第591回 不動産の専門家とは?

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください☆★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

専門家と言われる人たちの中には「怪しげな人」もいます。何をもって専門家というのでしょうか?マンションの関連でいうと、以下に挙げるような人達が専門家と言えるのでしょう。

不動産の法律に詳しい人?住宅ローンに詳しい人?売買契約の実務に詳しい人?不動産の売買市場の動向に詳しい人?地価の動向に詳しい人?不動産の開発に詳しい人?新築マンションのプランに詳しい人?マンションの適正価格の判定ができる人、設計に詳しい人?不動産の価値判断に詳しい人?一定地域の売買物件に精通している人?

この中で、マンション探しをしている人にとって、ふさわしい専門家はどれでしょうか? この視点で考えたとき、明快な答えは中々見つかりませんが、今日は皆さんの羅針盤か灯台になれればと、そんな日ごろの思いから専門家はどこにいるかを探ってみました。

●不動産コンサルタント

国家資格の不動産コンサルタントは、不動産の運用に関するアドバイザー的な仕事をしている人たちですが、辞書によれば 「単純な売買、賃貸等に留まらない多様な不動産ニーズに対応すべく、高度な専門性と充分な経験を保有 している事を保証する為に創設された資格である」 とあります。

「社会経済環境の変化に伴い、不動産に関するニーズは多種多様なものとなっており、不動産の証券化の進展など不動産をめぐる制度も大きく変化していることから、不動産の有効活用や投資・相続対策等について、高い専門知識と豊富な経験に基づく不動産コンサルティング能力の必要性が高まっている。不動産流動化・証券化の発達に伴い、新たに生まれた有効活用手法、投資手法への対応も含まれている。平成25年1月から、資格者の名称が公認 不動産コンサルティングマスターに変更となった」とも付記されています。

額面通りに受け取れば、「不動産の有効活用や投資・相続対策」に関するコンサルティング能力を有する専門家」のことですから、マンション購入に関するご相談ということでは必ずしも適任ではないように思います。

●不動産鑑定士・建築士・司法書士・宅地建物取引士

いわゆる「士業(さむらい業)」も、マンション購入に関する相談相手ではなさそうです。宅地建物取引士は、マンション・住宅営業マンの過半が資格を持っていますが、資格があっても、どこまで頼れるかは別物です。

同じことは、他の資格者にも当てはまります。

筆者の友人で長く信託銀行不動産部で不動産鑑定士を務めていた男がいますが、彼も鑑定士の資格は無論、宅地建物取引士の資格、司法書士の資格も持っていましたが、マンションの価値を「鑑定」することはできても、買っていいマンションかどうか、市場を広く見渡して値打ちのあるマンションかどうか、今後どのような市況になるかなどということは全く分からないのです。

一級建築士の友人も、建物の安全性やグレード感、デザイン性、材質、構造について語ることはできても、不動産価値という見方では何も知りません。司法書士しかりです。

●不動産アナリスト

アナリストは「分析官」という意味でしょうか。今後の不動産市場の方向性について信念を持って予想できる人がいるかもしれません。

過去のデータを長年に渡って蓄積しており、かつデータの意味を理解して不動産市場を動かす要素、例えば金融や景気変動、政策などと関連づけて明確な理論を持っている人です。

よく新聞や週刊誌に登場する、銀行の不動産部出身のSさんなどが代表格と言えましょう。この人なら、不動産・マンション価格が今後どのように動くかを適切に教えてくれるでしょう。マクロ市場、若しくは特定エリア全体の動向と見通しについては、まさしく専門家なのですが、購入マンション個々の値打ちと価格の妥当性を的確に分析するようなことは日常行っていないようですし、得手ではないかもしれません。

●住宅評論家

自称評論家はどの業界にも多いものですが、マンション業界にもたくさんいますね。出自を調べて行くと、不動産情報誌の取材記者や住宅雑誌の編集者、広告会社で不動産広告の営業をしていた人、不動産調査の会社にいた人たちのようです。

この人たちは、いろいろなマンションを見て来たらしく、AマンションはこうだがBマンションはこうだ、Cマンションはこれまでに見聞きしたマンションにはなかった画期的なコンセプトで企画された素晴らしいものだ、Dマンションはあれが悪い・ここが悪い・・・といった、将に「評論」が得意な人たちです。

収入源は雑誌に記事を書いて原稿料をもらう、ときどき本を執筆して印税を得る、中にはテレビ番組に出て出演料をもらっている人もあるようです。講演料という収入を得ている人もありますね。

こうした人たちが、購入マンションについてどう思うかと尋ねられたらどんな答えをするのだろうか?聞いたことがないので分かりませんが、もし特定のマンション業者から一度でもお金をもらったら、その業者の批判はできないでしょうし、特定業者の物件を推しがちになるのでは、そんな疑念を感じます。

買い手の立場に寄り添って客観的にアドバイスする・意見を言う、そんなことが本当にできるのだろうか?そんな疑問は消えません。

●マンション販売の営業マン

筆者がマンションデベロッパーの社員であったころ、「何故この間取りは客に受けて、別の間取りは人気がないのだろう」、「A社が買う土地とわが社が買う土地に差があるのはなぜ?」、「さほど良い立地とも思えない物件がよく売れて、割に良い立地の物件の売れ行きが悪いのはなぜ?」、「この設計だと建築費が高く、この設計は安上がりになる。どうして?」、「建築費の見積額を見ると、どうして上下20%も30%も差が出るの?」などといった「なせ?」の連続の日々でした。

今思えば、なぜの連発から、マンションビジネスの真髄をつかもうとしたのですが、デベロッパーに就職して最初の配属はマンション営業だったので、最初は「この顧客は、どうしてこのマンションが良いと思ったのか、何故この間取りを選んだのか、何故こんな大金を用意できるのか、何故35年もの長く高額なローンを組むことに抵抗がないのだろう、未完成のマンションを想像だけで買うことの度胸はいったいどこから来るの?」といった具合に、変人と言われながら探求心旺盛な姿勢が自分なりの理論を作り上げることも役立ったと思っています。

このころ、次のようなことを真剣に考えたことがありました。

買い手の悩みや問題点を整理して、その解決に助言をする。それが営業の理想像ではないのか?

買い手は「AとB、買うならどれがいいか」と悩みます。ときには第三の選択肢「買わない」も出てきて悩み、迷うのです。その悩みや迷いを解決してくれる職業は存在しないようだ。だったら自分がその助言者になろう。

こんなことを考えていました。しかし、そこには無理があると後に気づくのですが、若い頃は真剣でした。自社の新築物件には顧客のニーズに合わないことが多かったからです。所詮、自分は営業マン、買い手にとって不都合な商品でも売るのが使命。

顧客の悩みや迷いを解くことは一定程度まで可能としても、最後は営業マンの使命と義務を果たすために、押し付け販売をしなければならないのか、そんな葛藤にぶつかる日々でもありました。そうこうしているうちに、営業を卒業しました。

買い手にとって、とても誠実で好青年と思い、信頼して購入しても、のちに裏切られたという経験をお持ちの読者もあると思いますが、筆者に届くトラブル相談の8割は「信じたための感情的なギャップ」が根底にあるようです。

多くの相談者は「営業マンは信用できない」と語ります。筆者も、そう思います。なぜなら「嘘はつかないが、都合の悪いことはダンマリを決め込む」からです。

つまり、契約を取るための障害にならないことについては冗舌だが、不都合なことは口を閉ざし、買い手は気付かずに通り過ぎることを祈っているのが営業マンのスタンスなのです。

●マンション購入に関して相談できる専門家はいるの?

お分かりいただいたかと思いますが、マンション購入に際して深く勉強をなさる買い手さんは多いですが、仕事をしながらの作業なので限度があるでしょうし、毎日の仕事として情報収集と研究にいそしんでいる立場の人には敵わないのです。永久に追いつかないと言っても過言ではないでしょう。

マンションを購入し、マンションライフを経験済みの人も多いわけですし、買い替えによって儲かったという体験者も多数あるはずです。しかし、そのような知識と経験を持つ人でも、物件によって、また購入のタイミングによっては判断に迷うことがあるようです。

そんなとき、的確な助言・判断材料を出せる人はあるでしょうか?

筆者に届くご相談は、「少し高いと思うが、眺望もよいし、駅からの距離や環境も悪くないと思うが、この価格は適正だろうか?」、「今の時期は高いのもやむを得ないと思うが、将来の売却金額が心配だ」、「気にいらないのは直床という点だが、それについてどう思うか」、「小型マンションだから仕方ないと思うが、ディスポーザーのないマンションは売却時に低い評価にならないか」、「ボイドスラブなのに25センチの厚みしかない。Uさんの本には30センチ以下はダメだと書いてあったが、高額マンションで遮音性が低いのはどうなのか」、「天井が2550ミリしかない。この金額のマンションで2550はどうなの?」、「2020年まで待とうかとも想うが、たまたま飛び込んだモデルルームを妻が気に入ってしまった。どうしたものか」、「勢いで買ってしまった。この物件の評価はいかほどのものか?」、「これといった共用施設がないマンションだけど将来価格にどう影響するか?」、「固定か変動かで迷っています」、「建物の引き渡しが2年後です。金利リスクは?」、「契約をキャンセルしたい。手付金を半分でも取り戻せればと考えています。方法は?」など多岐に渡ります。

これらのお尋ねに的確に、かつ明快にお答えして行くには、アナリストであり、建築士であり、宅地建物取引士であり、市場調査員でもあり、不動産鑑定士でもなければなりません。

筆者は長く研究を続けて来たので、「購入と売却」の諸問題について、ひととおりのお答えはできる自信を持っています。しかし、その答えに対する評価はどうなのか?気になることです。
評価は相手がすることであり筆者自身は語ることではないのですが、少しはお役に立っている。そんな実感もあります。同時に、情報収集と研究は永遠に続けなければならない。そう思いながら今日も幾多のご相談に当たっています。

ご相談の結果は、個人情報を秘匿しつつ、このブログで所感や理論として開示したりもしますし、HPでご案内の「未公開資料」や「フリーBOOK」のご提供などの形でもみなさんのお役に立ちたいと考えています。

これらの情報はすべて無料なので、どうか積極的にお取り寄せ下さり、お目をお通しいただければ幸甚です。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。