大手ゼネコン施工が安心な理由

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションの価値を検証するとき、施工がどこかは大事な要素のひとつです。素人では見抜けない欠陥が、大手の施工マンションなら多分ないだろうという安心感。理由はそこにあるのですが、今日はこの点に関する具体例を挙げて確認してみようと思います。

品質への安心感を買うなら大手ゼネコン

もう何年経つでしょうか? 耐震偽装事件が起こりました。対象になったマンションを購入した人は、「倒壊の危険あり」のレッテルを貼られ自宅を追われました。ひどい事件でした。

そもそも「人間の本性は善であるとする性善説」に基づいて社会制度はできていますが、この事件はその根本を覆すものでした。まさか一級建築士が耐震強度を偽装して図面を描くとは、そこまでの悪を想定していなかったのです。

このような事件は特殊なケースであり、まさかの背信行為でした。そこまでの疑いを持つことは、普通はありません。しかし、高額な買い物だけに、耐震性に限らず品質に関する不安を持つのは買い手の自然な思いです。少なくとも欠陥マンションではないと信じて買いたいはずです。

しかし、壁の中や天井の裏など、目視しただけでは分からない断熱性や構造の安全性、あるいは耐久性や遮音性などは、売主と施工会社を信じるほかにありませんが、相手が大手、有名であるほど安心感は強まることでしょう。

そして、「〇〇会社だから、まあ大丈夫だろう」や「ちょっと高いが〇〇社の物件だから安心料だな」などと言い聞かせながら購入するのです。

寝室の壁に断熱材を入れ忘れた欠陥マンション

では、本当に大手ゼネコンなら安心なのでしょうか?中堅以下のゼネコンではだめなのでしょうか?
大手は安心ですが、中堅以下でも安心できるゼネコンは多数あるのです。しかし、大手ゼネコンがやはり安心だと思わせる事例を二つご紹介しましょう。

中古売買の取引でのお話です。
中古取引では、分譲主のデベロッパーに瑕疵担保責任はありません。責任(保証)期間は、構造に関するもので10年間ありますが、その期間満了前であっても売買の当事者でないからです。
補足すると、新築分譲時の売主責任はそのときの買い手までしか及ばないということです。

中古物件は売主が個人である場合が多く、契約書には瑕疵担保の免責が記載されます。個人売主には、瑕疵担保責任まで負うことが事実上無理だからです。責任範囲は、ガスや電気機器などまでなのです。

ところが、ある中古マンションで取引後1年以上経過してからこんな欠陥が発覚しました。
寝室に結露が発生し、カビだらけになったためリフォームすることになり、壁を剥がしたところ、壁の内部に断熱材がないと分かったのです。

所有者は、工事を担当したゼネコンに苦情を申し入れました。ゼネコンには、責任は既にありません。ところが、ゼネコンの回答は意外にも「そのような工事をしたのは当社の恥です。責任をもって修復させて頂きます」というものでした。

そのゼネコンは、大手5社のひとつでした。

ゲリラ豪雨で水没した3段式駐車

もうひとつは、集中豪雨のせいで機械式駐車場の地下部分が水没したときのことです。

マンションには、地下室などへの冠水に備えて排水ポンプが設置されている場合があります。そのマンションでも当然の措置として設置されていました。
ところが、排水能力を超える激しい雨が降りました。雨量想定が常識以下だったのではなく、想定以上の豪雨に襲われたのです。

水没したことで、地下に格納されていたクルマ数台が使用不能となりました。その補償を巡って売主とゼネコンが協議した結果、ゼネコンがあっさりと補償費用を支払ったのです。

現場では設計図をたびたび変更する

最近完成したマンションの内覧会で耳にした例です。天井が5メートルと高い最上階の窓の設計が当初の図面と違うものになったというのです。
窓の高さが尋常ではないので、最初から上下に分割されていました。変えたのは、上部のサッシを開閉式から固定式にしたことでした。万一の場合に備えて、強風に耐える丈夫な製品に改良したという説明でした。

ダクトの通り道になっている下がり天井面が狭くなり、高い天井面が少し広くなったという改良工事もありました。

改良工事とはいえ、見た目が悪くなるようなこともあります。

建築現場では、細部の施工のために「施工図」という縮尺の大きな部分図を描くのが常です。より安全な、より確実な施工を実施するためです。これは、大手だろうと中小だろうと一緒です。

しかし、一流ゼネコンが完璧に改良工事を実行する、または精度の高い施工を着実に実行するのに対し、二流以下のゼネコンは「まっ、いいか」で済ませたり、問題箇所に気付かずに施工してしまったりする頻度が多いようです。

マンションの出来がいいか悪いかは、現場監督の腕次第などとも聞きます。良い作品・良い建物を造る腕の良い監督が多いのも、一流ゼネコンの一流たるゆえんなのでしょう。

大手イコール一流とは断定できないものの、ほぼそれに近いのも間違いないのです。大手ゼネコンのブランド価値は、安心という付加価値を生んでマンションの資産価値の向上に直結しています。付け加えると、売却時に次の買い手を安心させる要素として大きな意味を持つことになるのです。

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