新築マンションはもう要らない?

「新築マンションはもう建設の必要がないのでは?」と、このような疑問の声がある。これは、中古マンションを買いたいと考えている人の話である。

 最近、中古マンションも値上がりし始めたという統計(首都圏)が出ている。2年ぶりに上昇に転じたようだ。景気回復の兆しの一つでもあるが、注目すべきは今後の見通しで、「新築マンションの供給水準が低レベルなので、中古マンションは値上がりしやすいという専門家の見方があることだ。
 筆者も同意見で、新築が品薄のときは中古に流れる買い手が増えて、中古の相場は底上げされるものである。また、新築価格が上昇傾向にあるときも、手が出ない階層が中古に流れるので、中古の価格は上昇する。
 ともあれ、中古マンションの人気が出ているということではない。新築マンションが少ないための一時的な中古人気と捉える方が正解であろう。

 新築物件が品薄と書いたが、価格の調整によって新築マンション販売は薄灯りが見えてきたようで、不動産経済研究所の発表では、このところ好不調の目安である月刊契約率は70%台で推移している。景気浮揚策の一つ、金利の引き下げ(当初10年間▲1.0%)の効果も大きい。即日完売物件もだいぶ現れるようになったことから、上向きは確かなのだろう。
 しかし、供給量も幾分増加傾向を見せ始めたものの、水準は低い。住宅情報誌を見ても、薄さ、すなわち物件数の少なさは相変わらずの感がある。1年以上前の完成売れ残りも目立つ。本格的回復にはほど遠いのである。

 現状のマンション市場を概括すると、上記のようになるが、冒頭の疑問に対する答えを模索していこう。新築マンションに対する需要は、ひところより減退したとはいえ、まだ相当数あることが明白で、景気回復が進み、先行き不安が薄らげば、潜在的な需要も表面化して、新築マンション市場は活況を呈するはずである。すなわち、新築に絞ってもマンション需要は根強くあるというのが、大方の業界関係者の見方である。

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