公共事業の増加で建設業に人材不足➔マンションはどうなる

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションの建築費が上昇傾向にあるらしいことは、昨年の本ブログでもご紹介しましたが、今後の見通しはどうかというお尋ねが届きました。一段と上がる可能性が高いとお答えしました。

今日は、このことについて詳しく解説します。

●建築費上昇の原因は人手不足にあり

東日本大震災の復興のため、建設関連の人材に対する需要が急増していることは先刻ご承知のとおりです。被災地の求人に対して関東からも応募する人材が増えて、関東の建設現場では人手不足に陥っています。極端に言えば、全国から人材をかき集めなければならない状態にあるのだそうです。

建設現場では、元請けのゼネコンがあって、その下に一次下請け、二次下請けが連なるピラミッド型の組織が形成されています。
元請け業者がマンション業者から工事を受注するに当たっては、同業他社との見積もり競争に勝たなければなりません。そこで、工事費をいかに安く提示するかに苦悩します。
ところが、実際の工事を担当する下請け業者からは、職人の日当アップを理由に契約金額の引き上げ要求が強く出て来ます。当初、元請け業者は力関係で要求を抑え込もうとします。しかし、次第に抗しきれない状況に至ります。

マンションに限らず、建築業というのは機械化の範囲が限られます。どうしてもヒトの力が不可欠な業種なのです。

●公共事業の拡大政策が決まった

安部政権は景気浮揚のための政策を新年早々、閣議で決定しました。それが、防災のための公共事業拡大策です。このための補正予算は1月下旬開催の国会で審議され、2月中旬には決定する見込みとなっています。
従来型の公共事業ではなく、40年・50年前に造られた橋やトンネル、高速道路の改修工事が中心になるのだとか。土木工事もあれば、建築工事もあるでしょうが、何にしても、建設業界に仕事が回って来ます。

これで、人手不足が深刻化しつつある現在、さらに拍車がかかる可能性が出てきました。人件費はさらに上昇することになりそうです。

●足元のマンション販売は好調だが・・・

今年、新たに着工する予定のマンションは、首都圏だけで50,000戸以上になると予想されています。その中に、デベロッパ―の思惑どおりのコストで発注できるものが果たしてあるでしょうか?
コスト上昇が分譲価格の上昇につながるのは必至ですが、一方では価格への転嫁が販売不振を招くことを経験で知っているので、何らかの対策を講じて来るのも間違いないでしょう。

その対策とは、目に見えないところで品質を低下させるのがひとつです。品質の低下というのが適切ではないとするなら、単純化・規格化したデザイン、高級品から普及品への変更、一部設備の取り止めといった策です。

建築費上昇の影響を受けやすいのは、中小型マンションです。大型開発は、受注するゼネコンも取引に前向きですが、契約金額が小さいものは避ける傾向にあるからです。
大型建築は、人件費の上昇を吸収しやすいものですが、小型ではそれが困難なので、発注者の期待に応えることができないのです。

大型マンションはコスト面でのメリットを受けやすく、かつ大型ならではの付加価値の高い商品になるケースが多いので、販売も順調に進むと考えられます。
これに対し、中小型マンションは、コストアップを吸収しきれず、分譲価格がアップしてしまいそうです。元々さほどの魅力を持たない物件が、価格だけ上がったら結果はどうなるか今から目に見えてしまいます。

●遅れながらも好景気がやって来る?

日銀が政府と連携して行う間断なく実行する金融緩和と、政府が打ち出した公共事業などの経済対策が景気浮揚のカンフル剤になり、短期的な成長を促進するとされます。
継いで、成長を持続するため次の策が用意されるのだそうです。
その結果、来年か再来年には給与も上昇に転じ、それが消費を活発化させ、成長を確かなものにするというシナリオが語られています。

本当にそうなるかは、今後の動向を見守る必要がありますが、その手前では目下の株価高騰などによって資産効果が現われて来そうです。住宅ローン控除の拡充策も出て来そうです。
こうした背景から、マンション販売を側面から押し上げてくれる期待も業界にはあります。

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価格の上昇がマンション販売にブレーキをかけるのか、それとも価格上昇が駆け込み需要を生み市場を熱くするのか、また景気回復でマンション需要が拡大して販売が伸びるのか、先のことは神のみぞ知るとしか今は言えませんが、今後の業界及び関連の動向を注視して行こうと思います。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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