第743回 「タワーマンションが嫌いな人はどうしたらいいの?」
- 2021.03.10
- マンションの資産価値 マンション購入アドバイス 超高層マンション
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。
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タワーマンションが嫌いという人に時々お目にかかります。どうしてかを問うと、「高いところが苦手」という人、「巨大過ぎて馴染めない」、「共用施設の使いみちがないから」等々。
理由はともあれ、「嫌いなものは嫌い」ということなら取りつく島もないですが、都心で価値あるマンションと言えば、タワーマンションが大半を占めるのです。
タワーマンションが嫌いな人は、良いマンションを見つけられるのでしょうか? そんな疑問を抱えつつ、今日もご相談マンションの評価レポート作成に追われる筆者ですが、実は昨日も大型タワーマンションのご相談が2件ありました。
東京都内の新築マンションは「タワーマンション」が主体になるとして、中古物件になると、タワーのご相談はぐっと減ります。つまり、中古ならタワーに限らず選択できるのです。タワーが嫌いな人は新築マンションを買うのは難しいのでしょうか? そんなことはありませんが、候補物件が狭まるのは確かです。
しかし、タワーでない物件を求めても新築マンションの供給戸数が激減している現在、東京圏で新築マンションを買うのは難しい時期にあるからです。 今日はタワーマンションが嫌いという人へ筆者なりの助言をさせていただこうと思います。
●タワーマンションの良い点・メリット
タワーマンションの良い点は何といっても開放感でしょう。眺望と言い換えても良いはずです。
筆者も、一時タワーマンションを購入した経験を持ちますが、初めての夜景は感動的でした。 上階の高額住戸には手が届かず、買った部屋は中間階でしたが、それでも遠くまで見渡せるので、完成直後の内覧会で室内を訪問したときは大きな感動を味わったものです。
知人が「景色なんてものは、5分も見たら飽きるのさ」という言葉が今も今もとげのように刺さったままですが、ときどき見る窓外の景色は自宅で過ごす居住者に清涼剤のごとく働くのではないかと想像したりしています。
(実は、そのマンションは買ってほどなく手放したのです。残念!!)
タワーマンションの多くは大規模です。タワー型に限りませんが、大規模マンションには様々な共用施設が用意されており、その付加価値は低くありません。
共用施設というと、スタディルームやキッズルーム、パーティルームなどを思い浮かべる人も少なくないようで、「そんなものは要らない」などと語る人もありますが、自分が使うか使わないかで判断するのはいかがなものかと筆者は考えます。
なぜなら、売るときが来たら、見学者の多くは、それらの施設を見て価値があると感じてくれる、すなわち高値で売れる確率が上がるからです。 最近はコロナ禍のために自宅で仕事をする時間が増えた人も多く、スタディルームがあると仕事に集中できて助かるという声も聞こえて来ます。
マンションの施設の要否、マンションの価値判断は時代と共に変化するものと言えるようですが、無用の長物になってしまうものは少ないのです。利用者が極端に減っても、別の用途を考えて行けば、きっと喜ばれるに違いありません。
タワーマンションの話でした。
高い所に住むのは、世間を見下ろすかのような心地よさがあると語った人がありました。なるほどと思いますが、それよりは「遠くまで見渡せる開放感なのでは」と筆者は考えます。
●タワーマンションの気になる点
タワーマンションで問題になることはあるのでしょうか?
ここでネガティブな所感を述べるのは気が進まないのでやめておきますが、いくつかはあるようです。しかし、大きな問題ではないとだけお伝えしておきます。
気になる点を敢えて挙げれば、タワーなのに低層部の住戸を買ったばかりに眺望価値が高くないというケースです。なるほどと思いますが、タワーマンションの上層階には専有面積の広い家族向け住戸が配されていて、単身者用やDINKS用の小型住戸は下層部に集まっている、「下層部は景色が良くないので、タワーマンションの意味がない」という意見に反論はできません。
とはいえ、景色を楽しみたかったら、上階に設けられたビューラウンジに行けばいいのです。 また、「例えば、5階だってタワーマンションには違いないですし、共用施設の利用にも差別はないはずです」ということもできます。
大型タワーでエスカレーター付きのマンションなら、それだけでびっくり仰天、見学者を感動させるはずです。タワーマンションには、長所・美点は少なくないものです。 総じてタワーマンションは価値が高く、たとえ低層階でも近隣の「非・タワー」より高値で取引されているものです。
無論、例外もありますが、総じてタワーマンションは低層階の住戸を含めて高値で取引されています。下層階に住んでも、立派なタワー以外のマンション居住者なのです。
●タワーマンションの将来価値
タワーマンションの価値は、同地域では傑出しており、高値で取引される傾向があるのです。
古くなれば、別の理由でマンションの市場価値は下がって行くのですが、比較論を語ると、タワーマンションは高値を維持する傾向が見られます。
古くなって、眺望価値が下がったというケースも皆無ではありませんが、20年経っても変わらぬ眺望価値を持ち続けていれば、その分が高値を維持するはずです。
マンションの価値で他に変わらないものは、駅からの距離も挙げられます。 稀に駅が遠くへ移動したり、反対に近づいたりという例がないわけではありませんが、これは例外です。
駅から遠いマンションの価値が時間の経過で高くなることはなく、駅から近いマンションは高値を維持する傾向は確かにあるのです。
タワーマンションでも同じで、駅近のタワーマンションの価値は高い評価を長い間受け続けるに違いありません。 タワーマンションが駅から遠いという例がないわけではありませんが、大半のタワーマンションは駅前・駅近の立地条件を備えているものです。マンションの価値の過半が駅からの距離で定まるので、これは大きなアドバンテージになるのです。
●タワー以外のマンションを買うなら
そもそも、マンションの価値は一番に立地条件によって決まるのです。同じ都心マンションでも、価値が高いとされる街と、もうひとつの街があります。
昔からマンションの中で最も高値を呼ぶのは、3A地区と言われて来ました。麻布・赤坂・青山のことです。このエリアは、庶民には手が届かない高値で分譲されて来たのです。
3A地区以外では、広尾や代々木、松濤町、恵比寿、代官山、白金、番町なども昔から高級住宅街として憧憬の街に数え上げられてきました。
上記の有名住宅地以外にも人気があって、高額所得者が多数集まるエリアとして知られる街がありますが、このような立地なら、タワーにこだわることもないと言えます。
上記以外にも人気があって高値を呼ぶマンションは無論ありますが、逆説的に言えば、価値あるマンションを買うなら「中古市場で高値が付いているエリア」が良いと言えます。
筆者は、よく次のように発言します・・・・・「安値のマンションを探すのではなく、高くて手が出ないと感じるような人気エリアに焦点を当てましょう」と。
そのようなエリアでも、築年数が重なってくれば安くなるのです。 新築が100であるとき、築20年の中古なら70で売られているはずです。買ったマンションの10年後、新築マンション100は80に値下がりし、20年中古70が70に留まるということもあるのです。
結局は物件次第ということですが、古過ぎるマンションは別の問題を指摘せざるを得ない場合もあるので、シンプルに言えば「築20年程度」までと、筆者は便宜的に線を引いています。
タワー以外のマンションを選ぶ場合、その対象は広く、選択しづらいという事情もあるはずです。そこで、この項の冒頭で述べたようなブランド地にこだわらないとしても、二番手クループ、3番手グループから探すようにすればいいでしょう。
●値崩れしにくいのが人気エリアの共通点
中古マンションが高値で取引されるエリアは人気エリアと言えます。人気エリアは、古くからマンションが開発されて来たので、中古マンションも数多く見られます。
新築マンションは滅多に出ないので、中古マンションの価格相場は高く維持されています。 建物だけを見れば、大型マンションの多い湾岸エリアの方が立派な物件が多いのですが、マンション選びは立地優先の人が多いので、歴史の長い人気エリアは、全体的に価格が高く維持される傾向があります。
「腐っても鯛」ではありませんが、人気エリア、人気アドレスにこだわるのも悪くありません。東京は、地方都市から移住した人が多く住んでいます。筆者もそうですが、故郷の友人に年賀状を送ったとき、友人から「お前、いい街に住んでいるな」と電話をもらったことがありました。
実は、冒頭の3A地区でもなく、2番手グループの街でもないのですが、友人は大学に通学した4年間だけだったので東京の街に偏見があったのでしょう。 それでも筆者はいい気分になったものです。 その後も何度か、どこに住んでいるかを問われる機会がありましたが、筆者がマンション関係の仕事に就いていたからでしょう。
「いい街ですね。うらやましい」などと世辞を言う人も少なくなかったのです。 人気エリアでは、総じてマンションの価格は高く、中古マンションも高値で取引されています。どうせ買うなら、資産価値が落ちにくいマンションが良いはずですから、可能なら人気エリアで買いたいものです。
●予算を無理したくない人は「築20年中古」を視野に入れると良い
とはいえ、人気エリアのマンションは中古でも高値です。そこで、敢えて築浅物件を除外するのがお勧めです。
日本人は「新しいものを好む傾向が強い」ので、新築がないなら中古でも仕方ないが、できるだけ新しい中古が良いという思考をしてしまうようです。
しかし、その考えに筆者は与(くみ)しません。 築浅の中古は人気が高く、買いにくいからです。たくさんの見学者も集まるので、売り手は強気で、値引きなどとんでもないと頑な(かたくな)です。
マンションの寿命は長いのです。築20年を経過しても余命はたっぷりあります。築年数にこだわることはありません。検討時間がしっかり取れる物件が望みなら、築浅に絞るのは得策ではないのです。
●3LDKを選択肢から外すのもよい
最後に、もうひとつ条件を加えるとしたら、「2LDK」が良いでしょう。無論、家族構成によるので、2人か3人までの家族に限られるでしょうが、十把一絡げに3LDKと語る人が多いので、敢えて「2LDK」と言いたいのです。
筆者も最初のマンションでは2LDKを選択しました。数年後に3LDKに買い替えることができて満足度が高くなったことを記憶しています。
2LDKでも、無論とんでもなく広いものもありますが、平均的には60㎡程度です。このくらいに収めれば、価格も安くなって資金に余裕ができるはずです。余裕ができれば、対象エリアも広がって候補マンションを見つけやすくなります。 もともと2LDKは3LDKほど多く供給されていないのですが、市場に出回る数は大差ないと見ています。ともあれ、2LDKまで対象を広げれば、3LDK一本やりで探すよりも探しやすくなるのは間違いありません。
・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらから(http://www.syuppanservice.com)
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