値引き・値下げ物件が増えて来そうだ

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

この記事を書くのは、タイミングとしては早いかなと迷いながら、結局書くことにしました。

●「値引き」と「値下げ」

値引きと値下げ、どちらも本質的には同じ意味ですが、使い方に違いがあるのです。

値引きは文字通り値引き販売することですが、買い手ごとの個別交渉の中で売買金額を決めることです。

販売が完了に近いときなど、追い込みで契約を促進したい販売チームまたは営業マンが「駆け引き」で用いるものと言えます。

これに対し、値下げというのは、全体の定価を改訂して販売し直すことを意味します。

新築マンション販売において、販売が大幅に遅れているとき、もしくは遅れそうなときに抜本策として登場するものです。

個別の値引き販売は比較的好調な販売が続いているときでも、物件によっては年中行事的に行われますが、「価格改定」の方は過去何度も繰り返されたマンション不況期に少なからず常套手段として断行する策です。

どちらも、不況期に増加します。
最近ではリーマンショックと呼ばれた世界金融危機後の2009年~2010年に横行し、ちょっとした社会問題になりました。

というのも、テレビ局が特集番組で取り上げたり、新聞の記事になったりしたからです。勿論、論調はマンション業者への批判的なものでした。

実は、2006年から2008年にかけてマンション価格は急上昇しました。業界ではミニバブルなどと言っていました。マンション市況が良くなるにつれて用地争奪戦が激しくなり、地価の高騰を招いたのです。

価格の上昇は「買い急ぎ」心理を引き起こします。価格の先高観が購買熱を煽り、売れ行きのスピードを高めるのです。

しかし、価格上昇が進み、買い手の購買力を超えて来ると、やがて需要の後退が始まります。そんな兆しが出始めたのが2008年初頭でした。その年の秋に金融危機が勃発し、次いで世界同時不況と時代が大きく動きました。

これで購買熱に急ブレーキがかかってしまったのです。マンション市況が冷え込み、業界各社を慌てさせることとなりました。2009年、2010年は新規発売物件の価格が下落傾向を示すこととなりました。

そんなときに割高感だけが残った売れ残り物件は、仕方なく在庫処分策としてかなりおおっぴらに値引き、値下げが断行されました。

●こっそり値引きと公表値下げ

買い手との個別交渉の結果から値引き販売するとき、その金額は買い手ごとにまちまちです。同じ物件の中で、100万円の値引き契約もあれば、500万円もの大きな金額を値引きして契約することもあるのです。

その金額の差を売主以外は知りません。定価で契約した買い手には、金額は勿論のこと、値引き販売した事実を知られないよう慎重に契約を締結します。

中には、値引きしたという事実を口外しない旨の誓約書まで当該買い手に提出させるほどです。

一方、全面価格改定は、その旨を広告で公にします。

そのとき、既に全体の何%かが定価契約されているため、それら先行契約者からのクレームを避けるため、新価格と同等の率で値引きし、契約を結び直すのが定石とされています。

先行契約者にしてみれば、「高いものを買わされた」という思いと、「差額返金は思いがけない贈り物」と捉える人もあるようです。

ともあれ、「そんなに下がるなら元の代金を払うから角部屋とか最上階とか、或いはもっと広い部屋に換えて欲しい」と考える人もあります。しかし、その部屋が空いてなければ希望は叶えられません。そこに不満を感じる人もあるのです。

●隠したい売れ行き

販売が絶好調という場合を除き、売り手は販売状況を買い手に悟られないように神経を配ります。業界全体が売れ行きを巧妙に隠すのが普通なのです。

買い手から営業マンに聞いても本当のことは言ってくれません。どちらかと言えば、実態とは反対の状況をアピールするものです。

「おかげさまで多数のご来場を頂いています」、「こんなにお申込みや商談中が入っています」などと、実数より上積みして(膨らませて)人気があるかのごとく訴求するのです。

週末のモデルルームに自分たちしか見学者がいないようなら、ウソと分かるでしょうが、多少なりとも複数の見学者が見えていれば、説明を真に受けてしまう人も少なくありません。

人間心理として、「よく売れていると聞かされると、その商品は良い商品・人気ある商品と錯覚する」ものです。そして、良い商品だから買おうとなるのです。

反対のケースはこうです。「良い商品と思って見に来たが、買いに来ている人は他にいない。良くない商品なのか」と意欲は後退して行きます。

売り手が恐れるのは、言わずもがな後者の方です。その売り手心理が、実態よりよく売れていると言わしめるのです。

また、売れていないと分かると値引き要求が増えるので、あくまで売れ行きは順調、従って値引きなどとんでもないことだと牽制しておきたいのです。

しかし、全面価格改定の場合は隠しようがありません。その代わり、値引き要求に先手を打ったようなものでもあるわけです。

●これから注視したい売れゆき

このブログで何度か書いたように、東京圏は品薄状況にあります。買いたくても中々物件が見つからないのです。物件によっては、検討を急がないと間に合わないケースが増えています。

しかし、その一方で価格の上昇が着実に進み、買いにくい状況もあります。

少しくらい値上がりしても品物がないのだから仕方ないと、高値の物件を購入する人が続いていくか、それとも購入を断念する人が増えて行くか、そのカギは「価格がどこまで上昇するか」です。

筆者の予想では、建築費の高騰が価格に転嫁できるとしても限度が当然あり、ここ1~2年のトレンドを見ていると、早ければ今年末から来春にかけて売れ残り物件は増えて来ると読みます。

マンション業者は、あらゆる手を使って販売が順調であることを装いながら営業を行い、値引き要求の風を避けようとするはずです。 しかし、使う手は姑息なものに過ぎません。時間の経過とともに売れゆきの悪さを露呈することになります。

販売不振を確信させるのは建物が竣工しても販売中の物件ですが、未完成の物件でも「第〇期〇次」の数が多い物件や1回当たりの受付戸数が少ない物件が苦戦中を証明しています。

売れ残りマンションでも、気に入って欲しいと感じるものがあるでしょう。しかし、価格は安いに越したことはありません。

全面改定になるような場合は、売主に誠意があれば先行契約者との契約金額も改訂(変更)してくれますが、未販売住戸のみを個別に水面下で(こっそりと)値引き販売する場合は、先行の定価契約者には恩恵はありません。

つまり、そのような場合は慌てて契約すると損ということがあり得るのです。買いたい部屋がなくなってしまうからと焦って契約するべきかどうか、この見極めはさほど難しいことでもありません。

価格高騰が避けられない状況下、可能であれば値引き交渉のチャンスを掴み、かつ粘り強く交渉して値引きを勝ち取りたいもの。 

品薄感が強まる中、急がないと買えない物件も増える一方で足踏みの鈍い物件も増えて来ると読みます。いわば、売れ行きの二極化が始まりつつあると言えば良いでしょうか?

 関心を持った物件が表われたとき、これまで以上に注視したいのは、その売れ行きです。何度かモデルルームに足を運びながらチェックするのが初歩的な行動として必須です。

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