低層マンションのお話

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
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東日本大震災以来、超高層マンションを敬遠して中低層マンションを志向する人が増えているのだとか。具体的な統計データではなく、マスコミによる業界やモデルルームなどへの取材を総合しての印象レベルではありますが、そうしたトレンドが確かにあるようです。
停電によってエレベーターが止まったとき、高層・超高層マンションは不便になるからですね。確かに、非常用電源装置があっても、使える時間は長くありません。傷病人が出たようなときの搬送に限って使用するなど、限度があるからです。
その点、低層マンションなら階段で上り下りができるので、さほど苦にならないという判断になるのでしょう。しかし、高層マンションでも、下層階の住戸を選べばエレベーターの問題は解決するので、理由はよく分かりません。
ともあれ、今日は俄かに注目を集め始めた低層マンションの話です。

低層マンションとは、3階以下のマンションを指します。因みに、7階程度までを中層マンション、14階以下が高層マンション、(15~19階はゼロではありませんが、殆ど存在しません)、20階以上を超高層マンションと区別するのが業界の常識です。

●低層マンションの特色を整理してみましょう
①建築制限が厳しい場所にある
建てたくても低層しか建てられない土地に建っています。都市計画に定められた用途地域で言えば、「第1種低層住居専用地域」と「第2種低層専用地域」に該当します。
どちらも10~12メートル以内の高さが制限あるため、低層の建物しか建てられないのです。

②建設地は閑静な住宅街にあるのが普通
元々が、一戸建てを集合させようかという場所が「低層専用地域」なので、高層の建物が建てられるようになっていません。また、この地域には、高さ以外の建築制限もあります。具体的には、店舗はコンビニ程度の小型のもの以外は不可、カラオケ店、パチンコ、劇場なども建築できません。
従って、低層マンションの建設地は、閑静な低層住宅地であるということになります。

③緑の多い地域であり、マンションの敷地内にも豊富な植栽が計画される
「低層住居専用地域」は、建蔽率が厳しく定められているため、建物と建物の間に余裕が多く、その空地部分が庭などとなり、緑が増える傾向となります。
建蔽(けんぺい)率とは、敷地面積に対する建物の平面積の割合を示すもので、「低層住居専用地域」では、最も厳しい40%以下という場所が多くなっています。因みに、商業地域は80%、角地なら90%です。従って、商業地域では、建物と建物との間にすき間が殆んどない状態で建設されることが多くなります。

④戸数が少ない物件が多い
「低層住居専用地域」は、容積率も低く指定されているために敷地の大きさの割には戸数がたくさん取れないのです。容積率とは、建物の延べ面積(各階の床面積の合計面積)が敷地面積の何倍までかを表わすものです。容積率500%と指定された商業地域では、敷地面積の5倍までの延べ床面積の建物が建築可能ということです。
「低層住居専用地域」では、容積率が80%から100%程度と極めて厳しく制限されていますから、例えば1000坪の敷地を取得して低層マンションを計画したとしても、平均面積25坪クラスの住戸で構成するマンションなら40戸(実際はもっと少ない)しか建てられないのです。
これが、商業地で容積率500%となっている場所であれば、200戸もできる可能性があるのです。

⑤稀少性が高い
一戸建てが立ち並ぶような住宅街には、大きな土地の売り物が少なく、事業者がたまに取得できても、相続などでやむをえず手放す個人住宅の跡地か、企業の役員用社宅跡地などに限られますし、敷地規模もあまり大きくないのです。
つまり、建設計画の件数も少なく、かつ戸数も少ないということですから、低層マンションは稀少性が極めて高いということになります。

⑥高級物件が多い
敷地の利用に制限が多い地域では、マンション事業者としての採算に乗りにくい場合が多く、建てても高額な物件になりがち。購入する人のニーズに合わせて、建物グレードも高級なものにするのが普通です。敷地は緑で覆い、駐車場は地下に造ります。
管理サービスも充実しており、居住者の満足度は高いものが普通ですが、その代わり管理費は1件あたり5万円以上であったりします。戸数が少ないために管理人を常勤させると、管理費は割高になるのです。

●例外的な「低層で下等な」マンションに注意
低層マンションの立地条件が、すべて高級住宅地にあるとは限りません。都市計画・用途地域の「低層住居専用地域」にあるとも限らないのです。

マンション建設の法的な制限は、いくつもあり、高さに制限のない地域であっても、接する道路の幅員が4メートルしかない場所では、結果的に10メートル程度しか建てられないことがあります。

マンション事業者の中には、そこに無理矢理4階建てのマンションを押しこむ形で建設することがあります。具体的には、1階住戸を半地下状態にして各階の天井高をぎりぎりで確保したりします。

このようなマンションのグレードが高級でないことは、賢明な読者なら容易に想像がつくことと思います。

また、建物がハイグレードではあっても、環境に問題のある場所も見られます。最寄り駅からバスであるために生活が不便という物件もあります。マンションの価値を考えると、やはり疑問を感じる物件と言わざるを得ません。

●現在販売中の低層マンションは?
稀少性の高い低層マンションですが、現在どのくらい供給されているのでしょうか?「首都圏・5階建以下」で検索すると、40件ほどヒットしました。1件1件概要を覗いて見ると、魅力的なものはやはり少ない印象です。

その中で、希有な優良物件は、やはり大型開発のパークシティ浜田山(売主:三井不動産レジデンシャル)に行きつきます。三井グループのグラウンド跡地を開発しているため、低層(住居専用地域以外の地域も含まれるため、最高6階の棟もあるが)だけで500戸を超える多棟タイプのマンションです。

現在、低層マンションに積極的なのは、相変わらず三菱地所レジデンスですが、中堅デベロッパーの中にも供給例が見られます。
興味をお持ちの方は、下記よりアクセスされ、こだわり条件「5階以下」で検索してみて下さい。

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・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました
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