第777回 「研究し始めの人へ贈る「25のQ&A」~第2部(後半)~

 

今日は、これまでに届いた沢山のご質問の中から、初歩的なものだけを集めて「Q&Aとしてお届けすることにしました。第2部(後半)です。

 

Q14.少し不便だが広いマンション、狭いが便利な立地のマンション。同価格なら、本当はどっちがいいですか?

A)どちらとも言えませんね。そのマンションにどれだけの期間住むかということでも変わりますし、永住する場合でも、子供の独立によって狭いと思ったものが、広過ぎる結果になることもあるでしょうから。

 

ただ、将来のことを予想するのは難しく、何があってもフレキシブルに構えておきたいということであれば、売却のしやすいものを選んでおくべきで、その場合は、ちょっと狭くても便利なものがいいでしょう。最悪の場合、貸しやすいのは,広さより便利さです。

 

Q15.1階住戸のメリットとデメリットは?

A)デメリットの第1は、冬の寒さです。ただ、上階の部屋よりは冷えるものの、大抵は断熱材が入っていますから(要確認です)、そんなに心配されることはないと思います。断熱材の種類と厚みを確認しておきましょう。

 

第2のデメリットは、道路に面していると、防犯(狙われやすい)ことと、プライバシーの心配もあります。防犯対策、プライバシー対策がどうなっているかををよく確認しましょう。

 

最近は、大雨や局地的な豪雨の被害が急増しています。地面より明らかに低くなっている1階住戸もあります。簡単に浸水してしまいますので要注意です。

 

豪雨時の浸水ですが、これは地元の人に話を聞くとか、市役所の「洪水ハザードマップ」などで確認しておくことです。また、豪雨時の排水能力について、設計図に基づいて売主の説明を受けてください。

 

メリットは、第1にエレベーターを待つイライラを味わうことがない点です。

第2は外に出る億劫さがないことでしょう。

第3は専用庭付きが挙げられます。小さな子供がいる家庭は安全に外遊びをさせることができること、また、盆栽やガーデニング、バーベキューなどを楽しむこともできますね。

 

Q16.大手企業のマンションを検討していますが、価格が高いような気がします。大手企業だから仕方ないのでしょうか?

A)単純比較をしますと、大手企業は確かに高いようです。大手は利益率が高いのでしょうか。そうではありません。優れたマンションを造るために中小企業以上のコストをかけている部分が多いからです。

 

建物の工事費そのもののコストだけではなく、品質管理のための間接経費、研究費などが必要だからです。

しかし、長い目で見たら、安心料として高くないかもしれません。品質が同じでも、ブランド価値が加わりますから、その面からも高くはないという見方ができるからです。

 

Q17.施工会社が無名。実績はそこそこにあると販売員は言うのですが、大丈夫でしょうか?

A)施工会社(ゼネコン)は、設計図に従って施工するという立場です。ある程度の実績があれば大丈夫でしょう。経験や実績は大事ですが、実績がどんなに豊富にあっても、設計が悪ければ悪いなりのマンションを造ってしまうのです。その面から見たら、設計の方が重要ということなります。

設計事務所の能力と、マンションの実績(賃貸中心の事務所ではダメ)をしっかり確かめましょう。

 

一方、設計が良くても、施工の手抜きがあったら、これまた困るわけです。そのためには、複数の目で監理(監督・管理)することが重要になってきます。

 

設計事務所、工事請負会社の現場監督、外部の検査員(マンションは性能評価を取るために外部に委託しているものが多い)などの目によって、下請け工事会社(どこでも工事の実際はゼネコンではなく、下請けが担当します)の手抜きを防止する以外にありません・・・売主に対し、監理態勢はどうなっていますかと、質問してみることです。

 

また、意図的な手抜きではなく、時間に追われて仕事が雑になるということもあります。突貫工事による弊害の可能性がないかをチェックすることが必要になります。

 

Q18.マンションは管理が大切と言われますが、巡回管理でも大丈夫ですか?

A)巡回管理のマンションは清掃状態が悪かったり、集合郵便受けにチラシがたくさん突っ込まれたままであったりと、どうしても醜い印象だけが残ります。

 

そもそも巡回管理になっているのは、戸数が少ないために、管理人の人件費が捻出しにくいことに理由があるのです。このようなマンションは、よほど住人の意識が高くないと、管理の目的である「美しく保つ」ことができません。

 

日常の整理・整頓、清掃が行き届かないマンションは、補修なども遅れがちになり、美しいマンションで有り続けることが大変難しいのです。そうなれば、資産価値は低下し、いざ売却というときもスムーズに行かないのは火を見るより明らかです。

 

小型マンションは、住人が管理人を交替で務めるなどの対策が必要になるでしょう。入居後に、管理組合で協議して、最初から対策を講じるべきです。

 

とはいえ、現実的ではないので、小型マンションは、良好な管理の期待が持てないものが多いようです。できるだけ避ける方が賢明かもしれません。

 

Q19.マンションは管理が大切と言われますが、巡回管理でも大丈夫ですか?

A)巡回管理のマンションは清掃状態が悪かったり、集合郵便受けにチラシがたくさん突っ込まれたままであったりと、どうしても醜い印象だけが残ります。

 

そもそも巡回管理になっているのは、戸数が少ないために、管理人の人件費が捻出しにくいことに理由があるのです。このようなマンションは、よほど住人の意識が高くないと、管理の目的である「美しく保つ」ことができません。

日常の整理・整頓、清掃が行き届かないマンションは、補修なども遅れがちになり、美しくないマンションで有り続けることが大変難しいのです。

 

そうなれば、資産価値は低下し、いざ売却というときもスムーズに行かないのは火を見るより明らかです。

小型マンションは、新築の段階では、良好な管理の期待が持てないので、できるだけ避ける方が賢明と言えます。

 

Q20.賃借人が多いマンションは、うまく管理組合の運営ができないと聞いたのですが本当ですか?

A)賃借人は自分の所有でないために管理への意識が低く、いろんな問題を引き起こします。また、区分所有者でも、賃貸してしまうと、自分が住むマンションでないために、これまた管理への意識が低くなるのが現状です。

分譲マンションを買っても、数年経過するうちに賃貸に出される人が徐々に増えてくるものです。転勤など、いろいろな事情があり、ある程度は止むを得ないとことだと思います。

 

しかし、最近は徐々に管理の重要性についての意識が向上しつつあります。今後は良い方向に向かうのではないかと思います。ただ、大規模修繕を行う場合に費用の一時徴収などの問題が発生したらどうでしょうか。とたんに無関心の態度や反対を表明する所有者が増えることでしょう。

 

マンションは、長期修繕計画に基づいたメンテナンスを着実に実施していかないと、必然的に資産価値も低下していきます。そうした事態にならないためにも修繕費用の積み立てだけは十分な金額を継続しておくことが必須になると考えられます。

 

購入するマンションに長期修繕計画はありますか?修繕積立金の額は十分ですか?また、そのマンションに賃貸住戸が最初から含まれていませんか?あるいは、賃貸に出される可能性の高い、小家族向け住戸がありませんか?

 

こうした点のチェックをすることが大事ですし、そのような疑問があれば、販売担当者に質問をすることが必要です。納得いかない物は買わない方がいいのです。

 

Q21.持ち家のメリットはどこにあるのかなあ?

A)賃貸住まいの方が気楽でいいとか、自由に場所を移動できるから合理的でいいといった考え方から、「賃貸派」を自任する人が増えていると聞きますが、まだまだ少数派のようです。

東京圏では、毎年10万人前後の人がマイホームを購入します。新築のマンション・一戸建て、中古のマンションと一戸建てを合わせてです。これは、東京圏の世帯数1千万に対し、1%に匹敵するすごい数です。

 

これだけの人がマイホームを毎年買う。これには、どんな背景や理由があるのでしょうか。そのことを考えてみましょう。

 

第1の理由は、家賃の高さにあります。もっとましな家に住みたいと思ったとき、賃貸住宅を眺めると、おそろしく家賃が高いことに気付く。東京では20万円出しても3LDKの賃貸マンションは借りられない。一方、低金利のおかげもあって、近頃は月々10万円も出せば、少し郊外にはなるものの、新築マンションが買える。それなら買ってしまえ、とばかりにモデルルーム見学を始めるというわけです。

 

第2の理由は、「マイホームを買うのは、老後の安心を買うことに等しい」ことに気付くからです。

20代夫婦の購入例も増えた昨今ですが、彼らは老後のことを意識していないかもしれません。ですが、30代半ばから上の世代になると、職場で上司やOBの人たちの人生を自分に重ねるようになり、家は早めに手を打つべきと教わるようになるのです。

 

定年後しばらくは働くことができるだろうが、やがて無収入のときがやってくる。年金ももらえるだろうが、最低生活を維持できるかどうかというレベルだろう。とすれば、一番の出費である住居費を軽くしておかなければ。そのためには、家賃の要らない生活設計を今のうちに準備しなくては、と慌て始めるのです。

 

定年を迎える頃、住宅ローンがほぼ完済に近い状態にしておければ、とても安心です。目先の快適な暮らしを追求することが、将来の安心にも繋がることに気付きます。そこで、遅くても40歳前にはマイホーム取得に踏み切るのです。

 

第3の理由は、これも第1の理由と大いに関係があるのですが、「賃貸住宅には快適に暮らす限界があるから」を挙げられます。

 

狭いながらも、何とか快適な住まいにしたいと考える。インテリアや隙間家具などによる工夫を始めます。インテリア・家具のニトリやイケアといった店が流行るのも、この志向と無関係ではないでしょう。しかし、周知のように賃貸住宅では限界があります。壁に穴を開けたり、クローゼットを増設したりは勿論、便利で綺麗なシステムキッチンやバスルームに交換したいと思ってもほとんど不可能です。

 

かつて、住宅公団が「スケルトン賃貸住宅」の募集をしたことがありました。内装は借り手の方で自由にどうぞという新しいスタイルの募集でした。ただし、内装費用の数百万円は借り手の負担。あれは、その後どうなったのか、ほとんど噂を聞かないので、企画倒れに終わったのかもしれません。

 

「一生賃貸でいい」というトレンドは、マスコミがいうほど根付いていない証拠ではないでしょうか。数百万円も出すなら買った方がいいと考える人が多いということでもあります。

 

話を戻しましょう。快適な住まいを望むとき、広さとともに求めているのは、主として便利で綺麗なキッチンやバス、洗面化粧台といった最新型の設備です。特に、対面型キッチンやアイランド型キッチンといった、半ばインテリア化したクッキングスタイルへの憧れなどは随分強いようです。

 

これらの実現は賃貸住宅では不可能で、いわば「釘1本打てない不自由さ」の中で我慢を強いられます。賃貸暮らしは、少しも気楽でないとも言えます。それが賃貸住宅の現状です。「他人所有の家は何かと窮屈だから」が、マイホームを求める理由の3番目に挙げられそうです。

 

第4の理由は、マイホームは社会的信用につながるという点です。

昔から、家を持つことは男子一生の仕事と言われてきましたが、家を持つと世間の目は確かに変わります。会社でも、同僚や上司から頼もしい社員として見られ、家族や親戚からは、一家の長としての尊敬も集まります。

 

反対に、いつまでも賃貸暮らしを続けていれば、周囲からの信頼感は高まらないばかりか、下手すれば、家族から疎んじられかねません。

 

会社では「誰それがマンション買ったらしい」という噂話を聞いて刺激を受けたり、社宅住まいの人は、マイホームを手に入れて転居していく同僚を見送りながら負けじ魂に火が着いたりします。

 

狭くて古い賃貸住宅から、広くて新しいマイホーム(中古でも)に移る姿を見て刺激されるのは自然なことで、ステイタスや社会的ポジションの欲望があるためとも言えます。

 

第5の理由は、第4の理由に関係があるのですが、「自分の城を築いた満足感を得るため」です。

仕事以外での目標の一つがマイホームを持つことにあるという人は多い。動機は第1の理由であったり、第3の理由であったりもしますが、根底には家族への愛情がある。平たく言えば、「家族のために」です。

 

購入する前に思うことは、誰からも文句を言われない俺の城を持ちたいという点でしょう。少なくとも男は皆、そう思うのではないでしょうか。

自分が自由に使える書斎・私室(DEN)は持てなくても、専用の居場所はなくても、この家全部が家族の喜びであれば、そのことが「俺の城」です。俺の城を持てそうだというとき、男は自信が漲ります。そして、実際に手にしたとき、満足感にあふれ、一家を構えた男の自信が輝く。それを夢見るのです。

 

第6の理由は、住宅は資産にもなるという点にあります。

右肩上がりの経済が続いていた時代には、不動産の値上がりを信じる日本人が大多数でしたから、冒頭の「資産にもなる」という言葉も、素直に賛意を得られたはずですが、現在はどうでしょうか?

 

かつて、住宅、なかんずく東京圏のマンションは値上がりが期待できるから、何年かしたら売って、より満足度の高いマンションに買い替えればいい、何でもいいから先ずは買っておこう・・・こんな考え方が主流でした。

 

確かに、購入時の価格の2倍、3倍になったマンションは少なくなかったのです。バブル期の特殊な例などではなく、です。ただ、中古がそのような高額になったときは、新築も当然のように高いのです。

 

買い替える動機は、より便利か、より広くなどの住まいを求めてのことですから、売却したマンションより当然高いわけで、持ち家の値段が上がって喜んでも、次に買う家はその2倍の値段であったりしました。

それでも、買い替えに成功できたのは、別の理由がありました。それが何であったかは、本題から外れるので割愛します。

 

さて、バブル経済崩壊から30年を経て、不動産に対する見方はすっかり変わってしまいました。住宅も不動産ですが、そこに資産価値を見出そうとする考え方は消滅したかに見えますが、実はそうでもないのです。

住宅はあくまで生活の基盤となるものであり、必需品なのであって、資産性について考慮する人は少なくなったことは間違いありません。ただ、完全に拭いさる必要はないのです。

 

定期借地権のマンションは別として、土地に所有権のあるマンションなら、何十年経っても、資産価値が零になることはないからです。話が難しくなるので、簡略化して説明しましょう。

 

30年か40年くらい先を想像して下さい。そのとき住宅ローンは完済しているという前提を置きます。例えば5千万円で買ったマンションを中古マンションとして売りに出したところ、2千万円の値がついたとしたとします。とすれば、その時点で2千万円の資産を保有していることになります。1千万円でしか売れなかったとしても1千万円の資産保有者であることを意味します。資産価値とは、もし売却したらいくらになるか、という意味です。

 

5千万円のマンションが2千万円になったとしても、これを損失と考える必要はないのです。30年、40年そこで生活を営んで来た住居費の総合計が、そのマイナス分に相当するのですから。

 

管理状態がよいマンションであるとか、大規模修繕が行われたばかりで、建築後30年以上経過しているとは思えないマンションを所有している人なら、買い値の5千万円で売却できるかもしれません。としたら、住んでいた期間の住居費分がマルマル大儲けということになるわけです。

 

ともあれ、同じ住居費でも賃貸住宅の賃料として支出してきた場合では、こうは行かない。1円も資産が残っていないのですから。

 

このような、計算をして購入する人はほとんどないでしょう。だが、緻密な計算はしないまでも、「いつか自分の物になるから」という動機で購入する人が今も健在であるのは、この「資産性」を念頭に置いている証拠なのです。

 

ところで、資産であっても住宅の場合は、自分が使用中である以上、あまり意味がないという人もいるので、付言しておきます。

老後、もう住宅ローンの組めない年齢になったとする。当然、収入も少ない。そのとき、何らかの事情や理由で住み替えの必要が起こったとしましょう。もうお分かりのはず。そう、持ち家を売却すれば、別の住まいを容易に手に入れることが可能だからです。

 

それが、介護付きシルバーハウスの入居金かもしれないし、東京でなく、田舎暮らしの古い一軒家かもしれない。都心のマンションを売って、田舎暮らしの一軒家や海辺の中古マンションを買うといった場合なら、資金の追加はたぶん不要です。

 

持ち家と賃貸の比較をまとめると、次のようになるでしょう。

 

分 譲

 

賃 貸

ぴかぴかの新築で広さにもゆとり。さらにハイグレードな最新設備が満載  

広さ・品質

古くて狭いものが多い。しかも設備に不満なケースが多い。好みのリフォームができない
超低金利でラクラク返済 月々の支払い ローン返済と大して変わらない
期限付きのローン返済で、いずれは資産として残る  

資産性

いくら払い続けても住まいは自分のものにならない。無期限の借金みたいなもの
持ち家は社会的信用につながり、家族も自信を持って暮らすことができる  

社会的信用

持ち家がないのは安定感の欠如と見られがち。社会的信用も期待できない
若いうちにローンを組むと、(地位の向上による)所得の増加に伴って、月々の返済負担も軽くなる  

将来

40代、50代になると、付き合いや教育費が嵩み、マイホーム計画も後退しがち。ローンを長く組めず月々の負担が重くなる
若いうちに買うと、定年までにローンが完済でき、ゆとりある老後が保証される  

老後

リタイヤ後の家賃負担はずっしりと重い。安くて快適なシルバー向け賃貸住宅は少ない

 

 

Q22.そもそもマイホームを欲しがる理由は?

A)日本の持ち家比率は60%ほどです。一方、持ち家を望む比率は80%を超えています。圧倒的に持ち家志向が強いのです。諸外国との比率は定かではないのですが、日本人の持ち家志向の強さの理由は3つあると言われています。

 

一つは、戦後の高度経済成長の過程で生まれた土地神話がバブル崩壊後も残っており、不動産は預貯金や株より有利という考えの人が3分の1もいることが挙げられます。

 

二つ目の理由は、こちらの方が強いのですが、下記の数表で明らかなように、持ち家の方は先進国の中でも負けていないものの、借家の床面積が極端に狭いことにあります。

 

持ち家の平均床面積

借家の平均床面積

日本(2003年) 125.4㎡(一位置戸建て) 47.7㎡
アメリカ(2001年) 161.8㎡ 116.8㎡
イギリス(2001年) 95.0㎡ 68.2㎡
フランス(1996年) 101.4㎡ 68.3㎡
ドイツ(1998年) 113.0㎡ 68.9㎡

出所:国土交通省

 

狭い借家が多いのは、家賃が高いことにあります。広く造れば、高過ぎて誰も借りてくれないので、借りてくれそうな家賃から逆算して床面積を決め、建築計画を決める貸主が多いからです。

 

家賃相場は、言うまでもなく需要と供給の関係で決まります。借家の供給が多く、借り手が少なければ相場は低下します。現状は借り手より貸家の供給が増える傾向にあるので、実質賃料は低下傾向にあります。実質という意味は、家賃を下げない代わりに敷金や保証金、礼金といった契約時の一時金が大幅に低下しているからです。

 

今後も、家賃はゆっくりと低下していくのかもしれません。しかし、需給バランスは地域によって異なり、人口集中が進む東京圏は、どうでしょうか。

 

借家の質の問題も、持ち家を望む理由の一つです。

面積が狭いうえに、設備が悪いとか、壁が薄く隣の音がよく聞こえるといった不満が借家には多いのです。

質が高く、広さもある借家に、低廉な賃料で住めるのであれば、持ち家にはこだわらない人が増えるかもしれません。借家には、持ち家にない自由さや身軽さなどのメリットもあるのですから、価値観の違いで選択されてもいいはずです。だが、現実は厳しく、特に都会では、持ち家と借家の差が依然として大きいのです。

 

Q23.一生借家住まいで行くと仮定したら?

A)20年、30年先のことなど、誰にも分からないわけですが、それでも長期ローンを組んでマンションを買う人がたくさんあります。勇気ある行為なのか、自信があるからなのか、まあ何とかなるさ・・・なのか?

 

とにかく新築マンションを購入する人だけでも、毎年10万人前後(全国)現れます。一戸建てを買う人や古い家を建て替える人、中古住宅を買う人なども含めたら膨大な数です。

その一方で、みんなが渡るから怖くない、でなく、やっぱり怖いと逡巡する人もいるのは事実です。

 

そこで、仮にローンを組むのが怖いからと、いつまでもマイホームを持たず、頭金を貯めるのもままならずに一生が終わってしまうとしたらどうなるか、あるいは、賃貸住まいで一生行こうと決心したらどうなるのかを考えてみました。

 

借家であっても、より快適な住まいで暮らしたいと考えるのが普通の人間の感覚というものでしょう。つまり、広い、設備がいい、近いなどを求めるわけです。最初はそうでなくても、家族が増えたり、家財が増えたりすることによって欲求が高まります。

 

ところが、そのような立派な住まいの家賃はバカ高いものになることでしょう。結局、そうなれば家賃が勿体ない、馬鹿馬鹿しいと感じ、やっぱりマイホームを持とうと心変わりするでしょう。つまり、遠回りしてしまうのですね。マイホーム取得のチャンスが大幅に遅れるというデメリットがあるわけです。

 

誰でもそうなると断言はできませんが、より快適な住まいで暮らしたいという欲求が生まれることが分かっているのなら、早いうちに買ってしまった方がよい。そう言えるのではないでしょうか。

もちろん安い住宅に住み続けるという選択肢もありますが、それで満足するだろうか。家族は幸福に感じてくれるだろうか。その懸念がデメリットとも言えます。

 

デメリットの二つ目は、死ぬまで家賃を払い続けなければならないという点です。収入の減る老後、家賃を払い続けながら、不安なしで暮らしていけるだろうか。低家賃の住まいを見つけて住み替えるという方法はどうだろうか。検討してみたいものです。

 

従来、賃貸での生活は、高齢者にとって、新規契約の難しさ、住宅の老朽化などの不安が大きなものでした。しかし、少子化、人口減、高齢化していく日本では、住宅市場も高齢者を意識したものへと変わっていくと考えられます。生活のケア、バリアフリー、コミュニティの充実など、さまざまなサービスが賃貸物件にも盛り込まれるかもしれません。

 

しかし、まだまだ現実は厳しいという状況が続くと考えられないだろうか?老夫婦が快適に暮らせる低家賃の住まいは果たして見つかるだろうか? そんな疑問が湧いてきます。

 

過疎地の廃屋でも探して住むことにしますか?そんな場所に引き込みたくないとしたらどうしますか?やはり、マイホームの取得は切り離せないのではないでしょうか。早めに手当てし、定年退職までには、ローン完済の目処をつける。これが理想なのではないでしょうか。

 

やはり、持ち家は必要のようです。もう一度、持ち家のメリットを記しておきます。

◆家賃は一生の借金なのに対して、住宅ローンは期限付きの借金だ

◆失業したとき、家賃支払いを猶予してくれる家主はいないが、住宅ローンには返済猶予や条件変更の途は開かれている

◆住宅ローンには、生命保険が付帯している。万一のときも、遺族の家は無借金で確保される

◆ローン返済の方が今の家賃より少し負担が増えるかもしれないが、より快適な家に住むのだから当然と考えよう

 

Q24.一戸建ては管理費も駐車料金も払わなくていいから、マンションより得なのでは?

A)一概にはそうとも言い切れません。確かに、一面的に見れば、その通りと言えなくもないのですが、一戸建てにない魅力、例えば高層階から見える景色や、一戸建てには装備しにくい防犯機能、あるいは、木造住宅との比較になりますが、火災に強いというメリットもありますね。耐久性の違いもあるでしょう。

 

こうしたマンションのメリットは、一戸建てのメリットを凌ぐものです。別の言い方をしますと、マンションと一戸建ては、それぞれに長所、短所があるということでしょう。経済的な損得では測れないものがあり、結論はその人の人生観によるとしか言いようがありません。

 

ともあれ、マンションで一戸建てにない出費はと言えば、駐車料と管理人の人件費、エレベーターの維持費などでしょうか。その分は余分かもしれませんね。しかし、トータルで比較したら、マンションと一戸建ての差はほとんどありません。

 

管理費と修繕積立金の合計で、ファミリータイプのマンションの場合、毎月2万円以上を支払うことになるはずですが、これは建物の維持管理に必要な経費であり、欠かせないものです。

 

一方、一戸建てには、維持管理費はかからないのでしょうか。いいえ、同じようにかかります。ただ、手入れや改装を放置する自由が一戸建てにはあります

 

一戸建ての所有者が手入れや改装を放置したために建物が傷み、老朽化が進んだとして、困るのは所有者だけですが、マンションではそういうわけにいきません。お互いに知らんふりしていればかからない経費もあるでしょうが、その代わりに、建物の老朽化が進み、最後はスラム化してしまうに違いありません。

 

マンションは、共用部分の維持管理をするために管理費・修繕積立金を拠出するわけで、自分を含む「みんなで用いる部分」であり、「みんなの財産」は、「みんなで守る」ことが必要になります。そのための経費を負担するのは当然と言えます。

 

いずれにせよ、本来マンションと一戸建てを同一レベルで比較し、どちらがトクかなどと論議すること自体がナンセンスという見方もあることを銘記しておきましょう。

 

Q25.新築と中古、それぞれのメリットとデメリットは?

A)新築マンションと中古マンションの違いを整理しました。

①新築マンションのメリット

*新築マンションのメリットは、誰も住んでいない住居に住める。

*不動産(仲介)手数料がいらない。

*少なくとも2年間は補修などアフターサービスが受けられる。

*新築の家の最大の利点は、最新の法律が適用されていることだ

・・・家屋に関する法律は、この数十年の間に、防火・防災・耐久性など、事故や災害への対応を盛り込んで改定されてきました。新たな基準が設けられた後に建てられた住まいは、それ以前のものよりも安全性が保たれています。

耐震基準は1971年(柱の中の鉄筋を増やす)と1981年(震度6程度の地震でも建物が崩壊しないことで人命を確保する)に大きく改定されています。新築であれば、現状で社会的に求められる住宅品質が、販売価格の中に盛り込まれていると考えることができます

*友達ができやすい・・・新築は、皆が知らないもの同士なので、連帯感が生まれ、すぐ仲良しになれる。子供達も集団通学するなど、新しい友達がすぐできます

 

②新築マンションのデメリット

*価格が高い

*管理状態が確認できない

*工事中マンションの契約の場合、日当たりや眺望が確認できない

 

③中古マンションのメリット

*価格が安い

*実物の確認ができる

*管理状態が確認できる・・・マンションは「管理が命」と言われるほど、管理状態が大切です。管理体制

が整っているかどうかは、マンションの資産価値にも影響します。

エントランス、エレベーター、廊下、階段などがキレイに掃除されているか?電球や蛍光灯が切れたままになっていないか、自転車置き場がきちんと納まっているか、植栽の手入れは行き届いているかなどもチェックする必

要があります。

 

また、大規模修繕計画についても。計画通り実施されてきたか、十分な修繕が行われてきたかを。確認することが必要です。

④中古マンションのデメリット

*多忙な人は良い物件との縁ができにくい(中古情報が出たら、直ぐに下見に行くフットワークが必要だから)

*物件の調査に手間がかかる

仲介業者の営業マンは、広く浅くは知っているが、物件情報に精通しているわけではない。特に、建物の安全性、設備の機能や調子、管理内容あたりは、しつこいほど質問して調べさせるようにしないと、あとで「しまった」になりかねない・・・ここが中古の落とし穴かもしれません。

 

管理人と管理会社に確認する。近隣の居住者に直接確認するなどの調査が不可欠です。

 

*アフターサービスや瑕疵担保がない・・・何かあったとき、問題解決を迫っても、売主、仲介業者は逃げることしか考えない。瑕疵や不具合があった際に、売主が個人が多いので、リスクがあるということになります。住戸内では天井に染みがないかどうか、できれば収納の中まで確認する必要があります。

 

コンクリートの建物でも雨漏りすることがあるのです。それが実際に雨水の跡であれば、修繕が行われていたとしても将来に不安が残ります。

 

*修繕費の徴収があるかもしれない・・・激安の中古物件は、購入した後に、耐用年数を迎えている設備の取り替え、耐震補強といった大きな修繕費が必要になるかもしれません。

 

築年数が古いマンションを購入すると、寿命による設備関係の交換が必要になり費用がかさみます。修繕計画書が作成されていなかったり、作成されていても長期計画に沿った修繕が行われていなかったりする物件は避けた方が無難です。

築年数の古いマンションは、大規模修繕がすでに行われているかどうかが重要なチェックポイントです。

 

*親しい友人ができにくい・・・中古の場合は、既に家族同士のグループができていたり、もう既に子供同士のグループがあったりと仲間に入りにくいものです。 露骨に新参者扱いはしないでしょうが、運次第です。最初は苦労するかもしれません

 

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