ノンブランドマンションで気を付けたいこと

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

2008年に発生したリーマンショックをきっかけに金融危機が到来、その結果、中堅のマンションメーカーが数多く倒産しまい、今、マンション市場は大手ばかりになってしまいました。
そんな中で、少ないですが無名業者の台頭も見られます。今日は、そんなマンションメーカーの物件について述べようと思います。

●ノンブランドマンションを見て
ブランド力のある大手マンションメーカーの物件と、ノンブランド物件はどこが違うかと問われると、真っ先に浮かぶのは立地条件の圧倒的な差を挙げます。
都心より郊外が多いこと、準都心の場合では人気エリアより「住んでみたい街ランキング」の上位には登場しないような街が多いことを指摘できます。
もうひとつの差は、狭小敷地が多いという点です。

郊外マンションは都心に比べれば価格が安く、人気薄の準都心マンションも人気エリアに比べれば安いですが、それぞれのエリア内で比較すれば必ずしも安いとは限りません。
ノンブランドマンションは、大手対抗策として価格の優位性を引き出そうと努力しようとするようですが、現実は難しいのでしょう。結果を見ると、必ずしも割安にはなっていないのです。

安くならない要因は、スケールメリットを得られないためと考えられます。比較的地価の安いエリアで開発したノンブランドマンションとはいえ、建築コストを抑えるには一定の規模が必要になります。戸数で言えば、50戸規模ではなく100戸、できたら200戸くらいのスケールが欲しいのですが、そのような土地を取得することができないのです。

大手デベロッパ―も郊外マンションに手を出さないことはありませんし、人気薄のエリアで開発することもあります。しかし、その場合、ときに数百戸規模の大型マンションを狙うものです。規模が大きいと、様々な付加価値を設けることができ、価格を抑えることも可能だからです。

●無名デベの生き方
無名のデベロッパ―は、資金力や土地情報の取得力で大手デベロッパ―に劣るため、大手と対等に戦える優良な土地を取得することが困難なのです。

かつて、ある中小デベロッパ―は大手と逆の事業戦略を立てました。同じ路線を行っても大手には勝てないからと、その業者の社長は語りました。

狙った土地は大手が敬遠した土地ばかりでした。都心でも準都心でも、取得できた土地はすべて変形敷地でした。
変形敷地に建てると、建物も変形するもので、建築コストは高くなりがちです。それでも開発に踏み切るには、土地代が相場より群を抜いて安くなければなりませんが、競争相手がない土地なので安く入手できてしまうのです。

変形敷地に変形建物を安く造るというのは、それなりの工夫・アイディアが必須です。また、比較的人気エリアなどにあっては、内外装の仕上げや設備の良さ、デザインセンスといったあたりで大手の上を行くことが重要になるのです。

この路線を進めた某社からは、当時「大手何するものぞ」という気概が感じられたものです。

また、別の中堅デベが、その成長過程で採っていた戦略も見事なものでした。場所が良いとは言えないものの、広くて安い土地を取得し、そこに様々な創意工夫を加えて人気を博すマンションを造り上げたのです。
工夫のひとつには、広い敷地を活かして敷地を庭園化し、庭園の中にマンションがあるといったコンセプトで子育て世帯から支持を得たものもありました。最寄り駅からの距離の問題は、マンション専用のシャトルバスを走らせるという解決策もあったと記憶しています。

このようにして独自の事業戦略が功を奏して成長したデベロッパ―も、リーマンショック後の金融危機で経営破綻に追い込まれてしまいました。各社に共通した気概や情熱を見ることができなくなってしまったのは残念なことです。

●いま再び魂を感じるノンブランド物件を見つけたが・・・
業者のお先棒を担ぐ行為につながるので、ここで業者名や物件名を挙げることはご勘弁いただきたいのですが、最近ほんの少しばかり気概や情熱を感じる物件に遭遇しました。

しかし、いかんせん立地条件が悪く、工夫した魅力の数々がどこまで功を奏し、どんな売れ行きになるか注目して行こうと思いました。

物件の評価サービスを展開中の私ですが、ご依頼の物件は大半が大手の物件です。稀に発展途上の無名業者が手掛ける物件が加わるという感じです。

無名業者が手掛ける物件は、評価の結論として言えば、良くて「消極的賛成」、大半が「見送られるべき物件」というのが実態です。理由は、簡単です。立地条件が良くないからです。

大手に負けまいとする魂を感じる物件ではあっても、マンションは立地条件がすべてというくらい場所が大きな要素を占めるだけに、選択に際しては慎重を期することを望みます。

マンションの価値は、ふたつの側面があります。資産価値と利用(使用)価値ですね。立地条件が悪い物件は、資産性においてはバツが付きます。しかし、利用価値は利用する人によって異なります。
「バス便でも構わない、環境が良ければ」、「線路沿いでも気にならない、二重サッシなど防音策がしっかりしていれば」、「寝るだけだから北向きでも構わない、便利でさえあれば」など、人それぞれの価値観があります。

ここを第三者の私がとやかく言うことは憚りますが、できることなら資産性を軽視しない方が良いと補足するでしょう。

マンション購入にあたっては、将来リセールするときの価値を購入時に想定する、若しくは考慮しておくということが大事だからです。
人生90年代がそこまで来ており、これから50年も同じマンションに住み続けるというのは想像しづらいことで、いつなんどき、売却の必要が生じるか分からないからです。
そのとき、できるだけ少しでも高く売りたいと考えるのが誰にでも起こる自然な欲望です。そう思うなら、将来の資産価値を無視はできないはずです。

マンションの資産価値を決するのは、大部分が立地条件です。このことを肝に銘じておかれるべきと思います。

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