“電気代タダ”に魅かれてバス便マンションを買う愚かさ

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

あるマンション用地を取得するにあたり、ディベロッパーA社は駅から徒歩20分(バス利用可)の条件では、販売は困難として取得を断念しました。その土地をB社は「太陽光発電装置付き」にしたら売れると判断し購入しました。
分譲マンションは、例外なく長所・短所があり、なかなか理想的な条件のマンションは見つからないものです。マンションの見学を実際に実行してみると、気になることがいくつも見つかり購入を決断しにくい状況に遭遇します。
駅からの距離、買い物便、道路騒音、プライバシー、学校区、方位と日当たり、売主や施工会社の信用、地盤、構造、間取り、管理費等の額、設備、駐車場など、挙げればキリはないですが、さまざまな条件・事柄で気になる所が出て来ます。あちら立てればこちら立たずで、複数の物件を比較しては思い悩むという姿は共通のものです。

さて、冒頭に挙げた駅から遠い土地を買い、大規模な太陽電池を設置して各戸に送電する「太陽光発電装置付きマンション」としたB社の物件は、思惑通りの評判を呼んで販売をスタートしました。
折から、電力不足問題が連日マスコミをにぎわす日々でしたから、各戸で必要とする電力の半分以上を賄えるはずとした発電装置付きマンションはとても魅力的に映ったようです。
天候に左右される太陽光発電ですが、それでも平年並みの天気が続けば想定する量の電気が送られ、うまくいけば売電することでプラスを生む日も出て来そうというのです。
毎月の光熱費がタダ同然になるという話に飛びついた人が多かったことは想像に難くありません。事実、それで購入を決意した人もあったのでしょう。
しかし、評判を呼び大勢の見学者でにぎわったのは、最初の1か月だけでした。電気代タダは大きな魅力ですが、バス便の立地と交換するまでには至らなかったのです。
賢明でした。生活する上で重要な条件は、「通勤の便」や「買い物の便」などが優先します。それらに問題のあった物件だったのです。見学者の多くは、冷静に判断しました。

しかし、何%かの人が購買を決定しています。勿論、その要因が電気代だけにあったわけではないでしょう。通勤先が近いのでバスでも構わないという人もあったでしょう。また、バス便の土地ですから元々不人気で取得価格が安かったはずです。大型太陽光発電装置を付けたことでコストがアップしたと推測できるものの、それでも地域の他社物件より幾分かは安い価格になっていました。それも購買理由だったかもしれません。

東京圏におけるマンションの価値を決定する大部分が「利便性」にあるという事実が存在します。たとえ環境が良くても、たとえプール付きであっても、電気代が限りなくゼロに近いと言われても、駅近マンションには勝てないのです。「駅から遠い」が許容できる範囲はせいぜい徒歩10分から15分以内です。

駅から遠いマンションを検討するときは、「安さ」、「環境」、「特別な設備や施設付き」などのメリットが幾通りも揃って弱点を補い、お釣りが来るというものでなけれなりません。問題は、これらの条件を天秤にかけてバランスがどうなるかの判断力にあります。各条件を測定する物差しがないので、実際にはとても悩むことになるかもしれません。そんなときは、どうぞ私にご質問をお寄せ下さい。
お洒落で最新の設備が付いて、気の利いたインテリアで装ったモデルルームを見学してしまうと、冷静なつもりでもつい舞い上がってしまうものです。つまり、売り手の巧妙なセールス戦術に取り込まれてしまうのは仕方ないことでもありますが、少しでも疑問に感じたときはご質問なさってみてください。

ともあれ、基本は「バス便をはじめ駅から徒歩10分以上のマンションは要注意、できたら避けるべし」と覚えておきましょう。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。「無料相談」と「マンションの無料評価サービス」があります。

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