分譲マンションって、どれだけ早く売れるもの?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

タイトルのご質問を頂きました。実際は、質問者が検討中のあるマンションが売れ残っていることから、関連質問としていただいたものです。ここでは、単純化して一般論を述べたいと思います。

①最も早く売れる「即日完売」マンション
人気物件は、モデルルーム公開前から話題を集め、多数の資料請求が寄せられます。モデルルーム公開開始とともに見学予約客が押し寄せます。公開開始から申込受付までの期間、仮に1か月として、その間に3000組もの見学客が現地を訪れるというとき、そのマンションは200戸くらいが一気に完売となります。
購入申し込み受付は、通常1週間か2週間の期間を設けます。受付最終日までに発売戸数全戸に申し込みが入れば、「即日完売」という表現をします。
完売と言っても、金銭授受を伴わない申込なので、実際は簡単にキャンセルも発生し、一時的に空きが出ます。キャンセルの割合は、数%から10%です。しかし、人気物件は直ぐに代わりの購入希望者が出ますから、入れ替えがあっても程なく完売になります。
即日完売マンションでは、よく抽選で契約者を決めることがあります。そのマンションの特殊住戸(角住戸や最上階のルーフテラス付きなど)には、人気が集中するためです。人気が沸騰するような場合は、特殊住戸以外も抽選になることがあります。最高倍率5倍、平均倍率1.5倍などとなるのです。
こうした人気物件も、予告広告を何回も実施して前景気を煽る期間が相当設けられますから、実際の販売期間は完売までに半年以上1年ほどかかっているものです。
好景気に沸いたマンションブーム期には当たり前だった即日完売マンションも、今は首都圏でさえ全体の10%もないのが実情です。

尚、業界では「分割販売」が常態化しており、100戸のマンションを20戸ずつ5回に分けて売り出すことが多々あります。中には、1回の売り出しを5戸、10戸といった少戸数にする例も散見されます。
多数の発売に踏み切っても買い手が少なく、結果的に不人気マンションの烙印を押されかねないため、それを防ぐ目的で小出しにする戦術なのです。

②竣工前完売の優良マンション
分譲マンションは、殆どのケースで工事中に販売を開始し、竣工前の完売を狙います。建物が完成すれば、工事代金を支払わなければなりませんが、その資金は銀行借り入れや自己資金ではなく、それまでに売れた住戸の代金で充当するのが理想的だからです。
ところが、思惑通りに売れてくれないことがあります。景気が低迷しているときなどには、需要が後退し、多くの物件が販売に苦労します。しかし、そのような時代でも竣工前に完売してしまう物件があります。
短期完売mもしくは竣工前に完売する物件は、立地条件に優れているとか、建築プランが優れている、価格が安いといった特徴的な物件です。
ただ、竣工前完売と言っても、工事期間は多くの場合で1年以上もあるわけですから、完売に要した期間も1年以上となるのです。

③竣工後に実物を見せて販売するマンション
モデルルームを別棟に設けることなく、実物が完成もしくは完成に近づいてから建物本体にモデルルームを設けて販売を開始する事例があります。多くの場合は小型マンションで行なう手法ですが、少戸数ゆえに竣工後ほどなく完売に至る例もあります。
しかし、条件が悪ければ少戸数といえども短期完売はできません。実物が見られて買い手にとっては安心感があるというメリットがあるのも確かですが、反対にアラが見えてしまうという、売主に取って功罪両面があるのです。

④竣工後も長期間売れ残る「割高マンション」
竣工から1年を経過して在庫を抱えている物件が見られます。売れないマンションには、売れ残るべくして残った原因があるものです。例えば、環境が悪い、駅から遠いといったものです。
そのようなマンションでも「環境に慣れている近所の買い手」や「駅から遠いが価格が安いから」などの理由で購入する人が何%かは現われます。しかし、需要の底が浅いのです。やがて買い手はいなくなり、販売は苦戦を余儀なくされます。
売れない理由はいろいろでも、その欠点・弱点を克服するのが価格です。条件がどんなに悪くても安ければ売れるのです。売れないのは品質や立地条件などの割には高い、すなわち「割高マンション」ということになるのです。
ゆえに、長期化しているマンションの場合、殆んど例外なく価格を下げて販売促進を図ろうとしているはずです。

⑤竣工後も売れ残りを抱える大規模マンション
優良なマンションでも、竣工後、多数の売れ残りを抱えている例があります。「特段の欠点がない。価格もリーズナブル。ゆえに、竣工までに3百戸も売れた。しかし、まだ100戸の在庫がある」――このケースです。
これは、そのマンションが生み出す市場、言い換えると需要量が予測より少なかったか、強力な競合マンションが現われて買い手を半分奪われてしまったというようなケースが考えられます。

⑥竣工後も当たり前に売れ残る地方都市のマンション
地方都市は、首都圏のようなスピードでは販売が進まないものです。即日完売などという例もないことはないが極めて稀です。殆どが竣工後もしばらく売れ残っています。小都市になると、完売までに竣工後2年近くを要する例が少なくありません。
長期化するのは、市場が小さいこと、言い換えると首都圏ほどの強くて大きい需要がないことに原因があります。
物件(主に立地条件)によりますが、竣工から概ね半年ないし1年かけて完売するというのが普通です。

⑦竣工後も売れ残るバス便マンション
④番の「割高マンション」のところでも少し触れましたが、バス便マンションはほぼ例外なく竣工後も売れ残ります。不便な割に高いのですね。売主は、不便でもこの価格で、このプランなら売れるはずと期待して売り出すのですが、大抵は期待を大きく裏切るものです。
このプランというところで例を出すと、最近人気の「太陽光発電や蓄電池付きのエコマンション」がありますが、最初は思惑通りに買い手が現われて業者を喜ばせますが、やがて買い手は底をつきます。優先条件は「交通(通勤・通学)」であって「発電」ではないのです。
バス便マンションは、首都圏のような交通の発達した地域では、「何もそんな不便なマンションを選ばなくても」という考えの人が多いのでしょう。竣工後1年以上も在庫を抱えて売主を泣かせるのが、バス便マンションでは普通です。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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