おまけ付き・完成マンションに飛びつくな!

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介/構成:①マンション選びの重大ポイント②不動産業者と営業マン③一戸建てかマンションか④郊外か都心か⑤持ち家か借家か⑥購入資金⑦その他の疑問・悩みなど・・・について毎月5と10の日に投稿しています。

工事が完成した状態で販売中のマンションは現状どのくらいあるのだろうかと軽く調べてみました。3月は集中的に増える時期であり、4月の今カウントすると一気に増えている可能性も高いので、今回は完成後半年を経過した物件だけを見ることにしました。
その結果、近畿圏では69物件で、これは販売中物件281件の24.5%に相当します。首都圏は市場規模が大きいこともあって完成後半年が経過した物件は96件と多いものの、比率は12.8%でした。
首都圏ではあまり表面上見かけなくなりましたが、近畿圏では値下げ物件が数多く見られます。500万円ダウンは平均的で、中には1000万円近い値下げ事例もあります。値下げ率で言うと、最大27%、平均的には15%程度と見られます。
市況が良くなりつつあったとはいえ、売れ残りマンションにとっては厳しい状況が続いていることを推測させる話です。今後、東日本大震災の影響が景気悪化を招きマンション販売の悪化につながると、完成マンションはますます売れ行きが鈍化するかもしれません。
ともあれ、完成済みマンションの購入を検討する際の注意点を以下にまとめてみましたので、是非参考になさって下さい。
●完成済みマンションは不人気の証拠か?
マンション販売は、工事途中に行なう青田売りが一般的です。マンション工事は建物の高さによって期間が変わり、概ね階数プラス2か月が必要とされています。
14階建ての高層マンションなら16か月を要します。これだけの期間を利用して販売すれば、戸数が膨大な物件を別として、完成時までには大抵完売してしまいます。
建物が完成したときに完売していれば、事業者は建築代金をゼネコンに支払う原資を、売り上げ金から確保できることになりますが、売れ残ってしまえば、借入を起こすなどして別途準備をしなければならないことになります。
普通、工事代金は完成後半年以内に支払う契約をゼネコンとの間で交わしています。正確に言えば、品物を引き渡してもらいたいので、6か月以内に決済する約束手形で完成時に支払うのです。勿論、現金で支払ってしまう事業者もないわけではありません。
従って、建物完成から半年以内に完売か、完売近い状態にしなければ、手形決済に窮する恐れがあります。そこで、多くの事業主は建物完成時までに完売させるべく工事中に販売を開始するのです。
実際の結果はどうなるのでしょうか。人気の高いマンションは、建物完成は1年も先なのに、販売開始後ほどなく完売してしまったりします。反対に、完成した時点で30%も売れ残ってしまうような物件もあります。
一般的に、建物が完成しているのに売れ残りがあるということは、不人気マンションであることを裏付けています。
●人気が出るか出ないかは需給状況によっても変わる
人気がなさそうな物件、例えば最寄り駅から徒歩15分といったものでも人気を集めて売れてしまうことがあります。それは、地域の需給状況が左右します。
ある地域において、駅近のマンション販売が全くない状況にあれば、駅から遠いマンションでも「仕方なく」購入する人が増えるからです。
この2年ほど、首都圏で郊外の低価格マンションは供給が激減しています。つまり、買いたくても予算的に届かない人が2年分溜まっている状態にあるのです。そのため、郊外のマンションは少々条件が悪くても人気を集めるものが多くなっています。
こうした状況は、一口に言えば「需要が供給を上回っている」ことを意味します。その場合は、極端にはどんな物件でも人気を集めてしまうことになるのです。
従って、「逆は真ならず」で、完成前に完売したマンションがすべて優良マンションとは限らないということになります。
●戸数が多過ぎて売れ残ってしまうこともある
人気を集め、即日完売を続けた評判のマンションが建物完成後も売れ残っている例は、首都圏にもたくさん見られます。その原因のひとつは、戸数が多過ぎることにある場合です。
人には好みがありますから、いくら好評を博している物件と聞いても「私はこういうタイプのマンションは好きでない」とか、「この地域から他には移りたくないから興味ない」と考える人も大勢いるわけです。また、通勤や通学の関係で選択はあり得ないという人もあるわけです。
1つのマンションが一定期間に集められる需要の量には限度があるのです。大型マンションは、多くの場合、とても魅力が高くて広範囲から顧客を集められる吸引力があります。しかし、それでも限度があるということでしょう。ともあれ、完成後も売れ残った物件も、時間が経てば、新たな需要が現れ、やがて完売に至ります。それまでには、戸数が多いほど時間がかかるということになります。
つまり、「売れ残り=良くない物件ではない」のです。ただ、本当にそうであるかは、よく見極めることが必要になるでしょう。

●完成済みマンションの利点・完成済みマンションを検討する価値
完成マンションのメリットはどこにあるのでしょうか?
①実物が確認できるから失敗が少ない日当たりや眺望が確認できる/部屋の広さや天井高・梁下寸法を確認できる/周辺建物からの目線・プライバシーがチェックできる/道路などの外部騒音をチェックできる/風通しが分かる/防犯カメラの位置を確認できる/敷地内公園・駐車場・メールボックス・ゴミステーションなど共用施設の確認ができる
②引き渡しまでに金利の上昇が起こる心配が少ない住宅ローンは融資実行時点の金利が適用されます。完成が1年先という物件の場合、売買契約時点で1%だった金利が1年後も2%に上がることは誰にも否定できません。その点、完成マンションは引き渡しがすぐに可能ですから住宅ローン金利も変わらない安心感があります。
③2011年中の引き渡し物件に対する優遇税制がフルに利用できる(個人差あり)詳細は割愛しますが、住宅ローン控除の限度額が来年は狭くなります。来年完成のマンションでは、その恩恵を満額受けられない人もあります。
④完成物件にはお得な特典付きが多い「モデルルームに展示していた家具」をサービスで付けるというのが多いですね。
完成マンションを抱えてしまった事業主は、完売を急ぐため、様々なおまけを用意して買い手の決断の後押しを図ります。完成マンションならではの優遇措置です。
●完成済みマンションの値引き販売の意味
完成済みマンションの値引き販売の意味を掘り下げてみましょう。
マンションの粗利は20%しかなく、そこから広告費その他の販売経費を引いた純利益は10%前後になります。10%の利益で経営するのですから、売れ残りは、マンション事業者によっては死活問題になるといっても過言ではありません。
しかし、在庫が少数なら、それを1~2割値引きしたとしても全体では利益を確保できるはずですから、思い切って2割引きで早期完売しようという計画もありうるのです。
東京都区部のマンションなら平均で5,190万円(2009年)もしますから、2割引きなら、約1,000万円引きで販売するという話です。従って、500万円引きなどは驚くに当たらないことになるでしょう。

いずれにしても、値引き販売中のマンションを検討する際に注意したいのは、値引きしないと売れないマンションだという事実をどう判断するかという点です。
商品が悪いとか、欠陥があるとかいうことではありません。そういう物件もありましょうが、市況が急に悪化したために売れ残ったというものもありますし、数が多過ぎて残ってしまったというケースもあります。
しかし、多くの場合は価格設定を誤ったケースです。と言っても、不当な利益を目論んだわけではないのです。

ともあれ、値引きした後の価格がもともと適正なのかもしれません。つまり、値引きマンションは、必ずしもお得とは言えない場合もあることを覚えておきましょう。

値引き交渉してみて、成果が期待できる時期というものがあります。
建物が完成に近づいて在庫が多数あるときです。学期の変わり目の3月引き渡しが工事スケジュールになっているマンションが多いのですが、3月は売主の決算期でもあります。
できるだけ多くの戸数を3月中に引き渡しをしてしまいたいと考える売主は、1月から2月下旬にかけて販売を急ぎます。引き渡し戸数目標が決まっていて、足りないときは特に販促に拍車をかける時期に当たります。
このようなときは、思い切って大きな金額をぶつけてみましょう。交渉術に長けている人は、駄目でもともとの精神で臨むものです。

相手が売り急いでいるようなときは、ズバリ「ちょっとおまけしてくれたらここで決めますが、どうですか」と言うことですね。当然「いくらですか」と聞いてくるでしょうから、そのとき平然と大きな金額を言うのです。
理由など説明する必要はありません。安い方がいいに決まっているのですから。

百万円と言って百万円になるよりは、1千万円と言う方が、5百万円は無理でも3百万円の値引きを勝ち取る可能性が高いものです。
最初は、「それはとても無理です」と答えるでしょう。そうなったら、「では、いくらなら勉強してくれますか」と切り込めばいいのです。「ちょっと上と相談しませんと・・・」と反応したら脈ありですね。
販売が順調ならば、売主も強気ですから、「ご勘弁ください」と値引き交渉に応じないでしょう。しかし、それでも粘って交渉すれば、価格以外のサービスを何がしか提供してくれることがあります。
例えば、「モデルルームに展示していた家具」や「登記料の売主負担」、「駐車料5年分無料(売主負担)」といったものです。

こうした駆け引きが苦手な人や、値引き交渉をしたことのない人は、「何かおまけは付かないのでしょうか」から口火を切ってみてはどうでしょうか。

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