第1期販売は“様子見”が賢明(2月5日partⅠ)

新築マンションの販売は、全部を一遍に売り出さず、何回かに分割して売り出すのが一般的です。

例えば、100戸のマンションを40戸、30戸、30戸というように3回に分けて販売するのです。

東京圏では、500戸以上もあるようなメガマンションが時々販売されます。こうした物件は、初回で200戸売り出し、その後は平均50戸ずつ6回に分けて残りの300戸を売り出すというような、細かく分割して販売するのが普通になっています。

販売が好調であれば、第3期くらいで終了(完売)してしまいますが、長期戦を強いられている場合は、第5期とか第6期などの売り出しになっています。

中には、第5期3次とか、第8期5次などとわけの分からない表現で何度も「新規発売」を謳う物件もあるのです。

このような販売方法は、事業者の戦略として選択されますが、その狙いの一部を紹介しましょう。

「100戸全部を売り出して50戸しか売れないときは、販売率(契約率)が50%、すなわち50%の売れ残り物件を抱えた恰好となり印象として芳しくないが、売り出し戸数を50戸に絞っておけば、50戸全部が売れて契約率は100%になる可能性が高い。

そうなれば、好調なイメージが出来上がり、好評理に第1期は完売しましたなどと広告で謳うこともできます。

そうした方が、次期の販売にも良い影響を与えるので、トータルではうまく行くと販売業者は信じている」のです。

この戦略を採られると、買い手は50戸しかない中から、ほかの買い手と競うような雰囲気の中で購入を迫られるときがあります。

確かに、一定期間に訪れる買い手の数が一緒なら、100戸より50戸になった方が、競争率が高くなり、買い手を抽選で決めるという状況もあり得るのです。

冷静に考えれば、まだ在庫が50戸あるのに、その中身(間取りや価格)が見えにくいこともあって、買い手は先に売り出した50戸の中から選ぼうという心理に誘い込まれます。

また、仮に次期販売分が見えているケースでも、抽選に落ちて買えなくなる可能性もあると判断し、次期を待たずに購入申し込みを決めてしまう買い手も多いのです。

抽選倍率が10倍を超えるようなケースでは、後半も即日完売が続き、いつまでも申込しないでいると、結局手に入らない可能性もあるのは事実です。

だが、実際はそこまでの人気がないケースの方が多いのです。その場合は、慌てないで次期を待つ方が得策です。

1戸しかない特殊な住戸、例えばルーフテラス付きの住戸などは別ですが、複数あるタイプならば初期から慌てて申し込む必要はないのです。

売れ行きが悪くても売れ行きが良いように見せかける(見えてしまう)のが、分割販売という戦略であり、真実は違うケースも少なくないからです。

本当の売れ行きは大したことがなく、竣工時点で半分しか売れない見込みであるようなケースでは、販売促進のために、実物モデルルームとして使用したから、もしくはモデルルームであったということにして(大義名分として)値引き販売に踏み切ることさえあります。

「待てば海路の日和あり」ではないが、慌てなければ、そうした恩恵にあずかれるかもしれません。

売れ行きが良いか悪いかは、じっと観察していると分かるものです。売れ行きがあまり良くない場合は、売り出しと売り出しのインターバルが長くなったり、何回目かの売り出しの時に、前の回の残り住戸を同時募集(広告に明示)したりします。

例えば、「第3期00戸。0月0日より登録受付」+「先着順受付00戸」の並列表示になるのです。

1回当たりの売り出し戸数が数戸しかない「チビチビ売り出し」も同様です。

その他では、モデルルームの混雑具合などからも雰囲気は伝わるはずですし、 抽選倍率でも見当はつくものです。

例えば、平均倍率が2.0倍に達しないとき、1.0倍住戸が半数以上あるときなども、確実に売れ残りが出るものです。

ところで、「自分としては条件も良く、優良な物件と判断したのだが、売れ行きが悪い物件はやはり良くない物件なのであろうか?」このような疑問を感じる向きもあるようですが、必ずしもそういうことではないことをお伝えしておきましょう。

立地条件もまずまずだし、プラン(仕様や間取り、設備など)も水準以上、売主も有名といった物件がなかなか完売しないのは、単純に割高なだけです。

戸数が多いために残るということもあります。その場合も、戸数に見合うだけの顧客動員ができない理由は価格の問題である場合が多いのです。
(根本的な問題は立地条件はさほど良くないとも言えるのですが)

他には、営業がよほど下手か、広告費を削っているかしか原因はないものです。

長期戦の物件は、竣工前後に必ず価格の引き下げがあると見ていいのです。

そのとき、大々的に価格を変えるという方法なら、平等を期すために先行契約者にも恩恵が回って来ますが、「モデルルームをお譲りします」という形で、モデルルームとして使用していた住戸をのみの値引きで乗り切ろうという場合は、先行契約は損ということになります。

恩恵とは、値下げ率を定価で先行契約者にも適用し、差額を調整する(価格変更契約の締結)というものです。 しかし、これは滅多にあるケースではありません。ほとんどが売れ残った住戸のみを対象に何らかのディスカウント販売にするものです。

モデルルームのみの販売も、その大義名分による多数の値引き販売である場合も実態は結構見られます。

ともあれ、初期の売れ行きがもうひとつという印象がなくても、つまり第1期か2期あたりまでは熱気に包まれていたりするものですが、それ以降は閑散とした状態になってしまうケースも多いのです。

このような事態になるかどうかを見通すのは難しいことですし、8割も売れてしまったときでは欲しい間取りや階の住戸がなくなってしまうかもしれません。

少し前にこのブログで述べた「買いたいときが買い時」ではありませんが、売れ行きばかりを気にしても前には進めないので、気に入った物件があれば速やかに判断を下したいものです。

ただし、初期の熱気むんむんのモデルルームに身を置くと、冷静さがどこかへ行ってしまい、大事なことを見落す危険があります。そこで、とりあえず第1期の申し込みは見送ることをお勧めします。

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