希少性が価値を生むという概念

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

今日は、マンションの希少価値の概念についてお話ししたいと思います。

稀少性は、場所が稀少、全体規模が稀少、間取りが稀少、広さが稀少、などと分解して考えられます。これらの稀少性とはどのようなもので、どう資産価値につながるのでしょうか?

●場所の稀少価値

これは、立地条件が稀少であると思われるマンションは高い価値を持つということですが、例えば地下鉄の駅にマンションの地階から傘なしで行けるなどというのがあります。

駅まで徒歩3分と近い商業地にありながら、目の前に公園があるという例もあります。ビルやマンションが密集しているエリアで、開放的なロケーションのマンションは稀少です。

敷地が広い一戸建て住宅が整然と立ち並ぶ住宅街は、世田谷区や杉並区などの私鉄沿線に見られます。公園も多数配置され、一帯は緑濃い環境となっています。このような街は駅から徒歩5分も要しない距離にありながら、駅前の喧騒がウソのように閑静な街です。

大抵、「第1種低層住居地域」に指定されており、高いマンションは建てられませんから、採算が合わないことも多く、新築マンションの供給は困難です。たまに、お屋敷と呼べる区画の大きな家が売り出されて計画されることがあります。3階建ての低層マンションで、価格も安くないものですが、その希少性は群を抜き人気を集めます。

●規模の稀少価値

マンションの価値を判定する要素のひとつに「大規模であること」があります。規模が大きいマンションは、大抵の場合、共用施設がいくつも設けられていたり、豪華なエントランスホールが造られていたりと付加価値が高いからです。規模そのものが存在感という価値を生んでいる場合もあります。

ところで、東京圏では大規模マンションなど少しも珍しいことはありませんが、どのくらい大きければ希少価値が高いと言えるのでしょうか?

これに答えはありません。相対的なものだからです。

タワーマンションが林立する中では30階では目立たなく、50階くらいの高さがなければ存在感をアピールするには足りないでしょうし、200戸の大規模マンションもそばに500戸のマンションがあれば見劣りしてしまうかもしれません。

反対に、100戸未満のマンションばかりの街にあっては、200戸もあると目立つ存在になるに違いありません。

昔ながらの商業地は小規模な商店や小型のビルが密集しているものですが、そのような場所のマンションもまた小規模です。駅から近くて便利という点では価値があっても、周囲のビルの列に埋没しているマンションが多いものです。

倉庫や工場などの広い敷地がなく、売地として出て来るのは駐車場にしていた土地や、古い個人所有の小型ビル、少し大きいもので廃業した旅館跡地などで、そこに建てるマンションと言うと、大抵ワンフロアに3戸か4戸しかない10~14階建てのペンシルマンションなのです。

そのような小規模な建物が多い街にあって、複数の地主からまとめて土地を入手できることがあります。いわゆる地上げという形でもたらされます。また、多数の地主同士が組合を結成して区画の大きな再開発を行うこともあります。
敷地が広ければ立派なマンションを計画することができます。しかし、これらはレアケースです。

●間取り・広さの稀少価値

単身者向きのコンパクトなマンションが多いという都心の地域において、70~80㎡台のファミリータイプが稀少価値を持つというケースがあります。

コンパクトマンションが多いということは、その需要が多いことを教えてくれていますが、ファミリータイプの需要がないわけではありません。
少ないながら存在します。問題は、その需要量に見合う供給がなされているかにあります。

マンションメーカーは、数の多い層、すなわちボリュームターゲット向けの商品を中心に開発しますから、少数の需要に対する供給はおざなりになるものです。多数を設定する企画はリスクが高いので、無難にコンパクトタイプを中心にしてしまうのです。

若者に人気のある「住んでみたい街ランキング」の上位に常に挙がる街は、駅周辺におしゃれなブティックや雑貨店、グルメの有名店、手作りのケーキ゚点、ベーカリーなどが多数集積していて飽きが来ない街を、どちらかと言えば雑多な街を形成しています。

しかし、小規模ビルの多い街並みになっていて、マンション適地は少なく、それでいて地価は高いのです。

このため、付加価値の高い高級マンションは中々企画が難しく、価格だけが飛び抜けた平凡なマンションになりがちです。そこで、分譲価格を抑えるために面積を圧縮する計画となるのです。

結局、その地域の中古マンションに占めるファミリータイプの累積戸数は非常に少ないままで推移することになります。

このような地域でファミリータイプ中心のマンションが計画されるのは稀で、たまに発売されても駅から徒歩10分以上を要する場所になることが多いのです。

●希少性が高い価値を維持する

マンションに限らないことですが、物の値段は需要と供給のバランスで決まるところがあります。品物が少なく、欲しい人がたくさんあれば値段は高くなります。希少価値とは、将にこのことです。

希少価値を、場所、規模、広さの3種に分けて説明しましたが、これらのいずれかに該当する物件を購入できたら、おそらく中古になっても高い価値を維持することとなりましょう。

中古マンションには、新築並みの価格で取引されるケースがあります。
一般的には、港区や千代田区、渋谷区などにある高級住宅街のマンションで、価格も1億円を超えるもののことです。

新築並みと言いましたが、正確にはこうです。
建物は平凡で、場所も高級住宅街と同じアドレスではあっても、そのはずれにあって高速道路に面していたりするため、あまり良いとは言えないのが新築物件。それとのと比較によって、新築並みというわけです。

くどいようですが、言い換えます。例えば築20年以上を経過していても、中古マンションの方がはるかに良い立地条件を備えており、それが同エリアではあってもピンスポット的に良くない立地の新築価格と同じになっているということです。

実は、新築並みの中古相場が形成されている場所は、上記の高級住宅街に留まりません。東京都内には、そんな場所が多数あります。築10~15年くらいまでなら、新築相場と比べても大差なく、何故こんなに高いのかと驚かされることがあるのです。

その理由を調べて行くと見えて来るのが、場所、規模、広さの3要素における希少性なのです。

(1)水準としては東京都の平均くらいの価格になる地域ですが、ファミリータイプの新築が少なく、あるにはあるが駅から遠いため、駅近で管理状態も良い中古のファミリータイプは、新築並みの価格になっているという例が少なくありません。

(2)駅から徒歩10分圏にあり、総戸数が500戸にもなる大型マンションですが、団地のようで嫌だとする声もあるというものの、敷地内にある緑の豊かさは出色で、公園の中にマンションがあるようだと言っても過言ではない環境の良さが特徴。同駅圏では類を見ない物件。それが高値をもたらしているというケースもあります。

(3)京王井之頭線の各駅は、人気が高いことから売地が出ると高値でも飛びつくマンション業者が多いようで、新築物件は小型ながら年に数棟見られます。ところが、その多くが線路沿いであったり、幹線道路沿いであったりと、立地条件は良いとは言えないのです。〇〇駅ブランドだけが魅力と言ってよいほどです。

そんなエリアにあって、駅から近い上、閑静な住宅街の一角に立ち、緑濃い植栽に囲まれた中低層マンションが、築15年を超えても新築並みの価格で売買が成立しているという事例があります。理由は、古さを補って余りある魅力、すなわち環境の良さ、しかも駅に近いからです。その希少性が価格に反映されているのは言うまでもありません。

購入マンションの将来価値を測るには、「希少価値」をキーワードに検討してみることが必要です。マンション探しのチェックポイントに加えておきたいものです。

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1章 マンション業界の概括/5.デベの力量 /10.模倣で成り立つマンション業界 ・・・・・・・・・・・・・・・・

第2章 マンションの歴史と分譲会社の栄枯盛衰/1.構造転換を迫った大事件/2.撤退企業と生き残った企業/撤退企業の犯した過ち/3.国策に後押しされたマンション業界 /4.繰り返したマンションブーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第3章 現代のマンション事情/新しモノ好きの日本人/ワケあり物件に注意/3.リノベーション住宅/4.単身者とコンパクトマンション /5.永住できないマンション/高い修繕積立金/人の寿命より家の寿命が短い/8.「値上がりしないマンション」を購入する場合の覚悟/ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第4章 マンション業界の裏側/2.青田売りと完成売りの真実/モデルルームの魔力/完成済みマンションの舞台裏/6.ゼネコンが売主だから安いはウソ/7.安かろう悪かろうに注意/ 10.不動産屋の話はウソばかり ?/13.値引き販売の真実

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