」2分/敷地面積295.13㎡/14階建て/48戸/30.22~35.03㎡/1DK~1LDK/新発売3,600~4100万円台
⑥東急不動産・ブランズ東麻布(港区)/都営地下鉄「赤羽橋」1分/敷地面積516.62㎡/14階建て/59戸/37.07~55.32㎡/1LDK~2LDK/残住戸3,690~5,380万円
⑦東急不動産・クオリア新宿余丁町(新宿区)/都営地下鉄「若松河田」4分/敷地面積1698.15㎡/4階建て/75戸/37.75~45.63㎡/残住戸2,670~3,200万円
⑧住友不動産・シティハウス勝どきステーションコート(中央区)/都営地下鉄「勝どき」3分/敷地面積743.92㎡/12階建て/68戸/40.14~58.84㎡/1LDK~2LDK/価格未定

このデータの中で注目して欲しいのは、敷地面積並びに戸数です。比較的大きなものでは、東急不動産の「クオリア新宿余丁町」の1698.15㎡がありますが、他は1,000㎡程度、小さなものは、三菱地所レジデンスと大京の2物件が300㎡未満の敷地ですね。
つまり90坪程度の小さな敷地に、ペンシルのように細い建物が12~14層で立つのです。
当然ながら、戸数も少なく、上記の中では22戸が最少になっています。
●デベロッパーの狙い
30戸の物件を開発するのも100戸の物件を開発するのも手間は同じです。しかし、実り(売上・利益)は小さいのです。
このような物件の企画はどうして生まれるのでしょうか?
用地がスムーズに買えないことがその背景にあります。
用地難は慢性的な事情ですが、別の見方をすると売り地は多数あるものの、条件の良い土地の競争は激しく、必要な量(売り上げ等)の確保のためには、本意ではない土地も取得して行かなければならないことが理由です。
本意でない土地のひとつは、事業効率の悪い小規模敷地です。小規模な土地は、当然に小規模な建物になるため、建築費その他でスケールメリットが生まれません。また、付加価値の高い物件は企画困難です。
●割高なコンパクトマンション
小型物件で、かつコンパクト住戸ばかりで企画すると、建築コストはどうしても高くなります。同じ敷地に80㎡の住戸を30戸つくるのと、40㎡の住戸を60戸つくった場合で説明しましょう。
面積の合計は同じでも、玄関ドアも、トイレも、ユニットバスも、ファミリータイプが30台ですむのに、コンパクトマンションの方は60台必要になるため、コンパクトタイプで固めた企画の方がコストは余分にかかります。
住戸と住戸を仕切る壁も多くなります。遮音性に配慮した仕上げを施したコンクリート壁は、単純に言って2倍必要になるのですね。これもコストアップ要因です。
●将来が心配なコンパクトマンション
コンパクトマンションの一番の懸念材料は、小型マンションであるがゆえの管理費・修繕費の問題です。小型でも、大型マンション並の管理や修繕計画を導入すれば、そのコストはかなり割高になるのです。
ところが、実際には販売のしにくさを考慮して、安く設定するケースが少なくありません。これが何を意味するかは賢明な読者はお気づきでしょう。

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●貧相なマンションの将来価値は?
また、小規模マンションの場合、特に狭小敷地のペンシル型マンションは、外装やエントランス周りをどんなにデザインしても、威風堂々にはなりません。当然ながら、ゆとりがほとんどない建物です。大きく育つ植栽で囲むなどということも困難です。
つまり、貧相とは言えないまでも、立派な外観にはなりそうもなく、館内のグレードがどれほど高く造っても、周辺の建物に埋もれた形にしかならないのです(例外もあるでしょうが)。
●買うなら大規模マンションの中のコンパクト住戸を!
結論を急ぎます。基本的には大型マンションの中のコンパクト住戸を選ぶことをお勧めします。
大型ならではの風格、充実した共用施設など、多分に付加価値を備えているからですし、管理やメンテナンス面でのメリットもあるからです。配置は10階以下の下層階になってしまう場合もありますが、それは同時に割安な価格で入手できることでもあるのです。
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