マイホームが半値になってしまったら?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

●住み続けるのであれば、価格の下落も高騰も無関係だが・・・

もし、貴方が買って住んだ新築マンションを例えば何年先かに売りたいとします。そのとき、運悪く半値でしか売れないことが分かったとしましょう。これは実際に起こり得る話です。
住宅ローンが売却価格を上回る額で残っていれば、銀行との清算ができず(預金から手出しすれば別ですが)、売りたくても売れない人もあることでしょう。
売れなければ住み続けるか、転勤その他でマイホームを離れる場合は、賃貸するほかにありません。

逆に言えば、住み続ける場合なら、マイホームがどんなに値下がりしようが関係ありません。
売却せずに賃貸に出しておいた場合でも、戻って住むことができれば、半値になろうが問題はないことになります。
とはいえ、同じマンションに何十年も住むというのは考えづらいことです。やはり、高い資産価値を維持し、いつでも売却が円滑にできるマンションを持ちたいものです。
今日は、運悪く半値になってしまったときの対策を考えてみましょう。

●同じマンションに何年住み続けられるか?

日本人の寿命は、まだ延びると言われています。現在は女性で86歳ですが、近い将来90歳に達することは間違いないかもしれません。百歳前後の高齢者が身近なところにあふれる時代が、すぐそこまで来ていると言えそうです。
そのとき私たちの住まいは、どうあるべきなのでしょうか?老人ホームに入ることになるのでしょうか?子供と同居するのでしょうか?一人住まいになるとして、そのときの住まいの形態はマンションでしょうか、一戸建てでしょうか?

このようなことを考えていくとき、今の住まいの処分が問題になる場合が多いのではないかと思います。
70歳、80歳という年代に達していれば、そのときの住まいに住宅ローンは残っていない場合が多いと考えられますから、価格を気にしないなら処分は可能になるでしょう。
ただ、それ以降の生活費の足しにするために、少しでも高く処分したいはずです。有料老人ホームに入るための一時金に充当したい人も、それなりの金額で売れる方がよいでしょう。
それには、築年数が何十年と長くなったマンションても、良い状態が保たれていることが必須です。良い状態、すなわち維持管理、特に大規模な修繕が適切に実施されていなければなりません。

翻って、処分せずに住み続ける場合はどうでしょうか?その場合、構造上も設備機器も耐久性があって機能的に問題なく、快適に居住できるものでなければなりません。
仮に、あなたが今40歳として、今年新築マンションを購入したら90歳時点でマンションの年齢は50歳です。最近のマンションは100年耐久のコンクリートで建てられるので、まだ余命が十分にありそうです。あとは、コンクリートに比べて寿命の短いエレベーターなどの機械設備の更新や配管類のメンテナンスが適宜行なわれていれば良いことになります。
しかし、果たして、50年先に快適な暮らしが可能な状態で残存しているでしょうか?不具合箇所が多過ぎて手つかずの状態に陥り、居住性の悪化に伴って転居者が後を絶たず、半幽霊マンションになったり、半スラム化状態になっていたりしていないでしょうか?
その答えのヒントは、これから築50年マンションが続々と増えて来る過程で知ることができるかもしれません。

●新築マンションが半値に下がるとどうなるの?

このようなことを考えて行くと、やはり不安は尽きません。としたら、仮に値下がりが大きくても住宅ローンを完済したとき、もしくは残債が少なくなったら( 手元資金を崩さずにすむという意味で )、いつでも売却するつもりでいた方が良さそうです。

そのためには、例えば35年間を払い続けるというよりは、途中で一部繰り上げ返済を実行して期間短縮を図り、例えば25年くらいで残債をゼロにしておくといいですね。

ここで、ちょっとしたシミュレーションをしてみます。新築マンションを購入し、15年後に売却の必要が起きたと仮定します。

新築時価格を4000万円とします。15年後、半値の2000万円でしか売れません。頭金を500万円、住宅ローンを35年返済の固定金利2.0%で3500万円組んで購入したものとします。毎月の返済額はずっと変わらず約116,000円です。
15年払い続けたので、残債は約2300万円に減っていましたが、売却見込み額が2000万円なので、手元には1円も残らないどころか300万円ほど不足します。これではあまりにも悲しいので、売却を諦めて賃貸することにしました。
東京都心から少し離れた場所ですが、最寄り駅から近いため、社宅ニーズなどもあって、120,000円で貸すことができました。これなら、毎月の住宅ローンの返済分に足ります。

住宅ローンの残期間は20年もありますが、賃貸を継続したのは最初の10年です。
そのとき、住宅ローンは残期間10年、残債務は1260万円に減っています。築25年に達した我が家は、査定してもらったら更に値下がりして購入価格の3分の1でした。しかし、売れば住宅ローンの清算に必要な金額にはなりそうです。

つまり、10年前は売るに売れないので賃貸したわけですが、それから10年経過して今度は売ることができるようになったものの、手元には一銭も残らないという切なく詰まらない結果になりました。
仕方ありません。もうすぐ定年を迎えるので、退職金で半分くらい繰り上げ返済し、毎月の返済額を減らすことにします。そうすれば、再就職先からの収入が大幅に減っても、または年金収入だけになっても困ることはないでしょう。賃貸契約の満了を待って住むことにします。

しかし、繰り返しますが、築25年のマンションに、あと何年住めるかという疑問が残るのです。自分の寿命より、マンションの寿命が先に来るかもしれないのですから。そうでない維持管理を期待するとしても、また、そのときになってみないと分かりませんが、選んだマンションが不運なことになるリスクは小さくありません。

●売るに売れないマンションを買ってしまったときの最後の策

上記のシミュレーションでお分かりの通り、価格の下落は「そもまま住み続ける」以外に有効な策はなさそうです。しかし、それも半分は否定しました。
そこで、最後の策をここで提案することにします。
その策とは、「住宅ローン完済までは住むか貸すかし、完済後に速やかに売却する」という方法です。
そのときの仕事や暮らしの状態によっては、場所的に住むことが不都合な我が家になっているかもしれませんが、賃貸なら継続するだけのことで問題ないはずです。

いずれにせよ、35年のローンを完済した時点で、マンションの余命も十分にありますから、売却は可能なはずです。築25年のときから更に10年を経過していますが、価格の下落率は25年を超えたあたりから緩やかになるのが普通で、購入価格の30%か悪くても25%程度のレベルにあるはずです。
(それ以下の数字は、これまでのデータから見ても東京圏では想像しにくいことです)
としたら、先に挙げた例題のマンションは1000万円から1200万円くらいでは売れる計算になります。勿論、銀行に払うものは残っていません。費用は仲介手数料くらいのものです。また、賃貸していた場合なら、住宅ローンの返済には家賃が充当できますから、完済までの期間、その心配はありません。

この策(35年後の売却)なら、途中で売却して手元に一銭も残らないことに比べて、かなり満足感が違うのではないでしょうか?
もちろん、ローン完済後も売却しないで毎月の家賃を副収入にすることも可能です。これが、もうひとつの選択肢です。時機を見て売却すればいいのですから。
時機とは、不動産市場が活況にあるときであったり、大規模修繕のための一時金徴収問題が発生していたり、あるいは個人的な別の事情が生じたりといったことが考えられます。

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