2012年も首都圏売れ行き好調、地方は伸び悩みという構図が続く?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

明けましておめでとうございます。
新年第1号の記事は、2012年のマンション市場について少し触れておきたいと思います。

首都圏の新発売マンション11月の契約率(11月に新規発売したマンションが月末までに何%売れたか)は、不動産経済研究所の発表によると、79.6%と高水準でした。70%以上は好調、70%未満はその逆と言われるデータですが、80%近い契約率が出たことは業界を喜ばせたことでしょう。
勿論、先行きには楽観できない要因がいくつもありますが、10月も70%を超えていますから、震災の影響は脱したと見て良いかもしれません。

平均が80%ということは、当然90%や100%だった物件もあります。しかし、新規発売208件中の内、100%だったのは僅か5件しかないことを、同研究所は公表しています。
しかも、全208件の新規物件1件当たりの発売戸数は、わずか23.2戸に過ぎません。
これは、どのようなことを意味するでしょうか?

首都圏には300戸を超えるようなメガマンションが目立つのに、平均で23.2戸。これいかに?小さなマンションが多いということでしょうか?そうではありません。
分割販売という方法、例えば100戸のマンションを20戸ずつ5回に分けて売り出すためです。1回あたり5戸の売り出しなどということも少なくありません。
「第3期2次 新発売」とか「第5期1次 登録受付開始」といった広告のコピーに気付いたことがあると思います。

5戸しか売り出さないというのは、5戸しか売れないことを示唆しています。いっぺんに100戸売れる見通しがあるなら100戸発売すればいいのですが、その自信がないのですね。発売前の広告に対する反響度合いや、モデルルームでの商談内容などから、これくらいは売れそうだとか、これしか売れないなどと予測するわけです。

ともあれ、5戸売り出して5戸売れれば契約率は100%となります。これを業界あげて一斉にやれば契約率は高くなるのも当然です。その代わり、発売戸数は少ない形になりますね。
つまり、見せかけの契約率アップ作戦を採っても、発売戸数の伸び悩みという形で販売不振を露呈することになるのです。

では、その発売戸数はどうなのでしょうか?
震災の影響で春先に見合わせていた新規発売を、次第に遅れを取り戻そうとして来た結果、11月までの累計で完全に前年並みの戸数に追いついたのです。ということは、販売好調というのは満更ウソでもないということが言えそうです。前年(2010年)は年間を通して、まずまずの年でしたから。
とはいえ、絶好調には程遠い感じがします。2012年は、震災の影響で厳しさを増した買い手のニーズ(キーワードは安心・安全、職場に近い立地、割安=安・近・安 )に業界がしっかり応えられるかで成否が決まることになるでしょう。
グローバルに見れば欧州の不安定な財政・金融危機を原因とする新興国の成長のブレーキなどから日本の受ける影響には懸念が小さくないですが、マンション市場は前年並みに推移するか若干上向きになるのではないかと予想しています。

尚、近畿圏の11月の契約率は70%超えとなって好調の目安ラインを突破しましたが、月ごとのばらつきが目立ち、本格的な回復には程遠いと同研究所は分析しています。他の地方はどうなのでしょうか?
最新データは10月までしか見当たらないのですが、愛知県の初月契約率は78.1%(前月比19.2ポイントも上昇)と好調でした。発売戸数も484戸と前月比27.0%の増加でした。(水準としては少ないですが)。ところが、9月の愛知県は発売戸数では381戸の前月比102.7%増となったものの、初月契約率は58.9%と低迷。
やはり、近畿圏同様まだ安定感は取り戻せていないようです。
広島県や福岡県なども同じような傾向にあるようです。
地方都市は、2012年ももたつき感は続くかもしれません。

以上の市場動向を、買い手の立場ではどのようにとらえたらよいのでしょうか?その答えを今日の結論として述べましょう。

それは、焦らず、業者のせかす態度に乗ることなく、「じっくり品定めができる」ということです。
分割販売物件の場合は、今回見送っても次回で同じような部屋が売り出されるのです。分割でなく全部を売り出した物件でも、残戸数が十分あるケースは多いはずです。
このあたりのことを読みながら、冷静沈着に選択をするという心がけを望みます。

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