「安もの買いの銭失い」

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

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中古マンションは、新築に比べて、安く購入できるものが圧倒的に多いですが、稀に新築を上回る高値の中古も存在します。中古マンションの値段を眺めていると、価値の低い物は低いなりに、価値あるものはその価値なりに、値段は市場原理で決まる。これが流通市場の現実です。
中には、かなりインパクトのある安値の物件もあり、それに魅かれてしまう人もあるようですが、注意しなければなりません。
今日は、「価格だけに目を奪われませんように」と願って記事を書くことにします。

●とびきりの安さの裏に注意
不動産に限らず、価格の安さは商品を購入する際、確かに魅力のひとつになるものですが、安さだけで飛びつくと結局は後に大きな損失につながることもあるという「先人の知恵=安もの買いの銭失い」を思い出して、慎重に選びたいものですね。

中古マンションで価格が飛びきり安い物件は、必ず安いなりのデメリット・短所があるものです。その疑いを持つことが大事です。
森羅万象、物事には、何でも裏と表、メリットとデメリット、長所と短所、美点と欠点があるものです。綺麗なバラには、トゲがあります。その反対も当然あるわけです。

マンションも同じで、安いのは何か問題があるのです。ところが、その問題に気付かないで買ってしまう人が少なくありません。正確に言えば、目で分かる問題点には気付くが、それ以外の隠れた問題点に気付かないということです。

さて、とびきり安い中古マンションは、どのような物件でしょうか?
築年数の古いものが中心であることは間違いありませんが、その中でも下記のような条件が売値を押し下げています。
◆立地条件:最寄り駅からの距離が遠い。例えば徒歩15分もかかる。駅に近い商業地にある場合では、周囲の建物が接近していて、簡単に外部侵入を許してしまいそうな位置関係と建物構造になっている

◆築年数:1981年以前の建築確認物件は「旧耐震基準」で建築されているため、耐震性に懸念が強い

◆共用施設:集会室すらない。ロビーやエレベーターホールなどが狭い。駐車台数は、ほんの2~3台分しかない。(自分はクルマを利用しないから関係ないという判断は問題あり)

◆外観デザイン:30戸もないような小型マンションで、何の装飾もない平板な感じであるとか、タイルも張っていない、バルコニーの手摺りはアルミ製の安ものの印象であるといったもの。玄関の構えも貧相であるなど。

◆共用設備:共用玄関がオートロック式でない、防犯カメラが未設置など、セキュリティに懸念がある。共視聴用のBSアンテナがなく、各人各様バルコニーに取り付けている。

◆室内:日当たりが悪い。中には半地下のような物件もある。梁が低く下がり、部屋が分断されるように圧迫感ある構造。全体に天井が低い。玄関が狭く下足箱も小さいなど、顔が悪い。古いから設備も悪いのは納得するとしても、インターホンがテレビモニター付きでないのは防犯上やや心配。バルコニー面のサッシ高が1.8メートル以下。バルコニーの出幅は1メートル程度しかない。キッチンがオープン(丸見え型)。間口が狭く、居間が窓に面していないので暗い。洗面所やトイレが極端に狭い。収納スペースが少ないなど。

◆その他:無名の売主が分譲したノンブランドマンション。施工会社も二流以下。管理人が常勤していない。大規模修繕工事が終わったばかりでもないのに、修繕積立金が少ない。

――こうした条件の内、中古である以上、いくつかは割り切って我慢するしかないものもありますが、その中で「ここだけは妥協したらダメ」というのもあるのです。
今日は、その詳細を述べませんが、長くこのブログをご愛読いただいている読者の中には、もうお分かりの方もいらっしゃることでしょう。

内装だけ綺麗にリフォームして、例えばトイレはシャワー付きにし、台所はシステムキッチンに交換するなど、新築同様に化粧した中古マンションを見て気に入ってしまい、購入に走るという話はよくあります。
しかし、冷静かつ客観的な物差しで価値判断しておかないと、ただ安いに飛びつくと結局は高い物になる危険があるのです。

●ワケあり物件にも注意
ワケあり物件にも注意しましょう。
ワケあり物件とは、「事故物件」、「借地権物件」、「任意売却物件」などのことで、詳しく言えば次のようなものになります。
「事故物件」は、室内や敷地内などで自殺、他殺、事故死といった死亡事故があったものです。心理的瑕疵物件とも言います。
「借地権物件」は、説明の必要がありませんね。地代が毎月かかって来ます。売却の都度、面倒な手続きがいるものや、金銭負担のあるケースもあります。
「任意売却物件」とは、住宅ローンの返済ができなくなった所有者が、債権者(銀行等)の意向に従う形で売却を急ぐケースの物件です。法的な強制売却に当たる「競売」の対義語として使われる用語が「任意売却」です。

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新築の場合は、工事中ということもあって契約や引き渡しまでに時間の猶予があり、ことなきを得る場合も多いのですが、中古物件は即時契約の即時引き渡しというスケジュールに乗せられてしまいがちです。そのために、「しまった」と気付くのが遅れるのです。
「冷静沈着、客観的に判断を」と言っても現実は難しいかもしれませんが、そんなときは、私のような立場の者を利用するのも方法ですね。

●マンション簡易評価のご依頼ありがとうございます
ここのところ、地方都市の読者からのご依頼が続きました。

お答えに当たっては、机上の簡易評価とはいえ、念頭に地域の事情も勘案しながらコメントしております。幸いにして、全国を飛び回って来た経験から、ある程度は地方都市の事情も分かるつもりですので、首都圏に限らず評価が可能です。

もし、地方物件は無理だろうとご遠慮なさっている方がいらっしゃいましたら、どうかお気軽にお申込み下さい。

・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。「三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)」では、只今、無料の「マンション簡易評価書」をご提供中。ご検討物件などでお試し下さい。

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