大手=安心ではない。光る中小デベもある

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

気に入った物件を見つけたが、たまたま売主が聞いたことのない業者であるというときは、何となく不安を覚えるものです。どこを見て判断したらいいのでしょうか?そのポイントをお話ししましょう。

●大手マンションメーカーの特徴
「大手マンションメーカーは信頼できる。安心である」と思う人が多いことでしょう。大手の提供するマンションにはブランドという目に見えない価値があります。
『ブランド価値は一日にしてならず』です。長い時間をかけて大手となり、有名メーカーになったのです。では、どのような経過を辿ってきたのでしょうか?先にここを見ておきましょう。

<大手・有名企業となった経緯>
①長年に亘って積み重ねた経験と実績が会社を大きくし、同時に有名にしたと考えられます。
(但し、積み重ねた経験・実績がマンションメーカーとしてのものでないことも多いですが)

②知名度アップのために大掛かりな宣伝広告を実施した(繰り返し、テレビコマーシャルや新聞紙面広告を行なった結果、企業名や商品名が消費者の記憶するところとなった)。

③大手・有名企業となった結果、「ブランド価値」を築き上げたが、築き上げた価値を守るため、更に商品の質を上げる研究や製造(工事)過程における品質管理に注力した。また、販売後はアフターサービスの向上にも引き続き努力を続けた。

④大手となり財力ができたことによって、看板商品ともなる大規模な開発をたびたび主導することができ、その看板マンションが話題を集めて多数の顧客・ファン(購買予備軍)を獲得した。そこから、さらなる知名度アップとブランド価値の向上を達成した。

概ね以上のような好循環を生んで、大手・有名企業は今日の信用を得たと考えられます。

<大手の欠点>
大手メーカーは、「高品質で大型、アフターサービスの良い」マンションを供給するという共通点を持っています。これが商品に対する安心感をもたらしています。それこそが、「信用」です。その代わり、大手が販売する商品は価格が高いというデメリットが見られます。
感覚的に言えば、中小デベの同規模、同立地のマンションと比べると、少なくとも10%は高い。経験値ですが、そう感じます。

宣伝費や研究のための費用、万全の品質管理やアフターサービスを行なうための費用(人件費やオフィススペース、その他)などが、中小デベをはるかに凌いで必要だからです。
大手の商品内容は、中小と大差ないものもあります。しかし、それでも大手・有名マンションを選択する人が圧倒的に多いのも事実です。高くても「安心料」を払う感覚なのでしょうか?

●中小デベの特徴
一方、中小デベの特徴はどのように整理できるでしょうか?
①中・小型マンションでしか勝負できない
資金力がない中小デベは、開発するマンションの規模も中小にならざるを得ない。中小マンションでは、世間の耳目を集めることもないため、有名になるのも難しい。
しかも、中小マンションは大手が手掛ける大型マンションのようなスケールメリットのあるものにはなりにくいことから、大手に負けない競争力を持たせるために涙ぐましい努力を強いられる。
(※蛇足ですが、中小が大手にのし上がるには、開発件数と回転数で勝負するほかにありません。マンション専業最大手の大京は、その典型的な成長企業でした。30年もの長い間、供給戸数において全国で圧倒的な数の実績を残した結果、ライオンズマンションと言えば知らない人がないほどになったのです。現在、かつての大京ほどの数を毎年継続できる成長株は全く見当たりません)

②供給戸数も、供給物件数も少ない
財力も人材も乏しい中小デベは、大型マンションの供給ができないうえに開発件数も少ないため、トータルの供給戸数は伸びない。
③地域密着型の経営を行なっている
経営効率を高めるため、開発対象地を狭い範囲に絞る傾向が強く、本社の所在する地域や一定の鉄道沿線に集中、「地域密着型経営」を標榜している企業が多い。
④いつまでも無名の中小デベのままだ
歴史は大手デベと肩を並べるほどなのに、知名度がいつまでも上がらないのも中小デベの特徴。無名を打破するには、大京幹部から独立して興したダイア建設が成功したようにTV-CM(歌謡曲「東京砂漠」をバックにした特徴あるものであった)を連発するのが早いのだが、そこまでの費用をまかなえるだけの利益を確保するのは並大抵ではない。
何故なら、昔と違って現在の買い手は商品が高いか安いかを見抜く目を持っているため、原価積み上げ式に価格を決めても買ってくれないからある。
立地条件の劣る安い土地を取得したり、見えない所でコストダウンを図ったりして価格を抑えるか、その逆に、金持ち中心のターゲット戦略で、高くても売れる小型都心商品(例えば投資マンション)で勝負するほかにないのが実態。

中小デベとは以上のように整理できるのですが、中小であってもキリリと光るデベも存在します。具体的に社名を挙げるのは憚りますが、商品には以下のような特徴が見られます。

<中小デベの商品の中で評価できる部分はどこ?>
①大手に負けない好立地に絞った物件
②大手に負けない優良な企画、特に間取りとデザイン性の高さ、手作り感覚の物件
③外断熱や小型でも免震構造を採用する、太陽光発電や太陽光給湯などのハイスペック・差別化商品に挑戦した物件
④最低でも50戸以上の物件(小型マンションはいろいろな面で見劣りするため)
⑤一流の管理会社を起用した物件(一定の規模が必要ではあるが)
このような物件であれば、中小デベでも高く評価できる場合が多いものです。

<中小デベのマンションを買うときのチェックポイント>

中小デベのマンションを検討するとき、上記の5点を評価するとともに、以下の5項目をチェックポイントとして覚えておかれるとよいでしょう。
①建築士の設計経験が20件以上あるかどうか
設計者の経験が何より重要で、たとえ1級建築士でも、経験不足の人は、とんでもない設計をしてしまうことがあります。ありえないミスをしてしまう若い設計者も偶に現れます。
そこで、設計事務所、というより設計を担当した建築士の経験を尋ねてみることが必要です。少なくとも20件以上の経験を持っていないと懸念は消えません。
設計事務所の所長(社長)などが検閲して図面は完成するのですが、そのチェックが甘い場合もあるからです。

②住宅性能評価書をチェックしましょう
無名の売主であっても、一定のレベルで設計することを設計事務所に求めるのが普通です。問題は、そのレベルを買い手がどのような方法でチェックするかです。
そのチェックリストとも言うべき資料が、「住宅性能評価書」です。設計図書を見ても素人には判断しにくいですが、こちらなら「等級」表示になっていて、容易にレベルを知ることができます。
但し、住宅性能評価は任意のものですから、売主が国の指定する外部評価機関に対して評価を依頼していることが前提になります。住宅性能評価を受けていない物件の場合、専門家を連れて行って図面のチェックをすることが必要になるでしょう。まあ、最近は殆んど評価を依頼していますが。

③施工が手抜きなく行われているかどうか
専門家でない限り、いえ、専門家でも工事の手抜きを見抜くのは困難です。
複数の監理者(監督・管理者のこと)、すなわち設計事務所、工事請負会社の現場監督などの目によって下請け工事会社(どこでも工事の実際は下請けが担当します)の手抜きを防止する以外にありません。
売主に対し「監理態勢はどうなっていますか」と質問して、施工会社、設計事務所、売主など複数態勢になっていれば、ひとまずは合格とするしかありません。

④建設住宅性能評価を受けているかどうか
設計がどんなに立派でも、工事が手抜きでは意味がありません。その手抜きを防止する目的で、「建設住宅性能評価」というものもあります。
こちらも、外部検査機関に対して業者が任意で依頼するものです。この評価書が付いた住宅なら、ダブルチェック、トリプルチェックして完成された住宅なので、より安心ということになります。

⑤売主の経営内容はどうか。特に財務状態はどうかこれは、第三者に調べてもらうことが必要ですが、費用が必要です。費用をかけたくなければ、他社のモデルルームに行ってそれとなく営業マンに聞いてみるといいでしょう。
ライバル社の悪口を口走ることがあれば、それは全く根拠のない話でもないです。

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