マンションに何年住みますか?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

 

永住するつもりでマンションを購入する人が50%くらいあると、国土交通省の意識調査では出ていますが、永住する場合、どのような問題が将来起きて来るのでしょうか?

また、ひとつのマンションに永住は本当にできるのでしょうか?

●高い(?)修繕費
新築マンションを購入した場合、最初は安い修繕積立金も、5年毎に値上げし、15年目からは管理費の1.5倍ほど(80㎡クラスなら管理費との合計で毎月40,000円)にもなってしまうという例が少なくありません。

その先、30年先くらいには、一体いくらになってしまうのでしょうか?新築マンションを販売するとき、「長期修繕計画書」が用意されるのが一般化しており、大抵の場合、30年先まで見越して金額が明示されています。しかし、その先は分かりません。

築後30年では、まだ寿命は来ていませんから住み続ける人は、既に管理費の1.5倍か2.0.倍になった修繕費の、更なる高額積み立てを覚悟する必要があるかもしれません。

一戸建ての場合、古くなると、家は傾き、雨漏りが発生し、建具の変形がおき、すき間風が入り込むものという常識があります。そこで、あちこち修繕しながら建て替えを先延ばしして50年くらい住み続けるわけです。しかし、その度に修繕費の出費が起こります。時には多額の費用がかかります。

これは、マンションでも同じです。木造と違って、すき間風は入らないでしょうし、よほど強い地震に何度も遭遇しなければ傾くこともないでしょう。しかし、それ以外の部分で故障や変形、破損などは同じように起きます。一戸建てにないエレベーターや共用玄関のエンジンドアなど機械の故障になると、マンションならではのものです。

いずれにせよ、必ず修理費用がかかる。それが家というものです。その費用を、必要なときに備えて、毎月いくらと決め「使途限定の貯金」をするかしないかという違いが、共同住宅と専用住宅の違いです。

●人の寿命が来る前にマンションの建て替えが問題になるかも?
閑話休題、仮に35歳で新築マンションを購入し、85歳まで住むと仮定したらマンションは築後50年です。そろそろ建て替えが話題に上ってくる頃かもしれません。

そのとき、「工事中どこかに仮住まいし、完成したら戻って来るのは面倒だ。いろいろ不具合が出ていることは承知しているが、何度も大規模修繕を繰り返してきたので、このままでも十分住める。私はもう自分の寿命も終わりなので、当分はこのまま静かに暮らしたい」そう言って建て替え計画に反対しますか?

他の入居者の中には、中古マンションとして購入して来た若い世帯もいて、建て替えに賛成する人もあるでしょう。だから、あなただけ反対を唱えるわけに行かないかもしれませんよ。

一戸建てなら、自分の意思だけで全てを決められるのに、マンションって何と煩わしいことか。でも、いつかそんな日がやって来るのです。人間の寿命よりマンションの寿命が長ければいいのに。100年マンションは、実態として、まだそう多くはないのです。

●中古マンションを買って住む場合
築20年くらいの中古物件を購入した場合はどうでしょうか?

35歳の人が購入したとすると、30年住んで築後50年に達したマンションは、寿命が近づき建て替えの話が出ても、住人の貴方はまだ65歳ですから、そこからあと20年以上は住みたいと考えるかもしれません。そうなると、修繕費は嵩み、このままではスラム化の恐れもあるので、積極的に建て替え計画に賛同することでしょう。

ところで、建て替えには当然ながら多額の費用がかかります。これは積み立てられていません。入居者個々のふところ具合は異なります。どのように費用を捻出するのでしょうか?

ここで、これまでの建て替え事例が参考になります。
マンションの建て替えには「容積率」の増加が欠かせないのです。何故か?例えば最初1,000坪あった建物延べ面積が2,000坪まで建てられる条件がある場合に、増えた建物部分を売却することで費用を生み出すことが可能になるからです。

1,000坪のマンションを2倍の2,000坪に増やす、そんな魔法はどこでも通用する話ではありません。法律の改正、都市計画の変更などがあって可能になるのです。今日は詳しく述べませんが、建築計画次第では、容積率のボーナスがもらえることもあります。

しかし、容積が増えて建て替えが可能になったとしても、住民の合意形成(80%以上の賛成)が困難で、1年や2年で簡単にまとまるものではありません。

もともとが、修繕費の高い中古マンションに住んで来たこともあり、今後は更に上がる可能性もある。建て替えるとなれば、面倒なことでもあるから、御免こうむりたい。

そう考える人は、さっさと売却して存命中に同じ問題にぶつからないような、例えば古くても10年以内のマンションか、広さや場所などの条件が幾分悪くなっても「修繕費の負担が少ない新築マンション」を買って住む道を選ぶかもしれません。

または、自分一人の意思でどうにでもなる「古い一戸建て」でも購入し、メンテナンスを趣味のひとつにするくらいのつもりで移り住むといった道を選択することも考えられるわけです。

つまり、65歳にして終の棲家を選択するというわけです。

●新築マンションの30年後
では、新築マンションを買った人の30年後は、どうなるのでしょうか?

建て替えの話は全く出ていないでしょう。自分は65歳。マンションが30歳。まだ何も問題はありませんから。従って、そのまま住み続けることになるかもしれませんね。
しかし、冒頭に述べたように、修繕費がかなり高くなっています。このまま住み続けると、管理費と合わせて結構な負担になってしまいます。リタイアまで、あと5年(70歳として)。そして、20年先くらいには建て替えの問題が浮上するかもしれない。そのとき85歳。もう動きたくない。

できたら、まだ元気な65歳の今、ここで進路を決めておいた方が良いかもしれない。いっそのこと、郊外の一戸建てでも買って住むかと考える人もあるかもしれません。

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このように考えて来ると、新築を選んでも、中古を選んでも、マンションの場合は、それぞれの建物の築年数に関わりなく、人間の(住む人の)年齢が65~70歳になったときに、住み続けるかどうかの、つまり、終の棲家を選択する必要があるのかもしれません。

そして、例えば35歳の人の場合、新築であっても、購入するマンションに永住することはないと考えるのが自然という結論になるのです。

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このブログで何度か述べているように、「住まいは、そのときの事情に応じてフレキシブルに!」が私の持論です。何十年先のことなど予測がつきませんから。

その場合、いつでもスムーズに売却できるマンションを購入しておくことが肝心です。どんなマンションでも売れないことはありませんが、できたら高く売りたい、有利に売却したい。そう考えるのが人情というものです。

希望価格を大幅に下げなければ売れないようなマンションを掴まないですむように――これが本ブログと「三井健太のマンション相談室」WEBサイトの一番の目的です。

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