ちょっと待て!!その分譲価格は適正か

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

前回、新築と中古の売り方の違いについて書きました。その中で、新築マンションは割高な物でも売れてしまうことがある、言い換えれば販売力にモノを言わせて売ってしまうという意味のことを述べています。

つまり、割高なマンションをそれと知らずに買わされてしまう、その魔力が新築マンションの売り方にはあるということです。

今日は、割高な物件ができる背景などについて述べようと思います。

●割高な物件を買ってしまうと・・・

新築マンションの販売戦略にまんまと乗せられてしまい、適正とは言えない価格で購入してしまう人が見られます。
たまたま私に相談された人は、その指摘を受けることになりますが、気付かない人は、お気の毒というほかにありません。

割高か適正かの判断は難しいのですが、中古になって売却するときになって気付くことになるのです。永遠に割高な買い物をしたことを知らずに終わる人も多いはずです。

●値引きしてもらったら得か?

値引き販売が終盤で行なわれるのは、半ば常識で、今日も「モデルルーム格安販売」や「モデルルーム家具付き販売」がどこかで実施中です。

値引きは本当にお買い得なのでしょうか? 

中には、値打ちがあっても数が多過ぎて販売が長期化している例があり、定価のままでも高くないという物件が存在します。

しかし、多くの場合、売れ残りマンションは高いものです。正確には「割高」なのです。
値引き後の価格でもまだ高いというケースがあります。過半は値引き後価格が「適正」と言えるかもしれません。

●価格はどのように決まるのか?

新築マンションの価格は、他の商品同様、「原価積み上げ方式」です。土地取得費+建築費+販売費用+利益=売値という構図ですね。

他の商品、例えば次世代のクルマ「水素車」は現状で1000万円以上しますが、300万円くらいの市場価格を目指して研究を続けているのだとか。300万円くらいまで下がらなければ大量販売は不可能と見ているからです。これは、生産技術の開発によって近いうちに可能になるのでしょう。

マンションでは、このような製造技術の向上で格安になる確率は殆んどありません。建築費が下がらないからです。資材が安くなっても、様々な建設機械が導入されても、建築現場は人の手が中心の、労働集約型の世界なのです。
従って、建設労働者の人件費が大きな比重を占めてしまいます。しかも、一定の熟練者を必要とする世界です。また、「危険・汚い・きつい」の3K職業でもあり、なり手が少ないという職種です。
このように、建築費は下がりにくい構造を持っているのです。

一方の原価「土地」は投機対象になったり、需給関係で上げ下げしたりしています。無論、工場で大量生産して生み出されるようなものではなく、有限資産なのです。

職場に近く、駅のそばで、かつ環境の良い土地が遊休地として残っていることはまずありません。
新たに生み出された広大な土地は、埋立地や山を切り開いた郊外にありますが、そこには鉄道を敷くことや、ガス・電気・水道などのインフラ整備が必須です。また、生活の利便のためにショッピング施設や学校なども用意しなければなりません。

東京湾のウオーターフロントも、鉄道新線のつくばエクスプレス沿線も、まだ発展途上にあり、遊休地と言える広大な土地がありそうです。現に空地があるのですから。

他方、既存の住宅地・業務商業地は隙間なくビルが建ち並び、遊休地は殆んどありません。しかし、その中から売り地が現われます。
倉庫や資材置き場、工場、者宅など法人の所有地は、リストラの一環として売却されます。個人の所有地では、老舗の商店が相続税納税や廃業などの理由で売り出したり、賃貸マンションとして運営していた個人オーナーが老朽化対策にデベロッパ―と組むことにより建て替え分譲になったりもします。

最近目立ってきたのは、かつてニュータウンと称された団地の建て替え事業で生まれた余剰床の分譲事例です。

長くなりましたが、土地価格は需要と供給のバランスで決まってしまいます。そこに値下がりしにくい建築費という2大原価がマンションの価格を決めてしまうのです。

マンションブームで土地取得熱が旺盛になると競争原理が地価を上昇させます。何らかの建築ラッシュで建築技術者(建築労働者)がひっ迫したりすると、建築費が高騰し、マンション価格はたちまち急騰します。

利益を削るなどの企業努力には限界があるため、値上がりは避けられないのが実態です。

そもそも粗利が20%前後しかないのがマンション事業です。そこから販売経費(広告費・現場経費・販売手数料など)と借入金の金利等を引くと純利は10%を割り込むのが普通なのです。

取引単位が大きいので、値引きなしで竣工時期までに完売できれば利益は確保できますが、長引けば赤字プロジェクトに転落することも少なくなく、リスクの高いビジネスと言われます。

●住戸位置によって変わる価値・価格

ご承知のように、マンションは唯一無二の商品です。Aマンションの最上階の東南の角住戸はひとつしかないのです。
バルコニーに出ると正面にスカイツリーと隅田川が見えるロケーションのマンションはいくつかあるかもしれませんが、障害物が一切なく真南にあり、且つ30階の3LDKなどと絞って行くと、該当する物件は僅か1件、2件となる。これが不動産なのです。

このように、ふたつとない商品ではあっても、価値の低いものと高いものがあります。
日当たりが良い住戸や眺望の良い住戸がある反面、北向きの住戸、隣地の家の壁が邪魔な住戸、エレベーターホール前の住戸まど、例を挙げればキリはないですが、こうした長所短所を勘案して売主は価格を決めます。

問題は、価値に見合う値段になっているかという点です。

マンション全体の売上総額があって、これを各住戸に割り振るわけですが、決めるのはプロです。経験から適正な差異が分かるのです。広さが異なるので、ここでは単価で説明しますが、中住戸が100万円なら角住戸は110万円であるとか、1階上がるごとに1万円上げるといった経験則があるということです。

しかしながら、価値に合致しない価格にすることがあります。

戦略的な値付けと言いますが、1戸しかないルーフテラス付き住戸は稀少価値があるから、もっと乗せておこう。その分は、条件の悪い住戸から引こうなどという会話を通じて低額住戸を生み出します。

また、同じ面積で間取りの違う住戸がありますが、その場合の価格が同じというとき、どちらかが割高ということがあります。間取りに欠点があるからです。
本来は、間取りの悪い方を下げなければなりませんが、そうすると欠点がますます浮き彫りになってしまう(買い手に気付かれてしまう)ので、敢えて無視して値付けするという例があります。

総じて、条件の悪い住戸は価格を抑えています。しかしながら、その下げ方が不十分というケースがよく見られます。長所と短所の差を明確にした値付け、緩やかな値付けという差は、値付け責任者の性格によると言ってよいと思います。

私が、このくらいの差がなければ価値がないと考えるとき、実際はそこまで抑えていない住戸が多いのです。
反対に、価値あるルーフテラス付きの角住戸も、そのマンションの中で比較すると強気な設定も当然と感じるものの、そこに他社の物件との比較という要素を加味すると、必ずしも適正な価格とは言えない、中には高過ぎる例もあるのです。

以上のような予備知識を持っておくと、検討物件の中にお買い得住戸が見えて来ます。反対に、安いと思う住戸も実は安くないと気付くことに役立つのではないかと思うのです。

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