大手業者にもいるお粗末な営業マン

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

この3連休で、数か所の物件を検分しました。その内の2か所、どちらも大手販売専門会社が担当していましたが、少し意地悪な質問をしてみたところ意外な結果でした。
正体を隠して聞いたのですが、驚きの回答の連続に最後は絶句してしまいました。

今日は、顧客がいかに営業マンに誤魔化されているかについてお届けします。

●陳腐な説明

「ここは二重床ではありませんね。どうしてですか?二重床の方が良いのでは?」
「どちらも変わりはありません。クッション材付きのフローリングを使用しておりますし、遮音等級はLL-45 という高級なものを使用していますから、遮音効果も問題ないです」と言いながら、二重床と直床の違いを説明したセールス資料を目の前に置きました。

それぞれに、メリットとデメリットが書いてありました。そこまでは問題ありません。問題は、その先です。

「このような資料を作ってあるということは、同じような質問が多いということですねえ!」と感想を述べると、「そうでもないですよ。たまにあるので、一応お答えを用意してあるということです」

「建築コストは、直床の方が安いですよね。性能が同じなら、コストの安い直張りを選ぶ業者さんが多いのでは?なぜ二重床を採用するマンションがあるのでしょう?」

「直床構造と言いましても、水周りに関してはコンクリートの床を下げて作ってありますから、その部分は大きな掘り炬燵のように空洞になっています。配管スペースとして利用するためです。直床は、リビングダイニングと個室だけです」との説明で、二重床を採用する理由説明がないのです。続けて次のように言いました。

「昔のマンションは、コンクリートの中に配管を埋め込んでいましたから、メンテナンスや交換が難しかったのですが、今は直床と言っても水回りは二重床ですから、性能ははるかに高いですよ」

そんな分譲マンションは、40年前のものと言って過言ではありません。一部であろうと全体であろうと、二重構造になってから既に長い時間が経っています。そのような昔の構造例を持ち出して比較し、直床構造のマンションではあるが、本物件はとても良いマンションだと主張しているわけです。

これは、問題のすり替えと言って過言ではありません。的を射た説明になっていないのです。そこに気付かない人は錯覚させられてしまいます。

ちなみに、昔の二重構造はコンクリート面を平らに作ったのち、水回りの床仕上げを盛り上げる形にしていました。結果的に、洗面所やトイレに段差がついてしまうことでした。
バリアフリーが当たり前になった今日は、全面二重床にするか、部分的な二重床にするかの二者択一になっているというわけです。

●欺瞞に満ちた説明

直床構造に関する説明の中で、「メリットは天井高が高いことです」と言うので、「そうですかあ?」と疑問の態度を見せると、「だってそうでしょ。床をかさ上げしたら天井が低くなり、かさ上げしない直張りなら天井が高くなるのは当然です」と言ったのです。

「二重床にすることで天井が低くなるなら、階高を上げれば済むだけのことではないですか? 直床構造の場合でも、階高を抑えて建てたら天井高は普通レベルになるのでは?」と突っ込んでみたら、階高の専門用語で気付いたようです。
(階高=かいだか:コンクリート床面からコンクリート床面までの寸法のこと)

「建築関係のお客様ですか?」と。

これ以上の詰問は悪趣味になってしまいそうなので、「まあいいでしょ」と終わりにしました。

●間違った説明を平然とする営業マン

別の物件は、鉄道の線路沿いでした。「音は大丈夫でしょうか?」と聞きました。
すると、「ここのサッシは、ペアガラスなので静かです」という回答でした。
これは、全く間違った説明です。ペア(複層)ガラスサッシについて誤解されている部分なのですが、プロたる営業マンがこれでは困りますね。

単純に考えると、ガラスが2重ならば遮音性能も高そうに感じます。しかし、実際に計測してみると、多くのペアガラスサッシは1枚ガラスの窓ガラスと同じ遮音性しかないそうです。
中には、1枚ガラスのサッシより、遮音性能が劣る製品もあるというのです。それは、1枚1枚のガラスが薄いからです。

遮音性が高いのは、通常の1枚ガラスのサッシをダブルで設置する「二重サッシ」や、枠のすき間が少ないエアタイトサッシと呼ばれるものです。
複層(ぺラス)ガラスで、かつ防音サッシという高性能サッシもありますが、採用例は数が少ないのです。

●インターネットで調べましたが・・・

最後にもっと驚いたことがあります。これは時代なのかもしれません。

私が質問した答えを探しにバックヤードに向かい、インターネットで急きょ調べたというのです。そんなことは言うべきではないと思うのです。経験が浅く勉強不足であることを認め、上司に聞いて来ますと下がったところまでは良かったのですが。

結局、「インターネットでは答えが見つかりませんでした」とギブアップしました。

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このような実例を上げるとキリなく存在します。大手業者の場合、比較的教育が行き届いていると聞きます。確かでしょう。しかし、不動産は奥がとても深いのです。生半可な知識では、十分な顧客サービスができません。

最近は簡単なことならインターネットで知識を吸収できる時代です。買い手の大半がインターネットで調べ、情報を仕入れています。情報が氾濫し、誤った情報、玉石混交の情報が乱れ飛んでもいますから、混乱に陥る買い手も多いのです。

それゆえに、知識と情報の選別整理ができないとプロとは言えない。私はそう考えます。

しかし、この3日間で氷山の一角だと改めて感じました。買い手が真に頼りにできる営業マンは少ないのかもしれないと。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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これまで数えきれないほどの評価サービスを提供して来ました。その中で、対象マンションの中には手放しで称賛できる物件もなかったわけではありませんが、微々たる数です。大半の物件は何かしら問題点を指摘せざるを得ませんでした。

立地条件に問題があるもの、建物グレードの劣るもの、有名業者の割には品質が二流というもの、品質は申し分ないものの価格が異常に高いもの、管理態勢に疑念があるもの、管理費が高過ぎるものなど、ここで具体的は述べませんが、満点にはほど遠い物件が多いのです。

100点満点で、60点から70点の間の物件が大半というのが実感です。

評価レポートには、必ず私の所見をお付けしています。また、ご依頼者が不安・疑問に思う質問や相談メッセージを下さった場合には、当然ながら回答をお付けします。

このとき、いつも迷うことがあります。ご相談者は、既に現地を確認し、モデルルームを見学しているものの、購入にどれくらい前向きなのかが分からないため、言葉の選択に迷うのです。

基本的は、客観的、かつ具体的に所見を述べることにしていますし、それがモットーでもありますが、言葉選びを誤れば相談者の感情を害することもあるでしょうし、購買意欲を一気に覚醒してしまうこともあるでしょう。それが良い場合もありますが、購買意欲が一層盛り上がるように言ってあげた方が良い人だってあるはずです。

誤った選択をしようとしているのであれば、「冷静に」と呼びかけることが必要ですが、そもそも理想のマンションはないのです。「ダメ出し」ばかりでは、買えるマンションはなくなってしまいます。
従って、枝葉末節の部分は大らかに見ることも必要であり、その点を念頭に置きながら、慎重に言葉を選ぼうと努めています。

このサービスは、単にマンションに点数を付けるのが目的ではないのです。どちらかと言えば、「マンション購入の迷いを解いて決断の後押しすること」にあります。

こんな例があります。要点のみ書きます。
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