4階建てマンションには要注意

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

低層マンションの中に,地下住戸のある物件がよく見られます。低層マンションとは、一般に5階建以下のものを指しますが、閑静な住宅街などは、用途地域が「第1種低層住居専用地域」に指定されていて、高さ10メートル(12メートルの場合もある)の制限が加えられていたりします。
10メートルでは3階までしか建てられません。ところが、そこに「地上3階、地下1階。見た目は4階建て」の表示のある物件が数多く見られます。この種のマンションについて考えてみました。

●地下住戸付きマンションの実例
最近の広告から、「第1種低層住居専用地域」内の物件を拾ってみました。広告表示のままで表示してみます。
「プラウド鷺沼トレサージュ27戸」・・地上4階建て(建築基準法で地上3階・地下1階)
「御殿山ハウス169戸」・・・・・・・地上4階建て(建築基準法で地上3階・地下1階)
「シティテラス下目黒175戸」・・・・地上3階・地下1階
「アールブラン大森山王29戸」・・・地上3階・地下2階(登記上。見た目は5階建て)
法的なグラウンドライン(GL)から上には3階までしか建てられない場所でも、傾斜地などの場合、実質的に地下でない地下住戸が造ることができるケースがあります。これは、見た目では4階建て、または5階建てになるわけです。
一方、平坦地で地下を掘りこんで造った3階建てがありますが、こちらは見た目も3階建てで地下住戸があるとは気付かないケースです。

●地下住戸は規制緩和で生まれた
1994年の基準法改正では「住宅の地下室の床面積は、その面積が住宅全体の床面積の3分の1以内であれば、容積率から除外する」と定められました。
このため、地下住戸を持つマンションが増え始めたのです。 単純に考えて、3階建ての3分の1は1階分(1層)ですから、地上の1階と同じ面積の地下住戸を建設することが可能になるのです。
用地費が同じで、3層の建物が建つのと4層の建物が建つのとでは、当然1住戸当たりの土地原価が低くなる4層の方が価格を抑えることができるわけです。
地下住戸を造る場合、一般に建築費が問題になります。地上の建物より地下のそれは高くなるのですが、計画規模や地盤の関係、建築計画などによっては必ずしも割高にならないことも少なくないため、上記のような分譲実例がときどき誕生することになります。

●地下室のメリットとデメリット
見かけ4階や5階ではなく、完全にもぐった形の地下住戸(地下室)について、その長所と短所を考えてみましょう。
地下室の長所は、温度が安定していて夏は涼しく冬は暖かい、そのうえ遮音性に優れているということが挙げられます。
一方、短所は、室内が暗い、空気がこもりやすい、結露しやすいといった点です。さらには、豪雨のときに雨水の侵入のリスクがあることです。
もちろん、一定の雨量は想定済みの設計になっていますから、想定量を超えたときの心配が残るということです。

●地下室付き住戸なら楽しいかもしれない
地下を掘る場合は、空堀(からほり)またはドライエリアと呼ぶ空間、地下住戸から見てテラスのような部分が設けられます。そうすることで、地下住戸に光を取りこむことができるからです。
仮に前面が道路であるとすれば、道路から下を覗き込むと(実際は垣根があって覗くことはできないが)、真下にタイル張りのテラスがあって、そこに丸テーブルとイスが置いてあってブランチを楽しむ家族がいたりする―そんな光景が広告に描かれています。

空堀は反対側の個室や水回りなどの前にも設けられていることがあります。しかし、問題はその大きさです。空堀を大きく取れば取るほど、建築費が増えるだけでなく、自転車置き場や駐車場の通路を塞いだりすることがあり、現実は小さな空堀しかできないケースが多いのです。
その結果、個室はとても暗いものとなります。斜面に建つケースでも、南側から見ると地下ではないが、北側に回ると小さな空堀があって、覗いてみると地下室があるといったプランもよく見られます。
果たして、そのような住まいが快適と言えるかどうか、分譲価格は低く設定されていますが、甚だ疑問に思うのです。

地下室の中には、1階住戸の一部として設けられることがあります。例えば、1階が2LDKで、地下に1室か2室、計3LDKか4LDKという形です。いわゆる地下に階段で下りる形のメゾネット住宅です。
この場合は、例えば地下室を趣味の部屋(オーディオルームなど)にしたりして楽しむことができるかもしれません。

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