営業マンの質の違い―新築と中古の差

ブログテーマ：元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月５と１０の日に投稿しています。

新築マンションの営業マンと中古マンションの営業マンとの間には大きな差があります。優劣の問題ではなく、質的な差が明確に見られるのです。
営業マンの性質を知っておくことは、マイホーム選択を誤らないための防衛策として必要ではないかと考えます。今日はその話をしましょう。

●新築担当営業マンと中古担当営業マンの違い
1.職場は？
モデルルームに詰めて仕事をする新築マンションの営業マンに対し、中古マンションの営業マンは、流通店舗（駅前の不動産屋さん）に詰めて仕事をすることが多いという特徴があります。
2.担当物件が単独か複数か？
新築マンション担当の場合は、取り扱う商品が一つしかない。完売するまでの一定期間は、同じ物件を担当します。
これに対して中古マンション担当は、多数の物件を扱う。不動産流通機構に登録された大量の売り物件の中から、買い手の希望条件を満たす物件を探して紹介するというスタイルです。
3.担当物件の違いが意味するもの
新築マンション担当の場合は、物件情報に関して深く研究することにつながり、中古の場合は表面的なことしか知らない場合が多いということにつながります。
新築の場合は、特定の品物を売るために徹底して商品知識を把握しようという方向に活動するからです。建設地周辺の地理、建築物としての構造や仕様、アフターケア、管理といったことに関して周知して販売に当たることになります。一つしかない担当商品を売り込むには必須の学習というわけです。相手する顧客が皆同じ物件目当てなので、必然的に詳しくなるという事情もあります。もっとも、勉強不足の営業マンも少なくないのですが。
従って、新築の買い手は営業マンにどんどん質問すれば、大抵は即座に答えてくれます。しかも、もし何かあれば売り主責任になるので、いい加減な答えはせず、慎重な対応をしてくれる場合が多いのです。その面では、買い手にとって、新築マンションは安心できると買い物と言えるかもしれません。

一方、中古マンションの担当営業マンは、顧客がAを気に入らなければBを、Bも気に入らないときはCというふうに、次々に物件を紹介すればいいので、深く研究する必要を感じていないようです。来店客の希望を聞けば、地域的にはある程度絞られているものの、広い地域で探すということになれば、一体どれだけのマンションを知らなければならないのか。気の遠くなるような数です。
一定地域に絞ったとしても、物件個々の内容に精通するまでには途方もない時間がかかります。折角詳細を調査して販売に臨んでも、同じ売りマンションが新築のように多数あるわけでないので、別の業者が成約してしまえば、勉強したことが無駄になってしまうのです。同じマンションの売り物が直ぐに出てくれば無駄にはならないのですが、テリトリー内のマンション全部に精通するまでには相当な時間が要るし、そんなことをしておれないのも実態なのでしょう。
経験の足りない営業マンが担当についたときの買い手は気の毒と言えそうです。現地案内のとき、「自分もこのマンション見るのは実は初めてです」などという営業マンもいます。先に見ておけよと叫びたくなりますが、実態はそれほど無知のままで販売（仲介）を担当していることが少なくないのです。

●万一の場合で新築と中古の違い
これは営業マンの質とは少し離れてしまう話ですが、買ったマンションに何らかの不具合や瑕疵があった場合で、新築と中古の違いも大きいですね。
中古の場合、買い手は売り物件の説明書に記載された重要事項と、自分の目で見た範囲の情報で判断するしかありません。
引き渡し後に何かあっても「現状有姿（ゆうし）」すなわち見たままの状態での取引が中古の場合は常識ですから、契約書にもその旨明記してあるため、文句の持って行きようがないのです。しかも、売主は大抵が個人だから、瑕疵を発見してクレームをつけたとしても逃げようとするばかり。仲介した業者も担当営業マンも契約書を楯に取りあわないという事態が普通です。
中古マンションを検討するときは、買い手の自己責任による取引と考えるべきかもしれません。物件情報に精通していても、大事なことを隠して教えてくれない営業マンでは同じことですが、中古マンションの担当営業マンは物件に関する限り無知と思って多くを期待しない方が賢明なのです。中古マンションを買うなら、買い手もよく勉強をしてから動いた方がよさそうです。

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