新築と中古の売り方の違いを知っておきましょう

新築と中古では、売り方に大きな違いがあります。その違いは、買い手にとってどのような意味を持つものでしょうか?今日は、そのことを書こうと思います。

●広告費のかけ方が根本的に違う
新築マンションの販売に当たっては、何千万円、ときに数億円の広告費を使います。平均5000万円のマンション100戸なら、売上総額は50億円です。その3%くらいが標準なので、1億5000万円を投じるということになります。
東京で多い300戸以上のメガマンションなら、平均4000万円の物件でも120億円ですから、2.5%の予算で3億円を使うのです。

インターネット広告は高くありませんが、大きいのは新聞紙面広告や折り込みチラシ広告、TVコマーシャル、電車の中吊り広告などです。中には、有名タレントをイメージキャラクターに起用している例もありますが、その費用は大物なら何千万円です。

これだけの費用がかかるのは、販売戸数が多いからにほかなりません。クルマでも家電でも数多く売って行きたいメーカー(売主)は広告費を多額に注ぎ込みますが、それと同じですね。

これに対して、中古マンションの売主は1戸だけを売れば良いわけですし、そのために広告費を用意するという慣習はありません。

仲介業者の方はどうでしょうか?こちらも、年間に数百戸を取り扱う大手業者であっても、その大半が別々の物件ですから、特定物件に懸ける広告費は高が知れています。また、仲介業者の売り上げは手数料だけですから、デベロッパ―とは比較にならないのです。

従って、10件も20件も並べた合同広告をたまに実施してくれる程度なのです。

●遠方の買い手を呼べるか呼べないかの差がある
メガマンションになると、地元客だけでは足りないので広範囲に集客を図ろうとします。そのためには新聞紙面広告や、大判チラシをとんでもない遠方まで折り込みするものです。
川崎の物件を売るに当たり、江東区に折り込み広告する例、世田谷区のマンション広告を台東区に入れた例など枚挙にいとまがありません。

このような広範な地域に訴求することで顧客発掘を図り、実際にも契約者を掴み取って行くのです。
沿線需要、地元需要より確率が低いとはいえ、遠方からこまめに集客することが必須とも言えるのですが。

中古マンションの場合、こうは行きません。例えば、横浜のマンションを都内居住者が購入することが現実にあるとはいえ、特殊なケースと考える方が自然です。自分が現在住むエリアと周辺で探すのが普通だからです。

●潜在的な買い手の発掘力の差がある
新築マンションの広告をたまたま見たというきっかけからモデルルームを訪問し、訪問前までは買う気がなかったが、モデルルームを見て一気に購買へ進むといった例は少なくありません。
見た広告が何かはそれぞれすが、意図しない人を注目させるのが広告の目的とも言えますから、その効果と考えられます。

中古マンションでは、たまたま見るという可能性は低くなります。買い物帰りにマンション前で「オープンハウス」の看板を見たから寄って見たという人もあるでしょうし、新聞折り込みのチラシを何気なく見て見学に来たという人もあるでしょう。しかし、確率は低いものです。
そもそも広告量が極端に少ないので、物色中の人を少数発見するのが関の山です。潜在的な需要まで呼び込むというのは期待できないと言えます。

●プレゼンテーションの違いが大きい
新築マンションのモデルルーム見学を経験した読者ならお分かりのように、新築マンションの販売は大掛かりです。実物と寸分違わないモデルルームをプレハブ建物の中に建設しますし、併設する販売センターはマンションギャラリーと称し、様々なプレゼンテーションの場として機能しています。

映像とナレーションで物件を紹介するシアタールームに通され、完成模型を前に全体像を説明、そして美しく着飾ったモデルルームを見せるというコースを辿る間に購買意欲がかき立てられるよう、マンションギャラリーは巧妙な仕掛けが設けられています。

中古マンションの場合、これらのプレゼンテーションコースはなく、いきなり物件を案内します。
居住者が移転済みのケースでは、室内ががらんどうで飾りも何もなく、女性に例えればスッピンで買い手を迎えるのが普通です。

●能動的販売か受動的販売の差もある
新築販売は、担当営業スタッフが専任者として配置されます。任務は当該マンションだけを売ることです。顧客を探すためにあらゆる手立てを尽くします。

広告の媒体選択、出稿の頻度、デザインやコピーの検討、チラシ等なら大きさや紙質、新聞紙面広告なら全面広告か半分の大きさか、カラーか白黒かなどを検討して行くのです。

また、普段から会員増に努めている「友の会」の会員の中から可能性があると思われる会員を抜き出してダイレクトメールを送る手配をする、これもいつもの作業メニューです。

これら一連の行動は、攻撃的とも能動的とも言える販売オペレーションになります。また、物件が先にあって、その物件に合う顧客を探すという流れになるのです。

これに対し、中古マンションの販売は最初が何らかの広告に反応した買い手が、その物件で即契約とならないとき、そこからは顧客に合う物件を探すということになります。
つまり、顧客が先にあって物件はあとから選択して紹介するという、新築とは180度方向の違う販売スタンスとなります。

これを中古の売り手の立場から見ると、売りにくいと見なされれば後回しにされると考えなければならないことを意味します。新築のように担当物件を売るためのありとあらゆる方策を検討することはないのです。

反響が入ったら、そこから初めて動くという受動的営業。それが仲介なのです。

●新築の販売手法には冷静さを失わせる魔力が秘められている
大量に動員された見学者が一堂に会すると、人気がある物件・良い物件と思う心理が働きます。そして、モデルルームでの雰囲気と熱気が気分を高揚させます。意図されたプレゼンテーション技法が買い手の購買意欲を高めるのです。

美点・長所を誇張する方法を採られているので、少々の欠点は隠れてしまいます。というより見えなくなってしまうと言うほうが適切でしょう。酔ってしまう人、舞い上がってしまう人を随分見て来ました。

最新の設備や洒落たインテリアで飾られた素敵な住まいが自分のものにできそうだという気持ちが目を曇らせ、木を見て森を見ない状態に誘導されてしまうということです。

問題に気付いたとしても、大したことはないと自分に言い聞かせたりします。価格も本当は割高なのに、高いと気付かない。そんなケースがたくさんあります。

極論すれば「あばたも笑窪」状態になってしまうのです。

新築を買うときに嵌まりそうな罠、その背景をお伝えしたかったのですが、うまくお伝えできたでしょうか? 同時に、将来自分が売主として仲介業者に依頼するときの販売イメージも記憶に留めておいて欲しいと願いながら本稿を書きました。

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