リノベーション住宅は楽しい

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

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リノベーション住宅という言葉を時々目にする昨今ですが、これはどのようなものでしょうか・
リノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりすることです。古い貸しビルや中古マンションの室内、外装を大幅に改修して新築時のような雰囲気にして再販売されるマンションを言います。
近年、老朽化などから借り手のつきにくくなったビルを全面的に改装してマンションに蘇らせたものが話題を集めています。魅力はなんといっても価格が安いことです。
個性的な間取りであったり、外観にも金をつぎ込んだケースではデザイン的にもユニークなものになったりするせいで、画一的なマンションを嫌う層から好評を集めているようです。

●リフォームとの違い
リフォームは、煙草のヤニなどで変色した壁紙を張り替えたり、絨毯の床をフローリング材に変更したりする程度、せいぜいキッチンを旧式のタイプから最新式のシステムキッチンに交換したりする程度の小規模な工事を指します。
一方、リノベーションとは、補修工事するところまでは同じですが、リフォームとの大きな違いは、建物の持つ初期の性能以上の新たな付加価値を付け加え再生させることであり、スケルトン状態(コンクリート躯体まるだし)から水廻りの移動・配管工事・間仕切り変更・建物用途の変更(事務所を住宅にする)等のことをさし、工事の規模も大きくなります。
マンション全体でリノベーションするような場合があれば、これに耐震性の向上が加わることもあります。
単なるリフォームにとどまらないリノベーションは、間仕切りや仕様・設備にあらかじめ制限のある新築マンションと違い、選択肢の多彩さと設計の自由度の高さが大きな魅力です

尚、古い事務所ビルや倉庫をSOHOや住居に用途変更し、不動産価値を一気に高めることをコンバージョン(conversion)と言います。入居率が低下してしまった古い社屋ビルや店舗、倉庫などの物件を、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)や住居として再生するのが代表的なものです。

●リノベーションマンションの注意点
築年数が古く、室内設備が旧式で陳腐化している、お風呂が狭いなどのマンションは、思い切って全部取り替えて新築同様の部屋に生まれ変わると素敵ですね。しかし、そうするとき、注意しなければならない点も少なくありません。

どんなに内装を新築同様にしても、見えない部分は古いままということです。耐震性、設備、特に給排水管の寿命などをチェックしなければなりません。
知らずに購入して、後で多額の修繕費がかかってきたら困ります。十分に調査してから購入するべきでしょう。特に長期修繕計画がどうなっているか、積立金は計画どおりに残高があるかなどを確認することが必要です。

●リノベーション住宅に取り組む企業は増加傾向?
ワインやクルマのように、住宅もビンテージが人気になってきたようです。
外国の人や、アーティストばかりでなく、若い人を中心に、古い日本家屋でスローライフを満喫したり、古いマンションを自分の趣味で手を入れたり、住まいも愉しむ時代になってきたのでしょう。でも、人気に乗じて、問題も出てきています。

かっこいいから、聞こえがいいからと安易に飛びついた結果、不明確なリフォーム契約でトラブルが起きていたり、住んでから不具合が発覚したりしています。
そこで、不動産流通業界の有志により、一般社団法人「リノベーション住宅推進協議会」が平成21年5月20日に誕生しました。「誰もが安心してリノベーション住宅を選べるように、既存住宅がきちんと流通する世の中にしていきたい」との趣旨で活動を開始しています。

平成23年5月現在の正会員数は225社とまだ少数ですが、今後は徐々に増えて行くと考えられます。
協議会は、「リノベーションに関する技術や品質などの標準化、普及浸透の事業などを行うことにより、安全で快適、かつ多様化するニーズに対応したリノベーション及びリノベーション住宅の提供を図り、既存住宅の流通活性化に寄与することを目的とする」と謳っています。

原状回復のための表面的な修繕、営繕、不具合箇所への部分的な対処を行う「リフォーム」に対し、機能、価値の再生のための改修や、住まいのくらし全体に対処した包括的な改修が「リノベーション」ですが、協議会は、その中でも当協議会の技術基準に基づく品質確保と情報開示、保証による住まい選びに安心が付加されたリノベーションを「優良なリノベーション」とし、普及に努めようと考えているようです。

住宅のストック数が世帯数を上回って久しい日本ですが、今後の課題として浮かび上がっているのが、30年を超える老朽マンションの大規模修繕問題です。大手不動産業者は、建て替えや耐震性の向上を含めて大きな市場になって来ると読んでおり、取り組みを開始しています。

これは、どちらかというとマンション全体のことですが、一方では築年数の長い中古マンションの大胆なリフォーム、すなわちリノベーティブなマンションの普及もゆっくり進むと予想できるのです。伴って、業者の数も徐々に増えて行くことでしょう。
(ゆっくりと進むと表現したのは、理由があります、その説明は、別の機会にしたいと思います)

 

●リノベーションの楽しみ
私は、過去に白紙の段階からマンションの設計企画や、ある程度固まった基本プランの改良企画に加わった経験が多数ありますが、その仕事は、とても楽しいものでした。
親の家を新築したときも、フリーハンドでしたが、私が設計した図面をハウスメーカーに渡し担当者を喜ばせたこともありました。
過去を振り返ると、私はつくづく家の設計が好きだと改めて思います。

話が脱線しました。

マンションの場合、排水管(竪管=たてかん)の位置によってキッチンやトイレなど設備の位置が自動的に決まって来るという恨みがあるのですが、それでもリノベーションする楽しみは大きいと思います。
一度やってみると分かりますが、間取りのレイアウト、収納の工夫、床・壁・天井の仕上げ材・設備機器・ドアハンドルなどの金物類の選択まで、百人百様の楽しみがあることでしょう。
昔の話ですが、ある知識人の講演会とセットで「このキャンバスに描くのはあなたです」というキャッチフレーズの「間取りのアイディア募集」をしたマンションメーカーがありました。そのとき、講演会当日に集まった手書き図面は予想を超えて大量なものでした。私は、間取りに関心のある人がこんなに大勢いるんだなあと驚いた経験があります。

リノベーションに踏み込むつもりで中古マンションを購入するのであれば、一定の制約があるとはいえ、新築マンションではできないような「オーダーメードマンション」ができる喜びは大きいはずです。
新築はもちろん、築浅の中古も場所によっては結構高いものです。立地条件がよいが古いマンションを探し、リノベーションにチャレンジするのも一考に値すると思うのですが、いかがでしょうか?
但し、耐震性の問題から1981年以降に建築確認を取ったマンションに絞った方が無難ではあります。

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