郊外マンションの新規供給がなくなる?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
●災害時の帰宅困難問題が変える住まいのニーズ
3.11地震だけでなく、9月21日の15号台風でも交通機関が長時間運転を見合わせることになったことから、東京都心に職場を持つ何十万人もの人たちが郊外の自宅に帰ることができないという事態が起こりました。いわゆる「帰宅難民」が続出したのでした。

こうした状況が「職住近接」の必要性を多くの人たちに感じさせる結果となりました。首都圏では郊外から東京都心に通勤する人が膨大にのぼりますが、その人たちの中で都心居住を志向する人が増えているに違いありません。
マンション購入を検討している人も、郊外から都心に目を転じた人が増えている可能性がありそうです。つまり、都心需要が増える傾向が強まるというわけです。
そうなれば、デベロッパーはそれに応えようとするでしょう。この3~4年、郊外マンションの供給が大幅に減少し、都心での供給が中心になっていましたが、今後は一段とその傾向が強まるかもしれません。

ところで、東京都心の新規供給シェアはどのくらいなのでしょうか?
2011年前期(1~6月)のデータを見ると、23区合計では45.3%と半数近くを占めています。都心15区くらいに絞ると勿論シェアは下がりますが、それでも3分の1以上を占めています。
かつては地価の高い都心でのマンション開発は困難で、東京23区のシェアは25%くらい(平成6年=15年前)でしたが、地価の下落に伴い「都心回帰」が進んで、現状のような高いシェアを占めるようになったのです。

都心が増えた結果、郊外マンションは相対的に減って来ましたが、2008年後半のリーマンショック後の景気後退で首都圏全域の絶対数が大幅に減少したため、郊外マンションの供給数は激減してしまいました。
ちなみに、リーマンショック前年の2007年の首都圏全体の新規供給戸数は61,021戸でしたが、昨年(2010年)は44,535戸と27%も減っています。

マンション事業者にとって強い需要のある都心の方が販売リスクは小さいので、同じ開発の苦労をするなら都心で、と考えるのは自然な流れなのでしょう。都心が増えすぎて販売率が下がらない限り、郊外のマンション開発は回復しないと見るのが妥当です。

●郊外マンションが品薄になると?
手ごろな価格の郊外マンションの供給が少なければ、中古マンションを探すか、新築にこだわる人は否応なく都心のマンションにも目を向けることになるでしょう。

言うまでもなく都心は郊外より価格が高いので、都心で検討すれときは広さの希望を下げることになりそうです。3LDKを諦めて2LDKにするとか、80㎡から70㎡に条件を縮小するのもやむなしというわけです。

「どうせ買うなら広く」と考える人が多く、現在の住まいとの比較では決して狭くないマンションでも不満を感じるのでしょうか?50㎡の賃貸から75㎡の新築分譲マンションへ、志向は大きくジャンプする人が殆んどではないかと思います。
しかし、今後それは叶わぬ希望になるかもしれません。何しろ、商品がないのですから。

発想を変え、50㎡の住まいにある人は新築の65㎡に妥協し、その代わり都心居住の利便性や合理性などを享受する道を選択するのも現実的な話になりそうです。
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